新鮮な気持ちで走り続けて行きたい
── 『少女C』は音も変わりましたよね。3人+鍵盤の音が入って。ghostnoteは3ピースで最大限出せる音をこれまで提示してきたので意外だなと思ったんです。
「ghostnoteは3ピースのバンドだから、シンプルな音でCDを作らないとライブで具現化出来ないということで、これまでは作品もライブに寄せていたんです。それで最初の話になるんですけど新しいghostnoteを考えていた時に、これまで3人でやってきたから音を足してみるかってなって、明確な意図があったわけじゃないんだけどそれで1回やってみようって、ギターのりょうすけと鍵盤のひろしがサポートで入ってくれて、ひろしはスケジュールが合わなくて一度離れている状態ですが、今はりょうすけと僕らの4人で固まってます。今回は作品としてどこまで突き詰められるかということを考えましたね。もちろんライブのことも考えますけど、曲としてどこまでやれるかをやってみたかったんです。通過点でプロデューサーが入ったりもしてましたけど、自分たちだけでいろんなアプローチをしたいというのもあって、3ピースというところも取っ払って作ったんです」
── 人が増えれば音もさらに厚みが増すと思いますが、やってみてどうでした?
「ずっと3人でやっていたので新鮮でしたね。でも、音もそうですけど、ステージに立ったらサポートとは言えメンバーの1人なので、それぞれの個性をうまく生かせるステージを見せたいし、音も作っていかないと成立しないということを感じていて、今は試行錯誤中です」
── お客さんからしたら3ピースのghostnoteにメンバーが増えるというのは戸惑いもあったと思いますが。
「ライブで初めてサポートメンバーと一緒に音を出した瞬間は、どう受け入れられるかなというドキドキはありましたけど、自分たちが真摯に音楽と向き合っているというのが伝わったのか、受け入れてくれる感じはありましたね。そこはスムーズに行けたなという感触です。CDのほうはリリースしてみないとわからない部分もあるし、リリース前にいろんな人に聴いてもらって感想を聞く感じでは良かったよと言ってくれる人が多いので、今のところ間違ってなかったという感じはしています」
── 今話をしている感じもそうですけど、バンドを楽しくやっているという印象を強く受けますよ。
「これをやったらダメという制約がほぼなくなってきてますからね。何をやったっていいんだっていう気持ちなので、もっともっといろんな曲をこれからも書きたいなって思いますしね。壊し続けるというのは今の自分のテーマです」
── 10年目にして再スタートという感じですか?
「同じメンバーだし、これまで歩いてきた道はありますけど、新しいバンドを始めるようなイメージですよ。活動して10年になると、まわりに後輩のバンドが増えてくるし、メ10年も活動しているなんて大先輩ですねモって言われることもあるんですけど、10年経っても20年経っても、20歳ぐらいの衝動を持ったバンドと同じ気持ちでやっていきたいとは思いますね。いつでも新鮮な気持ちでいたい。あぐらもかきたくないですし。そう考えると、10年やってきたという自負はいらないなって思うんですよ。常に新しいことをやっていきたいし、色褪せたくないし。その気持ちはすごく強いですね」
── そう思うようになったのはここ最近ですか?
「昔から思ってましたけど、10年活動してより思うのかもしれないですね。いろんなバンドと共演したり、たくさんのバンドと繋がっていく中で、自分たちの目の前をいくつものバンドが通り過ぎて行ったし、売れていったバンドもたくさんいるし、同じぐらいの数のバンドがいなくなったし、自分たちより年下のバンドがたくさん出てきたし、先陣をきってる大先輩のバンドもたくさんいますし、新鮮な気持ちで走り続けて行きたいというの思いますね」
── では、今結成して10年ですけど、この先の10年後はどういう未来を想像していますか?
「理想はたくさんありますけどね。武道館でライブをやりたいって思うし、そこに辿り着くまでにはいろいろ過程があるだろうし、そこまで続けていたいし、続けていくためにどうしていくかと考えるのも必要だし。でも、その時にどれぐらいのステージでやっているかはわからないですけど、今と同じようにやってるんじゃないかなと思います」
── 10年先も、今この瞬間と同じように新鮮な気持ちで活動をしていたい?
「新鮮な気持ちでいられなくなったら、たぶんバンドを辞めちゃうと思う。この先の自分たちへの希望とか、危機感とかはずっとあるんだろうなと思いますね」
── バンドで活動していて何が一番楽しいですか? ライブですか? それとも作詞作曲なのか、メンバーと音を鳴らした瞬間なのか。
「やっぱりライブが一番楽しいと思います」
── ライブでこうしたいからこういう曲を作ろうというのはありますか?
