メロコア、ソウル、ファンク、エレクトロなどを縦横無尽に駆け抜ける"AIR JAM世代のダンス・ミュージック・バンド"asphalt frustrationが3rdアルバム『UNDO,PRAY』以来、約2年ぶりとなるシングル『fauvizm』を2ヶ所のフェス会場で急遽先行発売することとなった。この2年の間に向山隆貴(B)、菊地隆一(Dr)、後藤大輔(Key)が正式メンバーとして参加、宝満玲央(Vo)、高梨竜也(G)とともに5ピースバンドとしての体制が整ったアスフラ。「まるで新しいバンドを結成したみたいです」(宝満)という瑞々しいモチベーションは、セルフ・プロデュースによる"アグレッシブなポップ感"とでも形容すべきサウンドを志向した本作からもまっすぐに伝わってくる。新生・アスフラの現状について宝満と高梨に聞いた。(interview:森朋之)
新人バンドですという感じ
──ニューシングル『fauvizm』は2年ぶりのリリースとなるわけですが、この間もバンドは休止していたわけではなくて。
宝満:そうですね(笑)。前回の『UNDO,PRAY』を出したのが2年......2年半くらい前か。
高梨:そうだね。
宝満:そのときはメンバーも僕と高梨の2人だったんです。もともとasphalt frustrationは2人だけではなくて、ちゃんとバンドという形でやってたんですよ。『UNDO,PRAY』を出して、すごい良いものが出来たなとは思ったんですけど、ちゃんと正式メンバーがいてバンドとして動きたいなって思うようになったんです。ライブにしてもレコーディングにしても。だから、まずはメンバーを探すところから始めたんです。
──とてつもなく大きな変化ですね、それは。
宝満:ええ(笑)。でも、もともとサポートミュージシャンに入ってもらって、バンドという形でバンドをやってたんで。その中から...結局、誰が残ったんだっけ?
高梨:キーボードの後藤大輔と......あ、それだけか。
宝満:そうだな(笑)。ずっとサポートしてくれてたキーボードの大輔が正式メンバーとして入って。1st(『asphalt frustration』/'05年)、2nd(『2』/'06年)のときはドラムがいたんですけど、ちょっと体調が悪くてお休みしてて。そいつが今のドラムの菊地隆一っていうんですけど、調子がいいっていうことで戻ってきてもらったんですよ。あと、ベース(向山隆貴)は新しく探して、もう1人、アフロの人(マツトモゴー)にはサポートとして参加してもらって。『fauvizm』は、その6人で改めてやろうかなっていうところから始めた1枚だから、ほんとにまっさらな状態というか、新人バンドですっていう感じは、もしかしたらあるかもしれないです。
──なるほど。
宝満:今までの3枚は、右も左もわからない状態から、レーベルのスタッフと協力しながら作ってきたんです。だから、自分たちだけで考えて「これが正しい」っていう感じでやりたいことをやりきったっていう感覚が......まあ、なかったわけではないんですけど、そこまで強く実感していたわけでもなくて。
高梨:うん。
宝満:もちろん、やりたくないことをやってたわけではないし、良いものを残せたとも思ってるんですけど。ただ、今回のシングルに関しては、「自分たちでやりたいことをやった」っていう思いが強いかもしれないです。
──やりたいことをやるためにも、"バンド"というスタイルが必要だった?
高梨:そうですね。今までもライブに関して言えば、普通のバンドと同じだったんですよ。毎回、ほぼ同じサポートに入ってもらってたわけだし、周りからはバンドに見えてただろうし。でも、正式なメンバーはこの2人だけっていう。
宝満:違和感はあったよね。...バンドっていう形に拘っていたわけではないんですけど、単純に楽しいし、やりやすいなって。何て言うか"2人+サポートが4人"ってことになると、責任の重点は"2人"に置かれるんですよね。そうじゃなくて、メンバー全員で責任を共有しながら物事を進めていきたいなって。
高梨:当たり前のことなんですけどね、ライブハウスで活動しているバンドとしては。ただ、それを僕らは実感できてなかったというか。
──いろんな方法はあると思いますけどね、今は。
宝満:そうですね。ただ、僕らはちゃんとメンバーがいて、その中でお互いのいいところを引き出すっていうやり方が合ってると思ったので。
──現在のメンバーで活動がスタートしたのは、昨年の春からですよね?
