鉄道線路としての営業を廃止された線路「廃線」。そんな廃線を思う存分語るイベント『廃線ナイト』が、今年の12月にめでたく1周年を迎えます。記念すべきイベントを前に、出演者3名にインタビューを敢行。イベントに負けないディープな廃線トークとご愛嬌の脱線トークが展開されました!(interview:松本尚紀/text:平松克規[Loft PlusOne West])
ロマンと危険が隣り合わせの廃線巡り
——いつもご出演ありがとうございます! お三方は普段どんなことをされているんですか。
前畑:私は産業遺産の写真を撮る活動をしております。あと「J-heritage」という産業遺産を記録・見学するNPO法人で、イベントやツアーの企画もしています。
LEVEL7G(以下:7G):僕は「特殊同人 電幻開発」という団体で、廃墟・廃道・廃線の商業誌や同人誌を執筆しています。廃線の中では特に「未成線(構想や計画、または建設の段階で中止され、実現しなかった鉄道路線)」を中心にやってます。
よごれん:僕は「TEAM酷道・廃墟」というサイトの管理人をしております。そのサイトの記事のために酷い道や廃墟に行ったり、もともと好きだった鉄道に関する本を書いております。
——お三方はお知り合いだったんですか。
7G:ネットではずっと情報を交換していたけど、面識ができたのは、ここ5年くらいですね。
よごれん:そうですね。それくらいから一緒に産業遺産を見に行くようになりました。
——わりと最近なんですね。廃線はどうやって探されているんですか。
よごれん:実のところ廃線だけを探すっていうのはなかなか難しいんですよ。
——え? そうなんですか。
前畑:はい。目当ての産業遺産に行ったら廃線が残っていた、というのが多いんです。やっぱり鉱山でよく見つけますね。
よごれん:鉱山跡とかだと40年くらい誰も入ってない場所があるので、自生した薮を自前の草刈り機で払いながら進んで行くんですよ。
——すごい(笑)。
7G:やっぱりまだ誰も足を踏み入れてない場所に行きたいんですよね。ネットや本に載っている場所には行きたくないんです。だから変な所には行ったことあるけど、普通の人が行くところには行ったことがないという…。
——ロマンはあるけど、大変そうですね…。危険な目にあったりもするんじゃないですか。
よごれん:そうですね…。まぁ、廃墟に住んでいるホームレスに石を投げられたり…。
7G:ガチの山奥で滑落したり、川登りをしていたら陽が落ちてどっちが前か後ろか分からなくなったり…。
——ヤバいじゃないですか(笑)。
前畑:でも鉱山はむっちゃ楽しいですよ。行く度に新しい発見があるので。
よごれん:鉱山って1回行くだけじゃ全然分からないんです。10回くらい通ってようやく全容が見えてきますから。
7G:ちょっとずつ変化もしてるしね。ある日行ったら、廃線がソーラーパネルの敷地になってたり…。
前畑&よごれん:あーー。はいはい。
——(笑)。あるあるなんですか。
前畑:ソーラーパネルは最近のあるあるですよ。あれ景観がイケてないんですよ…。
よごれん:公電で近づけないしね。
7G:線路跡って家も建てにくいし使いづらいんですよ。だから面積さえあれば、いいソーラーパネルがバーッと貼られるんです。これが本当に見苦しい。写真映えもしないですし。
よごれん:自分の中で一番紹介が出来ないパターンです。
前畑:魅力が0以下になります。
7G:そのソーラーパネルが苔むしでもしたら、案外胸に来るものがあるのかも…。
——それはだいぶ先になりそうですね(笑)。
濃い廃線トークと危ない脱線トーク!?
——さて『廃線ナイト』は12月で1周年を迎えます。イベントをやってみて感触はどうでしょうか。
7G:最初は、廃線っていう狭いカテゴリーでイベントをやってお客さんが来るのか心配でしたね。でも濃いところに反応してくれるしリピーターも多くて、ようやく軌道に乗ってきたのかなと。
——意外と廃墟好きの方もイベントに足を運んでくれてるみたいなんですよ。
7G:確かに廃墟っぽいもの紹介してるし、鉄ちゃん寄りにも廃墟マニア寄りにも嬉しいイベントになってると思います。
前畑:でも濃いだけじゃなくて、ユルさもありますよね。全員トークが脱線しますし(笑)。
7G:その振り幅がバラエティーに富んでて、ガチの鉄道イベントより面白いと思います。やってるこっちも楽しいし。
よごれん:3人ともそれぞれ切り口が違うから、他の人の話を聞くのが面白いんですよ。7Gさんの未成線の話は世界でも珍しいですし、前畑さんの「あの車両が可愛い!」とかの女子的目線トークも新鮮です。僕だと、どうしても鉄道マニア的な目線が入っちゃうので…。
7G:前畑さんは鉄ちゃんじゃないからね。でもそこが良いよね。
よごれん:やっぱり廃線跡を語るってなると、鉄道を知っている人がやるケースが多いんです。だから前畑さんの視点はかなり斬新というか…。
前畑:お客さんからしたらビックリですよね。「コイツ全然知らんやん!」って。
——でもだからこそ初心者から鉄道マニアまで楽しめるイベントになってると思いますよ。
7G:そうですね。回を重ねる毎にそれぞれのキャラも固定されてきましたし。
——良いバランスの3人になってきていますよね。次の『廃線ナイト』ではどのようなことをする予定ですか。
7G:手持ちのものを整理して発表しようと思っています。行っただけでほったらかしているものが、意外にあるんですよ。
前畑:私は台湾にある廃線跡を利用したサイクリングロードに行ったので、その時に撮影した動画を流すつもりです。日本では見られない装飾の車両もあって可愛かったんです。
よごれん:僕はまだ脱線ネタしか考えてないですね。
——えー(笑)。
よごれん:ただイベントでずっと言っている、もの凄いエロ本小屋の話はしようと思ってるんです。実は最初の発見から10年くらいずっと温めてきた話があって…。とある事情でこれまで言えなかった情報を、遂に解禁しようと思います。これはサイトに載せられないので、イベントだけでしか聞けません。
——楽しみです! それではイベントに来ようか迷っている読者の皆様にメッセージをお願いします。
7G:着いてきて下さいとしか言えないですね(笑)。かなり好き勝手に喋っているので。
前畑:でもそんなにメチャクチャ深い話をしている訳ではないので、鉄ちゃんじゃなくてもちょっと興味あれば来て頂きたいです。
よごれん:そうですね。これをキッカケに廃線を好きになったり、文化遺産も好きになって欲しいです。