「もちろんそれもあるし、今回の『少女C』をライブでやって、みんなに“どう? いいっしょ?”みたいな、ライブって目の前に人がいて、ワンマンじゃなければ共演するバンドがいて、“対ひと”じゃないですか。やっぱり人が好きなんでしょうね。好きだからこそ、どう思われてるのかなって気になっちゃったりもするし」
── 聴いてるお客さんの表情とか気になって見たりします?
「見ちゃいますよね。どう感じてくれてるかなーって。でも、ライブの中でのコミニュケーションは好きなので。いろんなバンドを見ていて思うのはライブって難しいなぁって。10年やってきて言う言葉じゃないですけどね(笑)。お客さんがいて初めてライブになるんだけど、時に自分との戦いだったりするんですよね。これで良いのか? って自問自答して、自分自身を超えられた瞬間を感じられたライブというのは結果会場を巻き込めているものだったりして。それもライブだし、そこもひっくるめてすごく好きな場所なんです」
── そういう瞬間がたくさんあるから、ステージに立つことがやみつきになるんでしょうね。
「そうだと思いますよ。メ何やこれ!モっていう景色を創ることも出来るし、自分の心の中の感覚が普通に生きていたらなかなか味わえないものもあると思っていて、それを自分で掴み取ることも出来るし、取りこぼすことも出来る。全て自分次第なんですけど、それがまた楽しいんだろうなって思います」
── 創作意欲とステージに立ちたいという思いは一度味わったらなくなることはなさそうな気がします。
「たまに考えるんですよ。自分がもし歌えなくなったらその先どうやって生きて行こうかなとか、自分の喉が使えなくなったらどうしようとか」
若い世代のバンドから学ぶことってすごく多いんです
── ライブはワンマンが地元岡山のクレイジーママキングダムで9月1日にあって、東京は9月21日に下北沢ガレージでザ・チャレンジとGoodbye holidayを迎えてレコ発ライブを行ないます。その後、11月にもツアーがあって。
「11月の4本は、CHERRY NADE 169とHalo at 四畳半の3バンドでまわるスプリットツアーです。CHERRY NADE 169は20代半ばのバンドで、Halo at 四畳半は20歳ぐらい。新進気鋭のバンドなので全力でぶつかっていこうと思っています。今までは同年代のバンドとツアーにまわることが多かったですけど、自分たちから若いバンドの中に飛び込んで行って、お互いどれだけのシンパシーを感じられるかとか、新しい発見が出来るかとか、若い世代のバンドから学ぶことってすごく多いんですよ。そこで自分たちはどうするかを考えられなかったらバンドは成長出来ませんよ」
── バンド10年でまだ欲を持ち続けられるってすごく素敵なことですね。仕事とかでもそうですけど、10年も続けてると新しいことに挑戦しようという気持ちが薄れちゃったりしますから。
「ラクなほうを選ぶと慣れになっちゃうんですよね。ちゃんとチャレンジしていかないとですよ」
── 肝に銘じます。
「僕も自分で言いながら肝に銘じました(笑)」
── その4ヶ所のスプリットツアーがあって、それ以外だとどんなライブがあるんですか?
「ghostnoteも10周年ですし、12月にあるO-crestの10周年企画に参加が決まっていたりとか、年末までいろいろブッキング中です。このまま行くと年内にもう1枚出せるかな、それとも年明けるかな…という感じです。曲もたまってきて、シングル出したし、そしたらもうちょっと大きいサイズの作品が欲しいよなって思うんですよね」
── 今回2曲でこれだけ新しいghostnoteを見ることが出来たから、今後の作品も変わっていくかもしれないですね。
「そこは自分でも期待してるというか。何したいんかな、何が出来るかなというところですよね。完璧にイメージが固まってはないですけどね。こうでなきゃいけないというのはないので、昔の曲を掘り下げて再録しても良いと思うし、新曲もあったほうが良いだろうし、なんでも出来るなーと思ってます」
── メンバーも増えたし、音の数も増えたし、気持ちも変わったし…。
「レーベルも変わったし、生活も変わったし、8月15日で30歳にもなったし」
── えっ!! ついに30歳になったんですか!?
「一番最初に会った時っていつぐらいでしたっけ?」
── 確か大平さんが23歳ぐらいだったと思います。髪の毛がクルクルしてて。田んぼの中で撮っているようなアーティスト写真の時でした。
「『素晴らしき世界』の時ですね」
── 出会って6年とか7年が経ち、さっきの話じゃないですけど多くのバンドが始まったし、多くのバンドが辞めてしまっているし、聴き手としてはghostnoteが続けてくれてることがすごく嬉しいことだと思うんです。だから10年後も20年後も活動を楽しみにしています。
「はい。その期待には応え続けたいですね。でも、やっぱり欲深いんですよ。続けるだけじゃ意味がないと思っていて、ダラダラ続けようとは思ってないので…。そういうマインドに入ったらバンドは終わりだと思うし、俺自身もghostnoteも終わっちゃうんで、常に上を見ていかないと、と思っています」