高梨:そうです。
宝満:新しいベースの子とかは、もともと歌モノのバンドをやってたので、まずは曲を覚えるところから。今までベースに関しては全然固定されてなくて、1枚目も2枚目も3枚目も弾いてる人が違うんですよ。だから、ニュアンスを合わせるのは大変みたいでしたけど。
──すごく個性があるバンドだし、アレンジの方向性も幅広いから、最初はちょっと大変かもしれないですね。
宝満:もともと僕らのことは知ってくれてて、CDも持ってたみたいなので話はわりと早かったんですけどね。でも、未だにコミュニケーションは取るようにしてますよ。一緒にいた月日は、ほかのメンバーに比べたら短いので。すごくいい子なんです(笑)。
──メンバーが揃ったことで、2人の気持ちも変化してきました?
高梨:精神的にはかなり違いますね。
宝満:安心感があるよね。俺たちだけじゃないっていう(笑)。ライブに関しても、みんなでちゃんと考えられるようになったんですよね。あそこは、こうしたほうがいいってメンバーで話し合える。誰かに言われたことではなくて、メンバーの誰かが言い出して、それをみんなでディスカッションする。そういう当たり前のことが出来るようになりました。
──レコーディングについては?
宝満:それも同じで、外部からのテコ入れが一切ないっていうのは大きく違いますよね。今まではいろんなゲストミュージシャンに参加してもらったり、トラックを入れてみたり、"自分たちのメロディとコード感を最大限に押し出す"っていうことを中心にして、いろんなことを試してたんです。でも、今回はそうじゃなくて、"asphalt frustrationはどんなバンドなのか"っていうのを全員でちゃんと考えてから音を出して。
──改めて、自分たちのバンドについて考えた?
高梨:かなり考えました。
宝満:「実際、何がいいんだろう?」っていうことですよね。今、自分たちのCDを聴いてくれたり、ライブに来てくれてる人たちは、何がいいと思ってるんだろう?って。
──何か答えは見つかりました?
高梨:わからないですけどね、まだ。今も考えてます。
宝満:答えが変わっていってもいいと思うし。ただ、メロディに重点を置くっていうのは、バンドを始めた頃から変わってなくて。今やってるのは、そのメロディに対して、バンド全体でどうアプローチできるかっていうところだと思っています。...難しいですけどね。
ジャンルに拘らないようにしたい
──そこで考えたことは、『fauvizm』にも活かされてますか?
宝満:そうですね。レコーディング自体が久しぶりってこともあるし、やりたいこともたまってたので。
高梨:基本的な方法は変わってないんですけどね。僕がギターのフレーズを持っていって、それをバンド全体で合わせて、そこにメロディが乗ってくるっていう作り方なんで。違うところは、それぞれのパートはそれぞれが責任を持って考えるっていうことかな。
宝満:やりやすんですよね、それが。全員でスタジオに入って、「こうしたほうがいいんじゃねえ?」っていうのを言い合う。人柄もあるのかもしれないけど、コミュニケーションもすごく取りやすいので。あと、さっき言ったアフロの人...マニュピレートしてくれてるゴーさんがMacをスタジオに持ち込んで、2ヶ月近く一緒に作業して。八百屋の地下にスタジオがあって、1stの頃からそこを使わせてもらってるんですよ。
──八百屋の地下?
宝満:八百屋のオヤジさんがスタジオをやってるんですよ、音楽好きな人みたいで。らっきょうが美味しいんです(笑)。で、帰りがけに...。
高梨:果物くれるんだよね。
宝満:「みかん持ってけ」とか(笑)。そのスタジオに朝から夜中までいる。
──リズムのキメも複雑だし、アレンジもすごく凝ってるから、より綿密なコミュニケーションが必要ですよね。
宝満:そうですね。リズムに関しては、やっぱりドラムが中心になってアレンジしていくんですけど。作業が分かれてくるんですよね、途中から。ひとつのスタジオではボーカルとかシンセを録って、もうひとつのスタジオではリズムの細かい部分を決めていく。そういう作業が当たり前に出来るところも、嬉しかったんです。
──メンバー全員が同じスタンスを共有してるからこそ、そういう作業も可能になってくるわけだし。いろんな音楽の要素がひとつの曲に入ってくるのも、アスフラの特徴だと思うんですが。
宝満:そこはもう変わらないところですね。ジャンルに拘らないようにしたいっていうのは、ずっとあるので。「アスファルトだから、こういう感じです」っていうのは、これからもないと思うんですよね。メロディに合ったオケが出来れば何でもいい。あとはみんなに迷いがなくて、それがカッコ良ければ。
──普段から、いろんな音楽を聴くタイプですか?
