今年7月に1年半ぶりとなる『○』をリリースしたHalf-Lifeが、下北沢シェルターが立ち上げたレーベル"SHELTER UNITED"より第二弾EPとなる『△』をリリースする。今年になって怒涛の動きを見せる見せる彼らの新たなる楽曲に対する想いを語ってもらった。(interview:やまだともこ/構成:平野 風)
“SHELTER UNITED”での活動
── 『○』をリリースした際のインタビューでは、「やりたいようにやったからこそ不安もある」とおっしゃってましたが、今その不安はどのような形になってきていますか?
福島 有(Dr,Vo):自由すぎて難しいことは変わらないですね(笑)。でも、曲は順調に出来ています。
上里 洋志(Vo,Gt):今回の『△』はすごく自由な感じが出ているのですが、メジャーのフィールドでと考えると自由すぎたかなとは思います。ただ、3人でやりたいことをやろうという気持ちが楽曲に表れてきていると思うので良いと思っています。
── バンドの雰囲気は楽しくやれてるという感じですか?
上里:楽しくやれるようになってきましたね。僕は『○』のリリースツアーの1ヶ月間で、見に来てくれるお客さんや音楽に触れる時間というのを今まで以上に感じられるようになりました。1年半ぶりのツアーだったので、僕らのことは忘れ去られているかもしれないという中、ライブに来てくれる人たちがいることが純粋に嬉しかったです。観に来てくれる人が0人になるまではやれるな、って思いました。
── バンドを続けていくことの確信を得られたということですか?
上里:はい。
── 前作よりシェルターレーベル(SHELTER UNITED)に所属されましたが、こちらはいかがですか?
上里:すごくやりやすいです。本質的なところを認めてくれますし、共に上を目指して活動していけているので。色々な人たちと交わっていく中で、メンバーさえも規制を作って行動するのに、その規制を取っ払った自分たちとやりたいと言ってくれる人がいるだけで、こんなにも嬉しいことはないです。
『△』EP
── 前回のインタビューのときに、『○』EPの3曲は出来ている曲の中から選んだとの事でしたが、今回のEPはその時に出来ていた曲も収録されているんですか?
上里:1曲はそうですね。大枠でサビだけ作ってあって、それに歌詞を乗せたんです。今回は『△』というタイトルなので、『○』よりももっと尖った曲にしようと思って練ってみました。
── 1曲目は『げきおこぷんぷんまる』ですが、まず凄いタイトルですね(苦笑)。
上里:もともとタイトルがなかったんですが、以前シェルターで弾き語りでやったときに「めちゃ怒ってるね」と言われて、怒ってるというのは伝わっているんだと。それで『げきおこぷんぷんまる』というタイトルが浮かんで、その後みんなで考え直したんですけど、これよりもしっくりくるタイトルがなかったのでこのタイトルに決まりました。最初にメンバーにこのタイトルを言った時は「は?」ってなりましたよ(笑)。今でもタイトルを聞いて「え? 何?」という反応をする人が多いんですけど、こちらとしては「よしきた!」という感じがして。絶対引っかかるワードですからね。
── 7月のツアーファイナルでもこの曲はやったんですか?
上里:やりました。タイトルは言ってませんが(笑)。
── 歌詞は現在の日本のことを表していると思うのですが、どうしてこういう歌詞を書こうと思ったんですか?
上里:最近疑問を持つことが非常に多いんです。その答えも受け止めきれないことが世の中にありすぎる気がしていて、全てに対して毒を吐き出したい、思い切り文句を言ってやりたいという気持ちから、怒りの感情をこの歌で出しています。
── 音も歌詞からイメージして作っていったんですか?
上里:曲の形は既に出来上がっていたんですが、歌詞の字数が多くてラップのような形になりました。もともと有くんと2人でリフを作ったんですが、有くんがいろいろなイメージをどんどんぶっこんでくるので、これは凄く尖っているな、と思いましたね(笑)。EPというタイトルには凄く合っていると思います。
── 福島さんはどんなイメージを持って曲作りに挑んだんですか?
福島:洋志が歌いたいように歌って欲しかったので、そこに少しだけ手を加えて仕上げました。
── 他2曲はどうやって作っていったんですか?
