これがBLUE ENCOUNTですというアルバムが出来ました
── 先ほど言っていた“やれる範囲でがんばろうよ”というのは、今回6曲目に収録されている『ANSWER』の歌詞と近いですよね。
「この曲の歌詞は迷いましたね。ライブで言っている言葉を詰め込みたくて、歌詞を考えたというか。“さぁほら、この曲の間ぐらい 心を締め付けるヒモをほどいて”という歌詞があるんですけど、“この曲の間ぐらい”という言葉を入れるかどうかでも相当悩みました。でも、日頃嫌なことがある人でも、少しでも良いからこの曲の間ぐらい現実を忘れて欲しいし、聴き終わった時には力を与えられている曲でありたいという気持ちを込めて、通勤や通学途中の電車の中で聴いて欲しいと思いながら書きました」
── また、今作『NOISY SLUGGER』は特に2曲目の『JUST AWAKE』から4曲目の『SAVE』まで、ホームランをかっ飛ばしていくような攻撃力の強い曲が揃いましたね。
「アップテンポで攻めましたね。ライブを想起させる曲順と言いますか。『JUST AWAKE』を最初に持ってきて、『SLUGGER』を次にしてというイメージは出来ていたので、曲の組み方もすんなり出来たし、全体の構成を考えるのも早かったし、何より曲作りもあっという間でした」
── たくさん曲があった中から、こういうアルバムにしたいからこの曲を録ろうという感じだったんですか?
「そうですね。ライブ感のあるアルバムにしたいと考えていたので、そういう曲を何十曲も作って、今回は千葉で3泊4日の合宿をさせてもらったんですけど、アレンジも含めて1日で終わったんです。次の日からは個々にアレンジを練り直し、僕は歌詞を書いて行ったんですけど、これはBLUE ENCOUNT史上最速で、俺らは相当この曲をやりたかったんだなって。体が欲してたんだなと思ったんです。BLUE ENCOUNTをこう見せたいというのがたまっていたので、その中でも1曲1曲バラエティーに富んでいるというのでバランスがすごく良いなと思うんです」
── その中で『NOBODY』のようなコミカルな曲も入れつつ。
「以前作った『D・N・K』というラップの曲があるんですけど、その流れもあって、『NOBODY』もかなりおちゃらけてますよね。最初は、そのまま2ビートで行こうと思ったんですけど、それではおもしろくないなと、こういうアレンジになりました」
── フラれてしまったという状況をおもしろおかしく表現する歌詞だったり、ドラムの強烈なスピード感とか、ギターが突然弾きまくる感じとか。
「うちのギターはプレイ的にはまだまだなんですけど、持ってくるフレーズは逸脱していると言いますか、普通に考えない事を持ってくるので、こいつのギターでしか出来ないなと思う事は多々ありますね。それを存分に詰め込んだのが『NOBODY』で、聴き応えはあると思います。この曲の仮タイトルが『口笛』だったんですけど…」
── 上手な口笛が、曲の最初の方に入ってましたよね。
「僕ひとつ言いますと、口笛がめっちゃ上手いんです(ここで編集部内に響き渡る本当に上手な口笛を披露してくれました/笑)。もともとは、曲を作った時にギターのメロディーを表現したくて口笛で入れていったんです。それで曲を全部録り終わった時に“口笛入れないの?”と言われて、“そういうつもりじゃないんですけど”って言ったんですけど、“入れた方が良いと思うな”って。この口笛一発OKなんですよ。どの歌よりもどのギターよりもうまく録れました(笑)」
── また、『NOBODY』の次に収録された渾身のバラード『YOU』は、ライブの最後に歌うんだろうなという雰囲気がある曲ですね。
「まさにそれです。みんなで手を挙げて、泣きながら聴いて欲しいという曲です。歌詞は1人のことを思ってそうなイメージがあると思いますが…」
── ラブバラードですよね。
