1999年の初開催以来、日本の様々なヘヴィ・メタル系アーティストが出演してきた『PURE ROCK JAPAN LIVE』。近年は2年に一度、クラブチッタ川崎を会場に行なわれており、錚々たるラインナップが集結し、熱いパフォーマンスを繰り広げることから、今や「国内最強」といった声も聞かれるようになった。そのスピンオフ版と言えるのが、今年2月にスタートした『PURE ROCK JAPAN LIVE 〜EXTRA〜』だ。今回の新宿ロフト公演はその第2弾に当たるもの。すでに音楽情報サイトのニュース・アクセス・ランキングでも軒並み上位に食い込むなど、各方面から高い関心が寄せられている。"ロック"を愛する人には、ぜひ体感してもらいたい一夜だ。
まずは気になる今回の顔触れから簡潔に紹介していこう。
大阪を拠点とするBLOOD STAIN CHILDは、2000年の始動以来、常にワールドワイドにアピールしてきたバンド。メタルとトランスを融合させたスタイルは個性的で、昨今では広く用いられるようになったエレクトロ要素をこのフィールドに大胆に持ち込んだ第一人者のような存在でもある。
若手随一の実力派として評価されてきたLIGHT BRINGERは、プログレッシヴ・ロックからポップスまで、テクニカルさとキャッチーさを絶妙に組み合わせた楽曲を聴かせる精鋭。女性シンガー、Fukiの絶唱も支持されるポイントだ。
叙情性と攻撃性を巧みに配する札幌出身のGYZEは、昨年6月に欧州で先行デビュー。最も注目度の高い新鋭といっても過言ではないほどで、この9月には日本でもついにメジャー進出をすることが決定した。
では、彼らが『PURE ROCK JAPAN LIVE』をどう見ているのか。実際のメンバーの言葉からも、他と一線を画すイベントの特徴は見えてくるだろう。
「BLOOD STAIN CHILDが関わらせていただくのは今回が初めてなのですが、国内の実力あるアーティストを集結させ、ロック・シーンを盛り上げていくという明確な強い意志やコンセプトが感じられます」（RYU／BLOOD STAIN CHILD）
「個人的に初めて東京の音楽シーンを覗かせていただいたイベントであり（2009年のクラブチッタ川崎公演）、プロというものを間近で感じることができた思い入れの強いイベントです。当時、『数年後には自分が出演しなきゃダメなんだ』と楽屋で言われたのを今でも覚えていて、登竜門のように思ってます」（Ryoji／GYZE）
「憧れの存在のアーティストが何組も出演していましたし、フェイクでなくホンモノの音を出すアーティストだけがそのステージに立つことができる、格式の高いイベントだと思っています。僕自身はキッズの頃から出ることを夢見ていました」（Hibiki／LIGHT BRINGER）
BLOOD STAIN CHILDは過去に何度も出演者候補として名前が挙がっていたが、あのGRANRODEO等が所属するレーベル『ランティス』に移籍し、まさに新章の幕開けといった今年、ようやく初登場が実現することになった。LIGHT BRINGERはもはやファンにはお馴染みで、2011年の『PURE ROCK JAPAN LIVE』の際にメジャー・デビューを発表したというエピソードもある。GYZEは1stアルバム『FASCINATING VIOLENCE』に対して国内外から絶賛の声が寄せられる中、文字通りの勢いを感じさせる、絶好のタイミングでの初出演と言っていいだろう。
それぞれのバンドについての印象を訊いてみると、音楽性こそ違えども、互いに敬意を持って今回のステージに臨む気概が伝わってくる。
「BLOOD STAIN CHILDは、新しいメロディック・デス・メタルのカタチを築き上げたパイオニアであり、このシーンでは同じようなスタイルのバンドを見たことがないです。GYZEは音からも活動からも迸る勢いが、ただただ驚異的ですね。海外のバンドのような空気感を持っているような気がします」（Hibiki／LIGHT BRINGER）
「僕が今回の出演に際して興奮した理由の一つに、BLOOD STAIN CHILDとの共演というのがありました。札幌からわざわざ東京までライヴを観に行ってたぐらい、ずっとファンなんです（笑）。日本のメロデスのトップに君臨し続け、音楽性はもちろん、取り組み方を含めて、GYZEに多大な影響を与えてくれたバンドの一つですし、これからも進化してゆく、世界に誇るバンドだと思ってます。LIGHT BRINGERは先日まで面識がなかったのですが、J-METALを引っ張っていってるバンドだと思ってます。演奏も素晴らしいし、共演が楽しみです。ドラムのYumiさんが同郷の札幌なのも嬉しいですね」（Ryoji／GYZE）
