残響レコードから、また強烈なインパクトのある名前を持ったバンドが現れた。"mudy on the 昨晩"これが正式なバンド名。意味深な言葉にも聞こえるし、実は響きだけで付けられたバンド名なのかもしれないけれど、真相はわからない。このバンド、過去に2枚のミニアルバム『VOI』と『kidnie』をリリースし、ワンマン公演を早くもソールドアウトにしたトリプルギターボーカルレスバンドなのである。わかりやすく言えばインストバンド。しかし、インストバンドってこんな感じだったかとは、1月13日にリリースになる1st.シングル『YOUTH』に付いているライブDVDを見て、その思いは一層強くなった。大学生とは思えないほどの演奏力に加えて、ライブパフォーマンスはエネルギーが充分に漲り、破壊力がある荒々しいステージ。ライブ映像を録るという話は事前にあったはずなのに、洋服を含め何の飾りっ気もないのに、一度楽器を持てば狂気さえ感じるパフォーマーに変化する。ボーカルレスの分、ドラム以外の4名が縦横無尽に楽器を持ってステージを動き回り、インストって正直よくわからなかったけれど、彼らのステージを見ているとわからないことがどうでも良くなってくるぐらいの説得力さえ感じることが出来た。
トリプルギターというだけあって迫力は圧巻で、ギターのハモリは時にボーカルよりも言葉を伝え、感情を伝え、そこに鉄壁のリズム隊が呼応するかのように表現の幅を広げている。また、静と動もはっきりと表現され、原生林の中にぶちこまれたようなヒリヒリとした感触もあり、その反面生きている血をはっきりと感じる躍動感もあり、このステージを見ていると、ブワーッと自分の中にある感情が掻き立てられ、何かが目覚めてくるような感じになるのだ。
もちろんCDの『YOUTH』からも何も感じないはずがない。まだまだ若いだけに、今後の活躍が楽しみなバンドだ。(text:やまだともこ)