女性3人からなるトリオバンドBO-PEEP。5枚目となるアルバム『VIBE』をアメリカのiTunes Storeなどで先行発売し、それに合わせたUSツアーを3月に行ってきたが、その『VIBE』がいよいよ国内でも発売された。ベーシスト交代後初のアルバムとなる今作はBO-PEEP特有のアグレッシブなラウドロックとメロディックなパンクに加え4つ打ちのエレクトロビートへのアプローチも見せ、これまでのBO-PEEPサウンドの集大成ともいえる作品になっている。7/2の発売記念パーティー、そして8/3のSUPER JUNKY MONKEYのオープニングアクトを控えたBO-PEEPのMikaとRyokoに話を伺った。(Text:加藤梅造)
行ったからには躊躇してる暇はない
──ROOFTOPでは意外にもBO-PEEPの初インタビューということなので、基本的な所からお聞かせいただければと思います。MikaさんとRyokoさんは共に福岡市出身でBO-PEEPも福岡で結成されたんですよね。
Ryoko そうです。福岡で1年ぐらいずっとやっていて、時々東京や大阪にもツアーで行ってました。
Mika バンドを結成した時に1年間やっておもしろくならなかったら辞めようという話を最初にして、その間やれることは全部やろうと。それですぐにデモ音源を作って至る所に送ったんです。それでたまたま3rd Stone From The Sunから声をかけてもらって。
──それで東京に出てきたんですね。
Mika いろいろ問題もあったんですが、考えてもしょうがないからとりあえず行っちゃえと。
──わりと早い段階でイギリスツアーをしているんですよね。
Ryoko それもいい出会いがあって、インターネットでBO-PEEPを視聴してくれたダニエルというイギリス人がDJをやっていて音源を送って欲しいとメールをくれたんです。彼は音楽ライターでもあり、フジロックに来た時に仲良くなって、その時に彼がイギリスでライブのブッキングをしてくれることになったんです。
──初めての海外ツアーでお客さんの反応はどうでした?
Mika それがよかったんです。どこのライブでも受け入れてくれて。向こうのライブハウスって必ずバーがあって、つまらないとバーに飲みに行っちゃうんですが、私たちの時はそれはなかった。
──初めてのイギリスがいきなりウケたわけですが、その後も海外ツアーはよくされてますよね。
Ryoko そうですね。イギリスに3回、アメリカに2回ですね。
──一番最近だと3月にアメリカツアーをされたばかりですが、かなりいろいろな都市を回ったんですね。
Ryoko はい、広い大地を車で回りました。町から町へと。
Mika 日本縦断よりも距離がありましたね。もうずっと飲んで食べてた(笑)。ライブについては行ったからには躊躇してる暇はないから、もうやるしかないと。
Ryoko 2週間で15本ライブをやったんですが、移動日もあるので、1日3回ライブとかありましたね。昼やって夜やって夜中にやって。
──1日3回! すごいですね。しかも毎回お客さんは初見じゃないですか。
Mika 知らない人に見せるからこそ、その1ステージは絶対に落とせないから1回で印象付けなければという気持ちになります。メンバーのテンションもどんどんあがっていって。多少のトラブルがあってもそれも含めて楽しむようになりました。
──そうやって海外でライブをやっていると、例えば曲作りとかに影響があったりしますか? 外人向けに作ったりとか。
Mika 曲に関してはあまりないですね。ただ、詞については今回のアルバムで初めて英詞の曲を入れました。でも自分たちが楽しめるものは何処に行っても同じだと思うし、逆に海外に合わせるよりは、日本人がやっているという意識が強いほうがいいんじゃないかと思います。
──なるほど。では自分の日本人的な部分を意識することとかあるんですか?
Ryoko うーん、特に自分が日本人だと意識したことはないかな。ドラムやってますぐらいで。
──逆にBO-PEEPは福岡という土着的なロック文化の街で育ったわけですが、自分の中のローカル性と海外の輸入音楽を聴いて育った部分はどう融合しているんでしょうか。
Ryoko たぶん自分の中には自然にめんたいロックも染みついていれば、洋楽も染みついてるし、それは音を出したとき無意識のうちに出てるような気がする。
Mika 私たちの場合、所謂めんたいロックを直接聴いてはいなくて、それを聴いて出てきた有江嘉典さんやMO'SOME TONEBENDERといった次の世代のバンドに触れて育ったので、めんたいロック直撃ではなかったんです。でもそういうのはすごい染みついてるんだと思います。
Ryoko とんこつラーメン食べすぎたみたいな(笑)
楽になることの大事さ
──ニューアルバム『VIBE』についてですが、今回はどんなアルバムにしようと意識しましたか?
Mika 前作の『SICK ORANGE TELEVISION』はいいアルバムだったんですが、うちらにしてはちょっと暴れる要素が少なかったので、前々作『Is It Good For You? !!』との中間を目指しながら、さらに今まで培ってきたパワーを足してみました。もっとライブ感が欲しいなあと思って。
──1曲目「Power」、2曲目「Junction Gorilla」なんかはライブ感あふれるアグレッシブな曲でBO-PEEPらしい感じがしました。一方、3曲目「I Do My Best」はかなりメロディアスな曲で歌の雰囲気も変わりますよね。
Mika 私もともとは3曲目のようなPOPな曲が大好きだったんです。MO'SOMEとかを聴いてもっとアグレッシブな曲もやりたいと思うようになった。
──7曲「Let Yourself Go」は今までにない感じの曲ですね。
Ryoko 何気なく作ったらバンドとかけ離れた曲ができたんですが、こういう曲も欲しいなと思って。もとは打ち込みで作ったので、そういう雰囲気が残ってますね。
──今までやってない新しいことを積極的に取り入れるタイプなんですか?
Ryoko 新しいことをやろうとはあまり思わなくて、自分たちがカッコいいと思うことを取り入れたいという感じですね。でも器用じゃないから、バンドがそれほど大きくは変わらないと思います。
Mika 器用だったらもうちょっとなんとかなってますよね(笑)
──バンドを始めた時に1年間できることをなんでもやってみたということですが、その1年間ってすごく大きかったんじゃないですか。
Ryoko その時のことはすごくいろいろ憶えてるね。
Mika ものすごい練習したからね。今は全然しないけど(笑)。1週間に3回、仕事が終わってから3時間。ライブが終わった後は打ち上げじゃなくて反省会だったし。もっとこうしたいのにって気持ちがあっても行動が伴わなくて、いつもイライラしてた。
Ryoko みんなイライラしてたよね。
Mika まあそれがあったから今もいろいろなことを乗り越えていけるんだと思う。
Ryoko 楽になることの大事さもわかった。
──楽になる大事さとは?
Mika 考えすぎないとか、楽しむこととか。
Ryoko イギリスツアーに行った時ぐらいから楽にできるようになったね。お客さんが楽しんでるのを見て、あ、こっちも楽しまなきゃと。
Mika すごいストイックな時代があって、それから楽しむことも覚えて、そういうのを順番に10年間やってきたのがうちらの強みだと思っているので、これからも相当なことがない限り、このままやっていけるだろうなと思います。このバンドを続けていくための展開をどんどんできたらいいし、その中で何かしら新しいことが生まれればいいなと思う。やっぱりバンドの基本は曲とライブだと思うので、これからもそこをしっかりとやっていきたい。
Ryoko たとえどんなことがあってもこのバンドを続けていきたいですね。