「GYZEは後輩でもあって、Ryojiくんはお客さんとしてライヴにずっと来てくれてたし、普段もいろいろ相談にのったり、ご飯に行ったりお茶しに行ったりする仲なんですよ。BLOOD STAIN CHILDも前のアルバムは、GYZEと同じイタリアの『Coroner Records』から出してましたし。当日も楽しくできるんじゃないかな（笑）。LIGHT BRINGERは2年前に、一度、新潟で対バンしたことがあるんですよね。彼らについてはあまり詳しくはないので、これをきっかけに仲良くできればいいなと思ってます」（RYU／BLOOD STAIN CHILD）
ヘヴィ・メタルと呼ばれるジャンル自体、今やかなり細分化されているが、今回の3組は表現の仕方は異なるものの、音楽性の核は変わらずにそこにある。その普遍的な魅力とは何なのか。
「心の叫び、メッセージ、牽引性などを具現化しやすい音楽なのではないかと思ってます。ライヴをとっても、その激しい音楽性から、普段のストレスや不満などを解消できるいい場所だと思います。どこにもやり場のない気持ちをぶつけることができる、そしてそれに応えてくれるというところに、惹かれるのではないでしょうか」（RYU／BLOOD STAIN CHILD）
「他のジャンルにはない、耳と体に染み渡るラウドな響きと音圧ですね。また、メタル・ミュージシャンには意外とピュアな人が多いんですよ。そのギャップも魅力です」（Hibiki／LIGHT BRINGER）
「心の奥に届く音楽……というか、僕はイージー・リスニング系のピアノ曲もメロディのよい歌謡曲も同じ感覚で聴いているので、回答として正しいかどうかわかりませんが、特にグッとくるのがメタルだったんですよね。辛いときも楽しいときも、いつもメタルを聴いている。まさに“日常”な音楽です！」（Ryoji／GYZE）
この3バンドが一堂に会するのは、もちろん初めてのこと。勝ち負けではないが、それぞれが他の出演者を凌ぐ、より印象的なライヴでオーディエンスを魅了したいと思っているはずだ。お互いのパフォーマンスに触発されながら繰り広げられる熱いステージ。それこそが『PURE ROCK JAPAN LIVE』の重要な趣旨の一つでもある。今後の活動に関する新たなアナウンスも期待したいところだ。
「現在、いろいろ動いてます（笑）。今はそれしか言えません。まぁ、待っててください！ 随分前ですが、新宿ロフトには一度出演したことがあります。確かイタリアのSKYLARKと一緒だったような……。だから、かなり久しぶりの感じですね。音楽性はご存じの通りだと思いますが、当日はブラステのポリシーでもある、みんなでライヴを楽しめる日にしたいと思ってます。来ていただいた方に『どのバンドもよかったね』と言ってもらえるようなイベントにしたいですね」（RYU／BLOOD STAIN CHILD）
「今秋には7月11日の新宿BLAZE公演を収録したライヴ映像作品のリリースと、東名阪ワンマン・ツアーを控えていますが、今回の『PURE ROCK JAPAN LIVE 〜EXTRA vol.2〜』は、その直前の時期なんですね。憧れのイベントに立て続けに出させていただけて、とても光栄で嬉しく思ってます。いつも通り、ポジティヴでゆるーい雰囲気溢れるステージになるんじゃないかな。他の2バンドさんのシリアスな空気感とは対照的な感じで……。新宿ロフトという、数々の名演が繰り広げられてきた殿堂。そんな老舗の空気を感じながらライヴしたいですね」（Hibiki／LIGHT BRINGER）
「9月3日に『FASCINATING VIOLENCE』の国内盤がビクターからリリースされるんですが、それに伴うワンマン・ツアー“FINAL VIOLENCE 2014”にもつなげたいですね。新宿ロフトは、偉大な日本のバンドを輩出したライヴハウス。その存在自体が、もはや歴史であり文化なんじゃないかと思います。今回の出演が決まって興奮しまくってますし、当日は自分たちに影響を与えてくれたみなさんに、よいライヴをして恩を返さなくてはと思っています。その意味でも、いつもどこでも”GYZE”のステージができるようにしたいですね」（Ryoji／GYZE）
