Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー葛西 純(プロレスラー)(Rooftop2015年8月号)

“プロレス界一傷だらけの背中を持つ男”、デスマッチのカリスマ新宿降臨!

2015.08.01

 8月26日(水)、NAKED LOFTで"Mr.デンジャー"松永光弘との新旧デスマッチ王による"怒りのデスマッチロード爆走対談"が実現! "デスマッチのパイオニア"と、現在のデスマッチ業界を引っ張る"狂猿"、互いのデスマッチに対する考え方が聞ける貴重な機会になることは間違いない! 自身の団体『FREEDOMS』、8月28日(金)後楽園大会への起爆剤として開催される今回のイベントへの思い、そして意外すぎるロフトとの縁(&新大久保との縁)を聞いた![interview:齋藤 航(NAKED LOFT)、協力:黄昏番長・田実健太郎(LOFT PROJECT)]

デスマッチファイター爆誕秘話

──今日はよろしくお願いします。まず、プロレスラーを目指したきっかけを教えてください。
葛西:もともと小学生ぐらいの頃からプロレスファンだったんだけど背があんまり伸びなかったんで、自分なんかはムリかもって思ってた。帯広で高校を卒業してから都内で警備員をしている頃、まぁ風俗が好きでいろいろ遊んでて…そんな時にたまたま警備会社の待機所にあった『Hot-Dog PRESS』に性病特集があって、読んでみたらかなり当てはまると(笑)。それこそ、この辺(新大久保)の外人とか、濃いのが好きだったし(笑)。ちょうどその時、体調が悪かったのもあって、これは「俺、エイズかも…」と思って。新宿南口に当時あった無料で性病検査ができる所に行って検査して、その頃は結果が出るまで1週間ぐらいかかったんだけど、その間に「もしかしたら俺は死ぬかもしれない、死ぬ時に後悔するぐらいなら、この検査が陰性だったら、もともとなりたかったプロレスラーになろう!」と思ったのがきっかけ。
──デビューした大日本プロレスを選ばれたのはなぜだったんでしょう?
葛西:ウチの親父はプロレス観戦中に「今の痛くねぇだろ」とか「あれ当たってねぇよ」とか言っちゃうような、いわゆるイヤな感じのファンだったんで、どうせやるんだったらそんなこと言われないような“痛みが伝わる”プロレスをやりたかった。当時だとバトラーツか大日本がそういうイメージだったから。
──“痛みが伝わる”というのはその後のデスマッチ路線にも通じますよね。デビューされてから、割と早い段階で外国人選手と組み出した印象があります。その後、海外でも名を馳せる葛西選手ですが、海外志向は割と早い段階からあったのでしょうか? 新大久保界隈でも海外志向だったようですし(笑)。
葛西:それは関係ねぇよ!(笑) もともとプロレスファンの頃からブルーザー・ブロディとか外人選手が好きだったんだよ。帯広には外人なんかいなかったから。布教に来てる自転車に乗ったモルモン教徒とかを「外人だ!」って目で追っちゃうぐらい(笑)。その頃から外人選手特有の“非日常”的と言うか、そういう感じが好きだった。
──今の葛西さんのスタイルも、そもそもデスマッチっていうジャンルが“非日常”的ですもんね。最初にやったデスマッチは何だったんですか?
葛西:最初は浜松で有刺鉄線ボードデスマッチ。思ってたよりすげぇ痛かった(笑)。
──今日のインタビューで、「デスマッチって痛いですか?」みたいなベタな質問はしないでおこうと思ってたんですが、痛かったですか(笑)。
葛西:痛かった(笑)。でも不思議な高揚感と言うか、試合後に“生きてる”ってことをすげぇ感じた。
──“痛みが伝わる”っていう意味ではこれ以上ないような試合形式ですもんね。死の恐怖からプロレスラーを目指して、デスマッチで生を感じたんですね…。それから有刺鉄線だけじゃなく蛍光灯や画鋲、剣山、ガラスなどのさまざまな試合を経験されてますが、今まででこれはヤバかったっていうデスマッチはありますか?
葛西:うーん…。ファイヤーデスマッチかな。あれはヤバかった。火は読めないからね。空気がなくなっちゃうから酸欠になるし。
──今度のイベントで共演される松永光弘さんはデスマッチのアイデアをたくさん考案された方でしたが、葛西選手が考案したデスマッチはどんなものがありますか?
葛西:カミソリ。ま、考案と言うか、みんな考えてはいたんだろうけど二の足を踏んでたんじゃないかな。エグすぎるからって。
──カミソリ、ですか…。
葛西:カミソリボードデスマッチ。最初、その上にパワーボム喰らったんだけど、立ったら背中にスーッと線が入ってて、それがパックリ開いて、ちょっとしてからそこから血がダラダラ垂れてきた。
──それは…二の足を踏みますよね…。痛かったかどうかは聞かないことにします(笑)。
 