「恥ずかしくなるぐらいのラブバラードですよね。でも、お客さんのことも考えて書いた歌詞で、バンド的なラブソングという意味もありますね。だから、ちょっとクサイ言葉を使っていたりするんです。昔は比喩的な言葉を使って歌詞を書いてましたけど、もっとストレートで良いんじゃないかって歌詞の書き方を変えたんです。今は自分のやりたいことがちゃんと形になっているし、これがBLUE ENCOUNTですというアルバムが『NOISY SLUGGER』で出来た気がします」
夏に鍛えた集大成を12月に見て欲しい
「1曲目の『opening』は普段のライブでやっている曲で、メロディアスなんだねーって思わせておいて、リード曲の『JUST AWAKE』は合宿に入る前日に出来た曲なんです。もともとリード曲は『SAVE』で考えていたんですけど、『JUST AWAKE』が出来た瞬間一気にアルバムが締まった感じがしたんです」
── 『JUST AWAKE』はシンガロングもあるし、ラップもあるし、もちろんギターロックの要素もあり、詰め込まれてますね。
「詰め込みましたね。エモとかメロコアとか、ミクスチャーもあって、歌詞もBLUE ENCOUNT節に乗せて出来ましたし、1曲でBLUE ENCOUNTが凝縮出来てますね。この曲は作っていて楽しかったです。楽しい時に曲が出来ることが多いんですけど、こういう曲が出来たということはすごく楽しかったんだと思います。
── いっきに書けた?
「はい。歌詞では韻を踏みながらもメッセージ性を持ったものにしたくて、それも1日で書けました」
── 英語と日本語で書かれた歌詞ですが、もともとは歌詞は日本語で書いていくんですか?
「特に決めてなくて、子音とか母音のあたり方次第なんです。基本的に英語でも日本語でも、気持ち良くはまれば大丈夫だと思っていて、『JUST AWAKE』は“じゃすた うぇ〜ぃく”というパンチの効いたサビが浮かんで、最初は全部英語で書いていったんですけど、響きとして納得できない部分もあったので、日本語に変えたりしていきました」
── それは訳として書いた日本語になるんですか?
「全然違います。訳にするとわけがわからなくなるので」
── 『JUST AWAKE』も『NOBODY』も英語と日本語のバランスが絶妙ですよね。
「『NOBODY』は全部英語で作ろうと思っていたんですけど、メロディー的にも文法的にもうまくはまらなくて、今のような形になりました」
── ライブをイメージして曲を作ったりします?
「ここ最近はそれですね。本当にライブが好きなんだなと思うのが、意識しなくても結局ライブをイメージした曲になっているというか、たまには奇をてらった曲を作ろうと思ってもライブ感がちゃんとあったり、最後のバラードの曲も結局ライブ感がチラチラ出てると思うんです。そこら辺がこの数年で変わったなと思っています」
── 今年の夏は“SUMMER SONIC”の出演があって、ライブもたくさん決まっていて、自身のツアーは年末に東名阪で決定していて、さらにどんどん進化していきそうですね。
「リリースしてライブがたくさんありますけど、呼んで頂いて出演するものが多いんです。なんで自分たちのリリースツアーをやらないかと言うと、呼んでもらったライブに出演させてもらうということは、対バンを目当てでライブハウスに来る人が多いと思うんです。その中でどれだけ自分たちに振り向かせることが出来るのかというのを、勉強し直したいと思ったんです。今のライブにも自信はありますけど、もっと自信を付けるためには努力が必要で、そのために先輩方のステージに立たせてもらったり、同期や後輩などいろんなイベントの中で、どんどん鍛えて行きたいんです。それで、12月の東名阪ワンマンツアーでは、もっと力を付けてライブに挑みたいと思っていて。俺らが夏に鍛えられてきた集大成を12月に見に来て欲しいなと思っています。とにかく今はライブをたくさんやりたくて、やらせてもらえる環境があって、この環境とチャンスに感謝しつつ、しっかりと受け入れて行きたいです。12月のワンマンでO-WESTは自分たちにとって過去最大のキャパなので、そこを成功させて来年に繋げて行きたいですね。今自信がすごくあって、それに恥じないライブをやってきたつもりですし、曲とライブを信じてこれからも活動をしていきたいと思っています」