
我がロフトレコードが誇る稀代のメロディック・パンク・バンド、Jr.MONSTERが渾身の力を振り絞って放つ3rdフル・アルバム『PUNKROCK JUSTICE』は、バンド史上、いや日本のメロディック・シーン屈指の大傑作アルバムであると断言したい。バンド最大の持ち味である聴き手を選ばぬ親しみやすいメロディはより研ぎ澄まされ、シンプルの極みと言うべき迸るサウンドは萎えた心を無条件に鼓舞させ、否応にも身体が呼応してしまう。そればかりか、本作には緩急の付いた構成の珠玉のラヴ・ソングという新たな試みも垣間見られ、楽曲の振り幅がまた一段と広がったことが窺える。振り幅の横軸、深度の増した縦軸の交わる重心、それこそが彼らにとっての"PUNKROCK JUSTICE"だ。目隠しをしたパンク・ロックの正義の女神は、右手にバットを、左手に天秤を持って優しく微笑んでいる。そのバットに当たった打球を受け止めるか否かはあなた次第である。(interview:椎名宗之)
一度スタジオを押さえたものの…
──ほぼ2年近く待ちに待ったアルバムのタイトルが、まさかメタリカのパクリとは…(笑)。
江島正寿(vo, b):でも、イイっすよね?(笑) 今になって空前のメタリカ・ブームが来たわけじゃなくて、高校の頃からずっと聴いてきて染み付いたモノなんですよね。
KEV(ds, cho):まぁ、とりあえず空前ではないですね(笑)。
──ジュニモンのアートワークではお馴染みのDAISUKE HONGOLIAN画伯によるイラストも、『メタル・ジャスティス』同様に天秤を携えた人が描かれてあるという徹底っぷりで。
江島:マスタリングの次の日にHONGOLIANのところに音を持っていって、音を聴いた上で描いてもらったんです。真ん中の人が左手に天秤を、右手にミズノっぽいロゴのバットを持ってるんですけど、よく見るとミズノの“M”じゃなくて“JM”って書いてあるんですよ。
──ああ、ジュニモンのイニシャルが(笑)。手前の人がラベルに“村山”と書かれた一升瓶を抱えていますが、これは?
江島:俺とKEVの住んでる所が武蔵村山なので。最初はそのラベルに“魔王”って書いてあったんですけど、“村山”のほうが面白いと思って変えてもらったんです。
──とある筋からの情報によると、去年スタジオを押さえていたのにレコーディングが流れてしまったそうですね。
江島:まぁ、要するにバックレちゃったんですよね(笑)。
KEV:ノー・プランのままでスタジオを押さえちゃったんですよ。でも、曲が出来なくて出すものがなかったんです(苦笑)。
──『STARTING OVER』で“ここからもう一度始まるぜ!”と高らかに宣言したと思ったら…。
江島:次の年に思い切りズッコケた、と。ちょっと待てと(笑)。
──『STARTING OVER』で感じた手応えそのままに、次もフル・アルバムで行こうと?
KEV:そういうわけでもないんですけどね。Jr.MONSTERが音源を出すならアルバム以外にないのかなと思って。シングルやミニ・アルバムだとバンドの良さを判ってもらえないんじゃないかと。せめて10曲以上ないと。今後のリリースも、アルバムっていうものにこだわって出していきたいんですよ。
──それなのに、今回はさっぱり曲が出来なかったわけですね(笑)。
KEV:毎回同じことばかり言ってる気もするんですが、今度ばかりはホントに出来なかったんですよ。
江島:でも、ブランクは最高で2年ですから。曲が出来ないって言ってるのは2年だけで、3年はないです。
──曲が生まれなかった時期は、ライヴでバンドを鍛えていた感じですか。
江島:そういうことにしてますね(笑)。でも、普段からライヴは少ないほうだって言われてますよ。「もっとやれよ!」って他のバンドからも言われるし。その前の年はもっと少なかったんですけど。
KEV:去年スタジオをバックレた時は、曲作りに集中したいがためにライヴも余り入れなかったんですけど、バックレたせいでただ止まってるだけになっちゃったんですよ。自分たちはライヴ・バンドだと思ってるので、これはマズイと。それで、曲を作りながらもライヴを切らすのはやめようと思ったんです。それが今年に入ってからの流れですね。
──そうは言いながらもみなさんのことだから、レコーディングでケツに火がついたのは冬を越えてからなのでは?
