国内最大にして唯一の「事故物件紹介サイト」、大島てる。
自殺・殺人・火災(死者が出たもののみ)...etc.といった、いわゆる「いわくつき物件」の情報が大量に載った、投稿型のサイトである。
アパ○ンでもピ○ットハウスでも絶対に紹介されないようなアヤしい物件情報満載のこのサイトの管理人・大島 学が登壇するアヤしいイベント「事故物件ナイト」が、8月3日で早くも4回目を迎える。
初回から毎回SOLD OUTと、プラスワン屈指の人気イベントでもある当イベントを間近に控え、こんなにもアヤしいサイトの管理人なのに、どこからどう見てもマトモな大島 学氏(でもそこがなんかアヤしい)にいろいろと伺ってみました!(interview:東 健太郎+マツマル/LOFT/PLUS ONE 写真:田中正清)
「管理人」兼「投稿者」
──今やテレビなどのメディアにも引っ張りだこで、大変お忙しそうな印象を受ける大島さんですが、当店屈指の人気イベント「事故物件ナイト」も今回で4回目。初めてこのイベントを開催することになった時の経緯を伺ってもよろしいでしょうか?
大島:もともとは以前プラスワンにいらっしゃった小林タクオさん(現在はロフトプラスワン・ウエスト所属)が大阪に転勤になるということで、引越先を探していた時にたまたま「大島てる」に当たったそうで、そこから興味を持って、イベント開催という運びになったようです。
──その頃は今ほど連日の如くメディアに露出があったわけではなかったかと思うのですが、不動産業界ではすでに有名な存在だったそうですね。
大島:それまでにもメディアの皆さんとの接触自体はあったのですが、イベントとなると、実際に開催に至ったのは初めてでしたね。一般に知られるようになった契機は、2009年に編集家の竹熊健太郎さんがブログに書いたことですかね。その後、ガジェット通信にも取り上げられ、Yahoo!ニュースにも転載されたことで、一気にアクセス数が増えて、サーバーが落ちるという事態にまでなりました。復旧にだいぶ時間がかかって、せっかく話題になったのにサイトが見られない状態が続いてしまって、とうとう「なんらかの圧力があって潰されたのでは?」なんていう噂まで立つようになりました(笑)。
──「大島てる」はもともとサイトの名前ではなかったんですよね?
大島:そうですね。「てる」は私の祖母の名前なんですが、「大島てる」が株式会社になるずっと前から不動産賃貸・管理業を営んでいました。そして、保有物件を増やしていく中で、「事故物件を掴まされたくない」という思いから、2005年にサイトを立ち上げました。現在は地図形式の大きなデータベースになることができていますが、初めはテキストだけのメモ代わりのようなものだったんです。情報の正しさ・詳しさ・漏れのなさを追求していますので、不特定多数の皆さんにアクセスしてもらえるよう最大限努力しています。そうしてこそ、間違い・漏れの指摘をしてもらえるからです。
──どのようにして事故物件の調査をされていたのでしょうか?
大島:初めは図書館で新聞の縮刷版を読んでいました。かつては事件・事故現場の住所や部屋番号といった詳細が新聞報道されていたのです。でも、いつもというわけではありませんし、そもそも報道されない事件・事故もたくさんあります。そういうものについて後から調査するのはとても難しいということにすぐに気づかされました。そこで、過去の事件・事故現場の一覧を作るのではなく、「日々起きている事件・事故現場の情報を蓄積していく」という新たなアプローチによるサイトを開設したのです。当然のことですが、たった今起こった出来事について調べるには今すぐ現場に行くのが一番です。ちょうど昨日(註:取材日は7月7日)、池袋で射殺事件がありましたが、早速ウチのスタッフが事件後の現場写真を撮ってきました。
──今ではサイトの知名度もかなりありますし、投稿された情報だけでも問題なさそうに思えますが、未だに大島さんご自身で調査に行かれることはありますか?
大島:実際のところ、サイトの管理業務がほぼ中心にはなってきているんですが…先日のイベントでご紹介した暴力団事務所の写真は、その後私が自分で撮りに行きましたし、イチ投稿者としての私がやるべきこともまだまだあるのではないかと思ってますね(笑)。
今さら改名!?
