ブルボンズの3連続リリースの最終章であるニューアルバム、『BULLUBONE'S NEXT』がPOPTOPより発売される。これまでに比べると、「音を足して厚みを増そうとすればするほど、薄っぺらな感じになっちゃう」とメンバーも言っていたように、よりシンプルになったサウンドは、元来ロックンロールにあるヒリヒリとした手触りが増し、その中には温かさもあり、バラエティーに富んだ作品になっていることは確かだろう。
しかし、メンバー自身は『BULLUBONE'S NEXT』というタイトルを付けただけに、さらにネクストレベルを掲げ、今作でもギターサウンドに固執せず、ロックンロールだけの枠にはとらわれないサウンドを作りだした。
今のブルボンズは面白い。音楽としても人間としても。それは私が胸を張って言えること。この作品をリリースして以降も、精力的な活躍をしてくれるに違いない。まずは、『BULLUBONE'S NEXT』で彼らの"今"を聴いてもらいたいと思う。
今回は、メンバー4人にお話を伺うこととなった。予想外の出来事が多い彼らのライブのように、2月なのに気温が上昇した汗ばむほどの陽気の日だった。(interview:やまだともこ)
L→R
リョーピーブルボン(bass guitar)
タクミブルボン(vocal & guitar)
ブンブンブルボン(vocal,harmonica & guitar)
ハットリブルボン(drum)
隙間を埋めないサウンド作り
──第1弾の『SINGLE, SINGLE, SINGLE』が昨年の10月、第2弾の『グリーンアルバム』が11月、そして今作の『BULLUBONE'S NEXT』が3連続シリーズの最終章となりますが、この期間でよくこれだけの曲が揃いましたね。
タクミブルボン:1ヶ月半ぐらいの間に80曲ぐらい作りましたからね。
ブンブンブルボン:それを40に絞って、そこから20に絞って...。最終的に残ったのが3曲になっちゃって。
──削りすぎちゃいましたね(苦笑)。
ブンブンブルボン:それで、もう一回作り直したんです。
──選ばれた基準はどんなところなんですか?
ブンブンブルボン:密度が濃かったというか、車で言う原動力というか心臓部みたいな曲だったんです。
──ちなみにどの曲になるんですか?
ブンブンブルボン:1曲目の『白線裁判』、2曲目の『ロックンロール以外は全部嘘』、5曲目の『レットミーダウン』です。
──ブルボンズだからこういう曲というのは、ご自身の中であったりするんですか?
タクミブルボン:アルバム毎に狙いがあったりするんですけど、今回は良い意味でも悪い意味でもとっちらかってるような内容になっていると思います。
ブンブンブルボン:『グリーンアルバム』や、『SINGLE, SINGLE, SINGLE』の3曲入りを出した時は、速くて短い曲というのを意識していて、それがコンセプトと言えばコンセプトでしたけど、今回はそれをとっぱらって。
──『BULLUBONE'S NEXT』は、コンセプトがあるとしたら、どんなものなんですか?
ハットリブルボン:正直ないですね。
タクミブルボン:何でもアリな感じでしたよ。
ブンブンブルボン:何でもありがコンセプトです。
──言われてみると『ウイスキーガール』の横に乗れる系の曲があったり、『夏が終わる』のような静かめな曲があったり、『I WANNA BE YOUR LOVER 』のような疾走感のある曲があったり、バラエティーに富んだ作品になりましたよね。その中で『thieves music』のような、サビのあたりのドラムとボーカルだけの構成になる部分などは、特に耳に残りましたよ。
タクミブルボン:最近、隙間を埋めていくだけの作業は素人っぽいと思うようになったんです。バンドを始めた時って、楽器でどんどん埋めていく作業をしてましたが、それが罠なんですよね。それをやると説得力がなくなっちゃう。この曲だけじゃなくて、『呪わば世界』とか『消えろユートピア』『ロックンロール以外は全部嘘』も、間を意識して作っています。
ブンブンブルボン:音を足して厚みを増そうとすればするほど、逆に薄っぺらな感じになっちゃうんですよ。
──なるほど。あと、ベースもよく聴こえる曲が多いですよね。あれは録り方を変えたとか、アレンジを工夫しているとかなんですか?
リョーピーブルボン:録り方はほぼ一緒ですね。ただ、曲によって使うベースを変えたりとかはしています。
タクミブルボン:エンジニアさんがベースの音が好きで。歪ませて。
ハットリブルボン:攻撃的に出してますね。
リョーピーブルボン:ミックス段階ではこっちから注文することなく、そのままでOKですという感じでしたよ。
タクミブルボン:音に関して言えば『ウイスキーガール』ではティン・ホイッスルという民族楽器や、マンドリンとかバンジョーも使い、これまでとはだいぶ違うサウンドが出せたような気がします。
──そして、アルバムの中盤にある『レットミーダウン』は、何が起こったかぐらいのテンポで...。
タクミブルボン:ライブだともっと速いんです。イントロ始まった瞬間「はえー!」って。
リョーピーブルボン:ライブで、タクミくんのギターから始まるんですけど、一度遅い時があって、遅くならないように気をつけようって、速くなりすぎることに対しては注意をしてなかったんですが...。
ハットリブルボン:たまにバカかってぐらい速い時がありますね。
タクミブルボン:いつだかのワンマンもひどかったね。リハで速すぎだって話をしたのにも関わらず...。
リョーピーブルボン:ハットリと顔見合わせて、「マジかよ」って言いましたからね。
ブンブンブルボン:俺、ハープと歌だから、ハープで付いていくのが大変だった(笑)。吹き終わってすぐに歌だし。
ハットリブルボン:ファーストとかセカンドの曲をメインにやってた時は、速いことがいいことだという感じになっていたような気もしますね。
タクミブルボン:そうなんです。『レットミーダウン』はまだマシなほうで、ファーストとかセカンドの曲はライブで演奏すると2倍のスピードになりますからね。
ハットリブルボン:ライブの後にCD聴くと回転数間違ってるんじゃないかぐらいですよ。でも遅くなるより速いほうがいいから。
──何年もの間にいろんなものが足されたり引かれたりがバンドの中であったということですね。ファーストから4年半ぐらいが経ちますが、バンドとして変わったとご自身で思うことってあります?
ハットリブルボン:メンバーが替わった。
タクミブルボン:ドラムの背が小さくなった、顔も小さくなった(笑)。あとは、俺のヒゲが濃くなった(笑)。
──...音楽だと何かあります?
リョーピーブルボン:そういう話ですよね。
タクミブルボン:まあ、音にしても何にしてもいろいろ単純ではなくなってきてはいますね。