シナリオ作りが楽しいです
──相変わらず仲がいいですね(笑)。宅野さんは一番最後に合流されたということですけど、助監督の臼井(文明)さんやキャラクターデザインの伊藤(依織子)さんは今まで一緒にお仕事をされていますが、初めてお仕事される高橋(ナツコ)さんとはいかがですか。
宅野:監督としては初めてですが、別の作品で一緒になったことがあるので、すんなり入っていただけました。高橋さんはドラマ志向の強い方で、脚本も校を重ねるほどブラッシュアップされていてすごく良くなっていくんです。より高みに行くことができて、シナリオ作りが楽しいです。
──高橋さんは実写作品も多く手がけられているので、そういう点では日常生活を丁寧に描く今作は得意とされている作品なんですね。
宅野:ご結婚されていて、お子さんがいらっしゃるのも大きいです。自分にはない目線でドラマを作れるので、非常に助けられています。
──具体的に表現が変わったところはありますか。
宅野:東京でポコが倒れた話は、より実感を持って描くことができたと思います。親目線で子供を案じるというのは経験がないことなので、助けていただきました。
──画作り・色使いもかなり原作を意識されているように感じました。アニメでは特殊なのでかなり手間暇がかかると思いますがいかがですか。
宅野:原作の持つ水彩調の雰囲気を出していこうということで、かなり試行錯誤しました。
柴:優秀なスタッフに助けられています。美術設定のイノセ(ユキエ)さん、美術監督の合六(弘)さんにも一緒に香川に来ていただいて、現地でのロケを綿密にしました。
宅野:助監督の臼井さんには現場監督のような仕事をしていただいていて、かなり助けてもらっています。
──一体感がすごいですね。楽曲の面では『やまじょ』と同じWEAVERがOP担当ですがいかがですか。
宅野:原作のもつ柔らかさとマッチしている曲だと思っています。宗太への応援歌をテーマとして作られたとおっしゃられていました。EDのGOODWARPさんの曲も、非常に宗太の心情に寄り添っていて素晴らしいです。相当、原作を読まれて作ってくださったんだと思います。
──OP・EDに限らず音楽も大事な要素になりますがいかがですか。
宅野:橋本(由香利)さんには非常に素晴らしい楽曲を作っていただけました。
柴:橋本さんも現地に行かれたそうですよ。
宅野:私は特に東京編がお気に入りです。シリーズ全体としても東京編がポイントになるんです。宗太が仕事・ポコとの生活の問題に1つの答えを出す話なので、物語としても注目の話数です。
いつもコミュニケーションをとって制作しています
──みなさんの作品にかける思いが伝わってきますね。上映会では生の反応を見られたと思いますが、いかがでしたか。
柴:篠丸先生は泣いていたらしいです。ほぼデビュー作ですから、思い入れもあったんだと思います。
宅野:それを聞いて嬉しかったです。「いろんな人が自分の作品について考えてくれていることが嬉しい」とおっしゃられていました。
──作品に入る前に先生とお話をされたんですか。
柴:シナリオ打ち合わせにも来てくださるので、いつもコミュニケーションをとって制作しています。
──先生からご希望はあったりしましたか。
柴:原作は続いているけどアニメでは一度完結をしないといけないので、物語の終わり方に関してはとてもこだわっていました。
──大事なことですね。今作は予告の要(潤)さんが担当されていますが。
柴:要さんは香川県公認のうどん県副知事もされているので、是非出てもらいたいなと思っていてお願いしました。意外にもアニメのお仕事は初めてらしいですが、素晴らしかったです。
──予告も注目ですね。最後にファンの方にメッセージをお願いします。
宅野:第1にポコの可愛さを大事に描こうと思って、スタッフ一同頑張っています。いろんなキャラクターが出てくるので、いろんな立場・視点で楽しめる作品だと思っています。宗太とポコが出会ってどんな風に変化していくのか最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
柴:この作品はED後にCパートがあるんです。そこでガオガオちゃんのショートアニメを作っています。宅野さんらしく最後までお客さんを飽きさせないサービス精神旺盛な作品なので、Cパートも含めて最後まで楽しんでいただければと思います。