江島:凄いですね。人の心が読めるんですか?(笑) まぁ、毎日マメに曲を書いていれば後でアタフタすることもないと判ってはいるんですけどねぇ…。

判りやすく聴こえる音作りを目指した
──今回も前作同様、我がロフト・グループが誇るスタジオインパクトでエンジニア・杉山オサムさんとがっぷり四つに組んでのレコーディングだったんですよね。
江島:そうです。相性は抜群でしたね。『STARTING OVER』の時のオサムさんとのやり取りは頭がクエスチョン・マークだらけでしたけど(笑)、曲が出来ていくにつれて俺たちの言うことを理解してくれていったんです。今回は最初から歯車が噛み合う感じでしたよ。
KEV:まぁ、その前に一度バックレているので、「その節はすみませんでした」から始まりましたけど(笑)。前回が凄くやりやすかったので、今回も是非オサムさんと組みたかったんですよね。
江島:オサムさんは今回、いろいろとアドバイスもしてくれたんですよ。コーラスの部分やギターのフレーズだったりを。メンバーのOKラインをオサムさんは感じ取ってくれるんですよね。こっちが伝わりづらい表現で言っても、それをちゃんと理解してくれるんです。
──プロデューサーのISHIKAWAさんは具体的にどんな指示を?
江島:ただ「ウィース!」って言ってるだけでしたね(笑)。
KEV:「時間ないよォ」とか(笑)。
江島:ホントは、歌録りの時はオサムさんと俺だけでやりたかったんですよ。でも、ISHIKAWAさんがずっとスタジオにいてちょっと唄いづらかったですね(笑)。まぁ、徐々に慣れて余り気にせずやれましたけど。
──『STARTING OVER』以降、音の輪郭がくっきりして太さがグッと増した印象がありますね。
並木大輔(g, vo):仰る通りで、今回はそういう音作りをしたいとレコーディングの前にみんなで話してたんですよ。とにかく判りやすく聴こえてくるようにと。
江島:機材も変えて、気持ちも新たにして取り組んだんですよ。
──前作でようやくトータル・タイム30分の大台を超えたと思ったら、本作はまた見事に30分を切りましたね(笑)。
並木:そうですね(笑)。今回は惜しくも29分くらいなんですけど。
江島:そこはやっぱりみんな意識するんですかね? 昔は俺も長さを意識して曲を作ってたんですけど、今は録ってみて“ああ、3分超えたか”って気づく程度なんですよ。
KEV:気持ち良く終わるのがだいたい2分台なんですよね。
──身体にタイム感が染み付いているんでしょうね。
KEV:そうですね。だから曲数を増やせって話なんですけど(笑)。ただ、今回は3分台の長い曲もあるんですよ。「You can try to change, you know」もそうだし、「Like weeds」もそうだし。1曲だけ3分台の曲があるアルバムは今までもあったんですけど、それが2曲もあるのは今回が初めてじゃないですかね。
江島:でも、3分台の曲でも余り長く感じませんよね?
──全然。「You can try〜」の後半のエモーショナルな盛り上がりったらないですよね。
江島:あれはヤバイですよ。是非歌詞を読みながら聴いて欲しいですね。
──それにしても、いつもながらに、いやいつも以上に高水準の楽曲がてんこ盛りですよね。なかでも「MONSTER HOUSE」はオーディエンスと一緒に一夜のライヴを生み出そうという、バンドにとってアンセムと言うべき曲で。
KEV:僕らがずっと抱いているライヴハウスでのコミュニケーションを歌にしたものですね。「MONSTER HOUSE」っていうのは、自分たちがやってるイヴェントのタイトルなんですよ。この曲だけイヴェントでやったことがあるんですけど、後の曲は全くの新曲なんです。
江島:まぁ、「MONSTER HOUSE」も録るまでに3回くらいしかやってないんですけどね。この曲はグチャグチャの一体感が欲しくて、友達のバンドにコーラスで参加してもらったんですよ。
曲の幅広さこそがバンドの強み
──いつも通りメロディックでキャッチーな楽曲作りに専念するのみで、コンセプトらしきものは特にありませんよね。
KEV:作ってる最中にコンセプトは持たないですね。曲の良し悪しの基準は3人がいいと思えるかどうかで、それが11曲揃えばアルバムになる感じで。敢えて言うなら判りやすい曲を作ろうっていう意識は常にありますけど、コンセプトっていうのは最初から持ってないんですよ。
──テーマが“PUNKROCK JUSTICE”だったわけではないんですね?(笑)
KEV:“PUNKROCK JUSTICE”は、言ってみれば格好良かったんです(笑)。言葉の響きもいいし。
江島:アルバムのコンセプトとは一切関係ないです。“JUSTICE”も何もあったもんじゃないですから(笑)。
