Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューDRIVE TO 2010 Buffalo Daughter VS 曽我部恵一BAND('09年12月号)

旺盛な実験精神が遺憾なく発揮されたオルタナティヴの祭典

2009.11.30

 新旧のオルタナティヴなアーティストたちが新宿ロフトを舞台に30日間に渡って競演したこの秋最大の祭典「DRIVE TO 2010」。この日のライヴ・ステージは曽我部恵一バンドとバッファロー・ドーターの共演。一見意外な組み合わせだが、曽我部がバッファローのファンであることから実現したようだ。
 ここのところ精力的なライヴ活動の目立つソカバンは、バッファローとの対バンということもあってか、いつも以上に熱のこもったステージを展開。必ずしも会場全体が彼らの熱心なファンというわけでもなかっただろうが、そんな一歩引いた観客も否応なく巻き込んでいくようなポジティヴなエネルギーは圧倒的だった。髪を振り乱し、汗だくになって弾き、歌い、観客を煽り、熱い連帯と友愛のメッセージを呼びかける。その力強い確信に満ちた演奏は、バンドとして彼らがピークにあることを示していた。
 そして続いて登場したバッファロー・ドーター。新作制作の合間を縫っての出演だったが、筆者がこれまで見た彼らのライヴのなかでも最上位に位置するほどの出来だったと思う。ソカバンとは対照的にクールなライヴだったが、エレクトロニックと生演奏が完璧に融合、ヘヴィでメタリックでソリッドで、しかもしなやかでムチのようにしなるサイケデリックなサウンドは圧巻だった。新曲の出来も素晴らしく、ルーティンに安住することを嫌い、常に刺激を求め変わっていく彼らだけに、新作もおおいに期待できそうだ。
 そしてバー・ステージでは、mito presents『Erosionize vol.1』と題し、クラムボンのミトと、新進エレクトロニカのアメツブが、音と映像が融合した実験的パフォーマンスを展開。場内の照明は5台のプロジェクターから映される映像の光のみ。ミトとアメツブが即興でプレイするめくるめく電子音の洪水に、VJ筒井真佐人による幻想的な映像がオーバーラップして、ファンタスティックの一言。見慣れたバー・スペースの空間がまったくの別世界に変貌していったさまは圧巻だった。vol.1ということで、今後も継続発展できそうな試みだった。
 それぞれまったく異なる音楽性・アプローチにも関わらず、現役第一線としてアブラの乗り切ったアーティストたちが、競い合うようにその実力と尽きぬエネルギー、旺盛な実験精神を遺憾なく発揮したという意味で、この日は「DRIVE TO 2010」のテーマを体現するハイライトだったと言えるだろう。(text:小野島 大)


 『DRIVE TO 2010〜Buffalo Daughter VS 曽我部恵一BAND〜』当日は簡単なアンケートに答えるとナチュラル アメリカン スピリットがもらえるというサンプル配布を新宿LOFTのバー・フロアで実施。このサンプル配布は12月24日(木)に同じく新宿LOFTで行なわれる『90×90』(出演はThe Birthday、こだま和史 from DUB STATION)でも実施されるので、ご来場の皆さんは是非ふるってご参加下さい!
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