宝満:メチャクチャいろんなのを聴いてますね。ヒップホップも聴くし、いわゆるクラブサウンドも聴くし、あと、歌モノもすごい好きなんで。いま、日本で活躍してる歌モノのバンドもけっこう聴きますよ。
──歌モノって、ミスチルとかも含まれます?
宝満:ミスチルもiPodに入ってます。グレイプバインとかトライセラトップスとかも。でも、僕はAIR JAM世代で、そこに一番影響されてるんですよ。だから、今もSCAFULL KINGを聴いてアガったりしてます。
──AIR JAM世代って、当時、10代ですよね?
宝満:高2くらいですね。今26歳なんですけど、僕より下の世代は知らないですからね。前、スタジオで働いてたことがあるんですけど、高校生くらいの子って全然知らないんですよ。ハイスタは知ってても、スキャフルとかハスキンは知らない。
──ショックですねえ。
宝満:そうなんですよ! ハイスタとブラフマンはかろうじて知ってるくらいでビックリしますよ(笑)。
──高梨さんは?
高梨:僕はそれほど知らなくて、学生時代とかに宝満から聴かせてもらったっていう感じでした。
宝満:俺のほうが偏ってたんですよね。近所に千葉LOOKがあって、そこに毎週遊びに行ってて。高梨は当時から、もっといろんなものを聴いてたと思う。
高梨:広く浅くっていう感じで(笑)。深く聴いてるのはジャミロクワイくらいですね。けっこう周期があるんですけど、また最近、自分の中で盛り上がってるんですよ。昨日は宇都宮でライブだったんですけど、行きの車でも周りのメンバーのことは関係なくDVDをガンガン観てましたね(笑)。
──ソウルミュージックの影響も、ジャミロクワイが入り口。
高梨:そうですね。たぶん、それはあると思います。
満足度的にはかなり高い
──『fauvizm』の歌詞のことも聞きたいのですが、これはかなり心境が出てるんじゃないですか?
宝満:いや、そんなでもないと思いますよ。自分で歌詞を見て、ちょっと攻撃的だなとは思いましたけどね。これ、大丈夫かなって。歌詞については、和訳っていうところにそこまで重きを置いてなかったんですよ。英語の語感だったり、聴き触りの良いものを選ぶっていうのは、今も同じなので。だから、そこまで深い意味はないと思うんですけど...。でも、心境が出てるって言われれば、そうかもしれないですね。まあ、心境はかなり穏やかなんですけど。
──サウンドの手触りも明るいというかポジティブというか、かなりポップな色合いが強いですよね。1曲目の『weekend』も相当ストレートだし。
宝満:できたときは、超ポップだなって思いました。アニメのテーマソングになってもおかしくないような。
──あ、なるほど。
宝満:メロディはどれもポップなんだけど、この曲はオケもポップなんですよね。爽やかだなって。
高梨:新鮮でしたね。これを作ってるときに、今までの曲の中でも一番って言っていいくらい、メロディを押し出す、際立たせるサウンドだなって思ったんですよね。自分のギターのフレーズにしても、ここはちょっと主張しようかなってことが多かったんだけど、それが一切ないんです。サビのバッキングにしても、とにかく歌を聴かせるってことを考えてて。
──ギターのフレーズ自体、すごくシンプルでポップですからね。
高梨:そうなんですよね。だから余計にポップに感じるのかもしれないですね、他のメンバーよりも。
──この歌詞は、かなり気分良さそうな感じですね。歌い出しが「すごくいい気分なんだ、君に伝えたい」(You must know that got this feelin', the greatest feel again)っていう。
宝満:そうですね(笑)。
──レコーディングの時点では、すっかり不安はなくなってた?