福島:ライブ感を出したかったので1発録りで仕上げました。
── 2曲目の『インスタント』はそこまで尖っているわけではないですよね。
上里:これは弾き語りでずっと弾いていた曲だったんですよ。実体験の恋愛を歌詞にして、バンドサウンドに仕上げました。イメージが出来ていたので完成させるのにあまり時間はかからなかったです。
── いつまでも過去の彼女を思い出しているという感じの歌詞は、男性的の恋愛観だなと思いましたが。
上里:(笑)そうですね。誰しもが経験あることだと思います。
岡村 健人(Ba,Vo):この曲は、初めはシンプルな感じで仕上げようと考えていたのですが、『△』EPの曲ですし、有くんと合わせながらエッジを効かせました。Half-Lifeの遅い曲の中では結構尖ってるんじゃないかと思っています。
── 『△』という作品で尖らせたいというイメージがあって、アレンジを仕上げたんですね。
岡村:もちろんそうです。普段と違うアプローチで弾いたので大変でしたが、スキルアップもしていると思います。
── そして3曲目の『Because of You』ですが、英語詞は久しぶりですね。
岡村:1から新しく作ったのは久しぶりですが、日本語の歌詞よりも楽に作れた感じがします。これは歌詞が尖ってるんですよ。
── この曲は、どんなことを歌ってるんですか?
上里:『Because of You』って「全部お前のせい」って意味で、何か悩んでいることだったり、マイナスに思っていることは全部自分のせいなんだよって言っている曲なんです。実は1曲目の『げきおこぷんぷんまる』くらい尖ってるんですよ。何かに依存して溺れている人って、悪いことがあった時に、依存しているもののせいにすることがあるみたいで、でもそれって本当は自分に責任があるんですよね。「いやいや、それはお前が悪いんだよ」って強く言ってやりたいことが多くて。「お前がやりたくてやってるんでしょ? じゃあ頑張れよ」と。ケツ叩いて引っ張りたいですね。
── 曲調もメロディックですし、勢いもありますよね。余談ですが、上里さん自身何か溺れているものってあるんですか?
上里:僕はmixiが流行ったときに結構溺れたんですよ。今ではTwitterやFacebookをあえてやってません。自分たちが世間でどう思われているかというのはいつも気になってしまいますし、そういう思いは常にあると思うんですけど。
いよいよ始まる『△』EPツアーにむけて
── 11月9日より全国5ヶ所を回る『△』リリースツアー“△関係”が始まりますね。
岡村:1ヶ月でツアーを回るのは初めてなんですよ。全箇所を気心知れた人たちを迎えて、集中して真剣にライブをします。今回は長く演奏出来るので、自分たちの世界観を出せると思います。今までやったことが無いので楽しみにしています。
── 福島さんはいかがですか?
福島:特に変わらずなんです。ライブだけ精一杯やれれば後はゆっくり過ごしたいですし。やはり、練習以上のことは出せないと思っているのでどこに行っても全力でやる、自分はそれだけです。
上里:前回『○』EPツアーの時にHalf-Lifeが認められているという実感を得たので、今回はもっと大きくしていきたいと思っています。その為の1歩になるように考えてます。
── そういえば、前回ツアーの初日のシェルターでは、ライブ前にみなさんがバンジージャンプをする映像が流れていたそうですが、それは何か決意の表れだったんですか?
岡村:僕と有くんの2人が飛んだんですが、義村(シェルター店長)とやっているUstream番組内の罰ゲームだったんです。
福島:健人はクイズで負けたからで、俺は飛びたいから飛びました(笑)。
── 岡村さんは飛ぶまでに1時間ぐらいかかったそうですが。
岡村:こういうの嫌いなんです。
福島:でも、『△』を出すにあたって、来月この中の誰かが日本一の高さのバンジージャンプをするんです。ラジオ番組の企画のひとつですがUstreamでも放送します! そして俺は飛ぶのが決まっています。
── あ、決まっているんですね。
福島:飛びたい。
岡村・上里:狂ってる(笑)。
── 日本一の高さって大丈夫なんですか?
福島:俺は大丈夫ですけど、健人は無理かもしれん(笑)。
── なるほど。岡村さんも腹を括る時が来たんですね。
岡村:いやいや(笑)、それ以外のところで腹を括っているので大丈夫です(笑)!!