音楽について&ロフトとの縁

──葛西選手と言えば、ジャパコア界隈のみならず異業種の方々からも熱い支持を受けていらっしゃいますが、ご自身ではどんな音楽を聴かれるんですか?
葛西:それが、あんまり聴かない(笑)。昔、CZW(アメリカ最大の老舗デスマッチプロレス団体。当時、葛西選手の所属していた大日本プロレスと提携していた)から外人選手が来る時、俺が成田に迎えに行く係だったんだけど、たまたま車の中でスリップノットをかけてたの。そしたらジャスティス・ペインが「なんだこの曲は! ポップじゃねぇか! 大衆音楽だ!」って怒り出して。でもそいつが普段聴いてるのってエミネムとかなんだよ(笑)。あとザンディグはスキッド・ロウが好きだったな。イメージ通りだろ(笑)。
──ロフトには実はかなり前からご出演していただいていたんですね。2000年頃で、しかも最初はアイドルのイベントに。
葛西:当時、金井覚さんって人がアイドル関係の仕事とプロレス関係の仕事してて、知り合いだったから出してもらってた。アイドルと、司会の人と、俺。ブレイク前の安めぐみちゃんとかと共演してた。
──すげぇ空気ですね、そこ(笑)。それからかなり間が空いて、今回は思いっきり本業のほうで。今回のイベントはどういう経緯で?
黄昏番長(主催):もともと葛西さんの夏の興行のお手伝いをしているんですけど、今回はその煽りも兼ねて、松永さんとの対談という形でイベントにできれば、と。さっきも葛西さんとデンジャーステーキ(松永さんのお店)で打ち合わせしてきたんですけど、言える話も言えない話もたくさん出そうで(笑)。盛り上がりますよ、新旧デスマッチ王対談!
葛西:俺の中では松永さんはデスマッチのパイオニアだと思ってる。松永さんとはプライベートではそこまで交流はなくて、年に1回ぐらい「どうしてる?」みたいな連絡を取り合うぐらいなんだけど、やっぱり尊敬してる。デスマッチでもTシャツ着て試合しないところとか、シンパシーを感じる。せっかくデスマッチなのにTシャツ着てるんじゃ意味ねぇだろ! ストリッパーがオマ◯コ見せねぇようなもんじゃねぇか!
──確かにそうですね(笑)。ずっと疑問だったんですが、試合間隔が短いと傷って塞がらないですよね?
葛西:塞がんないね。でもそれはそういうもんだから(笑)。
──そんな中でちゃんとウェイト・トレーニングをして、身体を作るってしんどくないですか? ダンベル持ったら傷も開きますよね?
葛西:開くね(あっさり)。そりゃあんまりダラダラ出るようだとやんないよ! ジムに迷惑がかかるから(笑)。デスマッチやってるのはショボい身体のヤツらが多いでしょ? そういうのはイヤだからね。そこはキッチリ作らないと。松永さんもガッチリ身体作ってたよな。イベントではお互いのデスマッチ観だったり、デスマッチ愛について話したいね。
──愛、ですか。
葛西:そう。最近、「お前、本当にデスマッチやりたくてやってんの?」っていう選手が多いの。ちょっと傷作って血ぃ出して、みたいな。そうじゃなくて、デスマッチじゃなくちゃ伝えられないものっていうことについて話したい。
──楽しみです。最後に、このインタビューを読んでる人に伝えたいことはありますか。
葛西:なんだろうな…。観たことない人には、とにかく「一度観に来てくれ」ってことかな。「私、血とかホント無理なんで…」みたいな女の子とかでも、一度観に来てくれてハマっちゃったりってことは多いからね。
──ありがとうございました!
 
このアーティストの関連記事

LIVE INFOライブ情報

葛西選手の団体『FREEDOMS』、夏の興行情報
8月2日(日)広島・広島産業会館
8月16日(日)大阪・大阪大阪東成区民センター
8月28日(金)東京・後楽園ホール
 
黄昏番長 Presents
From Dusk Til' Death!! 葛西純 vs 松永光弘〜デスマッチトークLIVE@ネイキッドロフト!〜
8月26日(水)NAKED LOFT
【出演】葛西純、松永光弘、JERO(ABIGAIL/ゲストコメンテーター)、植地毅(司会)、黄昏番長(主催者/司会補佐)
OPEN 18:00/START 19:00
予約 5,000円(イベント開催記念Tシャツ付き/完全予約制50席/飲食別)
※予約方法詳細はネイキッドロフトHPにてご確認ください。
問い合わせ:NAKED LOFT 03-3205-1556
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