高梨:楽しかったよね、レコーディング。
宝満:うん、楽しかった。レコーディングに入る前に、かなり準備しましたからね。何を録るかっていうアイデアもプリプロの段階で終わってたし。最初は不安だったんですよ、正直言って。自分たちだけでやるのは初めてだったし、レコーディングに入ってから、あっちやこっちに行くのはイヤだったんで。レコーディング自体はスムーズでしたね。
──プリプロの段階では、かなり試行錯誤があった?
宝満:うん、かなり。
高梨:本番さながら、っていう雰囲気でやってましたからね。だから、ずっとレコーディングしてるような感覚でした。
宝満:でも、ホントにそうだよね。5月の頭くらいからプリプロをやって、6月の頭くらいからRECだったんで。
──やりたいことをやりきった感覚も強い?
宝満:単純に自分たちで作ってるし、言い訳できないですからね。もちろん、言い訳しなくちゃいけないような曲は作ってないし。達成感とか満足度っていうのは、自己満足的なところも大きいと思うんですよね、バンドの場合。今回はまさにそうで、自分たちだけでやってるわけだから、「これは良い」って思うものしか作らないというか、作れないというか。満足度的には、かなり高いです。作って良かったなって思える曲ばかりです。
──言い訳できない環境を自ら求めたんだから、きちんとした結果を出さないといけないわけだし。
宝満:それはありますね、すごく。ずっと自分たちのことを見てくれてる人もたくさんいるわけじゃないですか。その分、緊張しながら作ってた気はします。
高梨:緊張は今まで以上ですね、確かに。
もっと好きなことをやっていい
──『fauvizm』というタイトルの由来についても教えてもらえますか。("フォーヴィスム"(Fauvisme、野獣派)は、20世紀初頭の絵画運動の名称。フォーヴィスムはキュビズムのように理知的ではなく、感覚を重視し、色彩はデッサンや構図に従属するものではなく、芸術家の主観的な感覚を表現するための道具として、自由に使われるべきであるとする。ルネサンス以降の伝統である写実主義とは決別し、目に映る色彩ではなく、心が感じる色彩を表現した。世紀末芸術に見られる陰鬱な暗い作風とは対照的に、明るい強烈な色彩でのびのびとした雰囲気を創造した)
宝満:キーボードの後藤君が考えてきたんですよ。フォーヴィスムっていうのは絵画の運動のひとつで、「俺たちはもっと自由な発想で、自由な色彩を使っていいはずだ」っていうことらしくて。後藤君が言うには、それって今の俺たちに当てはまるんじゃないかっていう。俺も"なるほど、そうだな"って思ったし。
──後藤さんは絵に詳しいんですか?
宝満:けっこう詳しいですね。映像とか絵とかファッションとか、そういうものが好きで、ツアーのグッズとかも任せてるんですよ。オシャレ番長ですね。絵は高梨のほうが好きかもしれないけど。
高梨:美術展とかは、よく行きます。僕は単純に絵を見たり描いたりするのが好きなだけで、そこまで詳しくはないんですけど。フォーヴィスムっていう言葉は知らなかったんですけど、意味を聞いていいなって思って。
宝満:もっと好きなことをやっていいよね、って納得できたし、言葉の響きもいいなって思ったし。
高梨:しっくり来たのは確かだよね。あとはやるだけだなって。
──実際、音楽を制作するうえでの自由度は上がってる?
宝満:そうですね。誰からも何も言われてないので。
──(笑)それ、今回のシングルのテーマですね。"誰からも何も言われてない"。
宝満:でも、何をやってもいいって、逆にきついなって思いましたよ。選択肢が広すぎて、そこから何を選ぶかっていうのはかなり大変なことでもあって。そこでの取捨選択も楽しかったですけど。
──『Stay'n Back』についてはどうですか? これも激ポップですが。
宝満:サビのメロディがとにかく良いなって思ったから、とにかくそれを押し出していこうって。これ、今までのアスファルトを集約してる曲だなって思ったんですよ。今までやってきたことのエッセンスを抜いて、再構築してるっていうか。
──エッセンスっていうのは、具体的にどういうこと?
宝満:えっと...あのリズムって16ビート?