──サイトの管理業務というのはどういったことをされていらっしゃるのでしょうか?
大島:編集長のような立場にありますね。どのような投稿を不適切なものとして削除するかは私自身が判断しています。一方で、個人サイトではないので、私個人がすべての情報の裏を取っているわけではありません。信頼できる情報提供者からの情報は鵜呑みにしてしまっています。
──「信頼できる情報提供者」というのは何人ぐらいいらっしゃるのでしょうか?
大島:一度もお会いしたことのない方もいますし、一口に「何人」と言うのもなかなか難しいですね。明らかに警察・報道関係者と思われる方々もいるのですが、敢えて詮索しないようにしています。「昨日、隣の部屋で自殺があった」といった単発の情報提供者も多いのですが、実はそういった方々にこそ一番期待していますね。
──最近では外国の事故物件についてもかなり手を広げていらっしゃいますよね。
大島:いや、まだまだですね。外国に手を広げたのは約3年前ですが、「大島てる」で日本全域の地図を見た人が、「あれ? 外国にもなんかあるぞ」とやっと気づくぐらいで、認知度としてはほとんどないのではないかと。
──大島さん自身はもっと外国にも力を入れていきたいのでしょうか?
大島:外国での「事故物件」というものについての捉え方が日本とどう違うのかさえまだ分からないので、まずは継続する必要があると思っています。それと、戦場となっている国にはそもそも事故物件の概念なんてないはずなので、どうしても先進国の主要都市に限られてしまうのですが、そこに旅行・出張や駐在・留学をする日本人にとっても需要があるのではないかと。英語圏のサイトに先を越されないよう、もっと充実させていきたいですね。
──なるほど。英語版も一刻も早く認知度を上げていきたいですね。
大島:そうですね。あと、サイトの認知度向上に向けて、「ユーザーに分かりにくいことはやめよう」ということで、まずは私自身がメディアに露出する時は「大島てる」と名乗ろうかと思っています(笑)。
──たしかに、大島(学)さんのことを「大島てる」だと思っている方はかなり多いんじゃないでしょうか(笑)。
大島:先日、地上波のテレビ番組に出演した時は完全に「大島てる」として紹介されていましたし、もうそれでいいや、と(笑)。ですので次回のイベント告知からは「大島てる」として紹介して頂けると助かりますね。
──分かりました(笑)。当店でイベントを続ける理由も「サイトの認知度を上げる」という意味合いがやはり強いのでしょうか?
大島:そうですね。地道な布教活動という感じで。こんなに管理人が投稿するサイトというのも珍しいのではないかと思いますので(笑)、イベントにご来場のお客さんに、私自身がどういう人間かを知ってもらって、そこからさらに投稿者が増えていくということを期待しています。それと、その場でのお客さんのナマの反応を見ることもサイト運営の参考になっていますね。
──今後のイベントでやりたいことがあれば是非とも伺いたいです。
大島:2回、3回とイベントが続いていくのはとても有難いことですが、途中から参加したお客さんがついていけないようなものにはしたくないですね。あと、カタい講演会のようなものにもしたくない。「これがやりたい」というよりは、私自身、あれこれ知りたい気持ちが強いので、いろいろなゲストがいらっしゃるのは嬉しいですね。私の話だけだとお客さんも眠くなってしまうと思いますので(笑)。
──そんなことないです(笑)。もっと大島さんのお話を聞きたくて何度も足を運んでくださっているお客さんも多いのではないかと。
大島:そういう皆さんには「肝心の大島の話が聞けなかったからまた来よう」と思ってもらえるといいですね(笑)。私はゲストのお話を横で聞いているだけで楽しいので…。
大島てる年表
平成17年9月 サイト開設
平成18年9月 グーグルマップ版公開
平成21年9月 Yahoo!トップページに記事掲載→サーバダウン
平成21年12月 モバイル版(フィーチャーフォン版)公開
平成22年2月 Twitter開始
平成22年10月 Facebook開始
平成23年6月 (日本語版)投稿機能公開
平成23年8月 スマートフォン版公開
平成23年10月 英語版公開
平成23年11月 英語版投稿機能公開
平成24年1月 ブログ開設
平成25年1月 Androidアプリリリース