高梨:16だね。
宝満:16とか4つ打ちとか、踊れるビートのうえにいい感じのメロディが乗ってるっていう。それはアスファルトの十八番っていうか、よく使う手法でもあって。得意分野ですね。
高梨:爽快な曲がほしいっていうのもあったしね。僕がギターで作ったときから、爽やかなのがいいなって思って。仮タイトルも『sawayaka』だったし(笑)。
宝満:でも、最初はAメロのギターのリフしかなくて、よくわかんないし広がりがなさそうだなって思って、ボツにするつもりだったんですよ。でも、何かのきっかけでいいメロディがくっついて。
──歌の内容もいいですね。
宝満:あ、その歌詞については、今の自分を素直に表してるのかもしれないですね。
──"いつでも大事なものは一つしかないって決まってた"って。
宝満:そうですね(笑)。
──音楽をやってる以上、"モノやお金が一番じゃない"っていう気持ちは必要だろうし。
宝満:うーん...。どこが一番必要なのかっていうのは毎日考えるし、そのことで不安になることもあるんですよ。ただ"物欲とかお金じゃないところに行こうとしてる"っていうのは、みんなそうだと思うんですよね。僕らもそうだし、仲間のバンドの人たちと話していても、「きついよね」とか「つらいよね」って言いつつも、なんだかんだ"自分がやりたいことをやるために"っていう気持ちがあるんですよ。...と言いつつ、迷ったりすることもあるし、気持ちの面では揺れ動いてるんですけど。そのことを書いた感じですね。
──『Bylon』は?
宝満:これはかなり古い曲なんですよね。1stの頃からあったんですけど、なかなかレコーディングにまで至らなくて。今回アレンジをし直して、やっと収録できました。このタイミングで良かったんじゃないかなって思いますね、結果的には。
──シンセが効いてますよね。
宝満:そう、この曲はすごいシンセに拘ってたんですよ、音色もフレーズも。俺と高梨と後藤の3人がかりで、ずっと話し合って。これだけで1日かかった気がしますね。
高梨:そうだね(笑)。
宝満:一番口を出したと思います、僕は。昔からあった曲だし、イメージがすごくあったから、フレーズが気持ちいいところに行ってないのがどうしてもイヤで。最後は(鍵盤を弾くふりをしながら)"ココとココとココで"とかって言ってましたからね。弾けないのに(笑)。後藤には嫌がられてたと思いますけど。
──そういうディスカッションも、メンバー同士だからできることだし。『low!low!』はどうですか?
宝満:これはたぶん、ベースが元になるフレーズを弾いてたんですよ。スタジオでなんとなく弾いてたフレーズなんだけど、「それ、いいね」ってところから始まってジャムから始まったというか。
高梨:今までやったことがないことをやりたいっていう気持ちが強かったんですよね。ギターに関しても、"これはちょっと恥ずかしいな"っていうフレーズをあえて弾いてたり。曲調もリズムも愉快な感じで。明るい曲ばっかりですね、こうやって話してると。
──まあ、歌詞では"うんざりだ"って歌ってますけどね。
宝満:ハハハハハ。明るい曲に明るい歌詞を乗せても、おもしろくないですから。そこまで素直な人間ではないので。
──でも、共感できるフレーズがかなり多かったです。
宝満:あ、そうですか。
──シングル全体を通して、"他人に期待し過ぎちゃいけない"っていう気持ちが出てると思うんですよね。人を信用してないわけではないけど、根本では"自分でやる"って思ってないと、ちょっとしたことで左右されちゃいますからね。
宝満:あー、そうですね。誰かに期待したり、頼ったりしたときに、失敗して痛い目に遭うのは自分ですからね。自分でやるって思っていれば、崩れることはきっとない。バンドに対しても、それは言えるんじゃないかな。
──そう思います。バンドの状態の良さが伝わるシングルになりましたね、ホントに。
宝満:そうですね。昨日、『Stay'n Back』と『Bylon』を初めてライブでやったんですけど、いい感じだったよね?
高梨:うん、手ごたえはあった。
宝満:レコーディングしてたから、とりあえず演奏はちゃんと出来たし(笑)。反応も悪くなかったと思うし...わかんないけですけどね、実際はどう思ってるのか」
──大丈夫だと思います(笑)。夏以降は、どんな展開になりそうですか?
宝満:曲はどんどん作っていきたいですね。メンバー全員、レコーディングも大好きだし。年内にアルバムっていうのを目標にして。
──おお、素晴らしい!
宝満:まだ出してない曲もあるんで、準備は徐々に整っていくんじゃないかと。このまま、進んでいきたいです。