──「Like weeds」の歌詞にある“自分の決めた道に堂々と胸を張る”ことや“逆境にも折れない強い心を持つ”ことがみなさんにとっての“PUNKROCK JUSTICE”なのかなと思ったんですが、全然違うわけですね。
KEV:ああ、そういう解釈もありますか(笑)。まぁ、そこまで重い感じではないですね。
──でも、この「Like weeds」然り、“気持ちで負けない勇気を持つんだ”とポジティヴに唄われる「Knock out!」然り、さっきも話題に上がった「You can try〜」然り、英詞とは言え秀逸な歌詞が本作は多いですよね。
江島:歌詞は全部俺が書きました。ちょっと気持ち悪いですよね?(笑) 「You can try〜」みたいなエモーショナルなラヴ・ソングも俺たち行けるよ? みたいな感じですかね。「Go Away」のようなアッパーな感じばかりじゃないよっていう。そういう幅の広さが俺たちの強みですからね。その強みを支えにずっとやってきたし。
──「You」のように、ギター1本と歌のみのパートとサビが交互に来る構成の曲も新機軸ですよね。この曲、バンド史上屈指のラヴ・ソングだと思うんですけど。
江島:最初は唄うのが凄く恥ずかしかったんですけどね。日本語だと絶対にキツイですよ。ライヴでやる時は目隠しして唄いたいくらいです(笑)。
──そんな珠玉のラヴ・ソングがあるかと思えば、「I DON'T WANNA BE LIKE YOU」や「Your pride ain't worth shit」のようにいけ好かない他者への攻撃的な曲もしかと健在ですね。
江島:歌詞も含めて、アルバムじゃないと表現できない曲ですね。ヴァラエティに富んだ内容にしたかったし、それにはこういう曲も必要だったんですよ。
──曲数は録り溜め一切なし、厳選に厳選を重ねての11曲なんですか。
並木:そうです。録る前に今ひとつの曲はだいたい削っちゃうんですよ。ある程度の完成型が見えない曲は録りに入れないんです。見えないものは最後まで見えないままなんです(笑)。
江島:無理矢理録ったような曲は、ライヴでも絶対セットリストに入らないものなんですよ。「You」みたいに新しいタイプの曲は、違う意味で普段のセットリストに入らないですけどね。30分のセットリストじゃとてもできない曲ですから。自分たちがヘッドライナーで回る時か、ある程度時間がある時じゃないとできないですね。「You」をやった後はアゲづらいので(笑)。
──ああ、最後のフレーズを唄い切ったらバッサリと潔く終わりますもんね。
江島:ああいう曲って、途中からウワーッと速くなるものじゃないですか? でもそれを敢えてやらなかったんです。若かったら絶対に速くしてたと思いますけど(笑)。
並木:レコーディングに入る前はピアノを入れてみようとかいろいろと案はあったんですけど、最終的にはこの3人で表現できる範囲に留めたんですよ。ライヴでやれないことはやらないことにしたんです。
すべてにおいて時間を掛けた最新作
──その一方で、「Slept in」のような橋渡しの役目をする小品の曲も徹頭徹尾美メロが貫かれているのが素晴らしいですね。まさに捨て曲一切なしという感じで。
江島:でも、「Slept in」はサビを作るのに結構時間が掛かったよね?
並木:こういう曲のほうが難しいんですよ。どっちつかずになっちゃうって言うか。
──そうやって事も無げにサラッといいメロディを聴かせるのがニクイですよね。「Take your time」の中に“努力しているお前を認めるほど周りは甘くない、結果がすべてだ”という意味の歌詞がありますけど、まさにそれを有言実行していると言うか。
江島:やっぱり、結果がすべてじゃないですか。自分に勝てないとどうしようもないので。
──“でも少しだけ急ぎ足でね”という歌詞なんて、よく判ってるじゃないかと思いますよ。これは、曲作りの締切に追われる自分たち自身に向けたものですよね?(笑)
江島:完全に自問自答ですね(笑)。でも、こういう説教くさいギリギリの歌詞を作るのは凄く悩むんですよ。2人は知らないでしょうけど(笑)。悩んで悩んで、結局最後は部屋に籠もって書き上げるんですけどね。まぁ、そういうのは並木も一緒で、曲を作ってる部分で焦りはあると思うし。
──並木さんもKEVさんも、各々のフレーズを考えるのにいろいろと試行錯誤はするでしょうし。
並木:僕の場合は曲も作ってるんで、自分のパートは後回しになっちゃうんですよね。ギターのフレーズを考えるのはたいてい一番最後なんです。とにかくこの3人である程度のところまで曲を作り上げるのが先決で、そこまで持っていくのが時間が掛かりますね。
──「Get out of my way」から間髪入れずに「I DON'T WANNA BE LIKE YOU」へと繋がる流れも、事前に考えていたプランなんですか。
江島:あの繋ぎはマスタリングの時に決めたんですよ。あれは自分でも気に入ってますね。
──「You」の後にすぐ「Like weeds」に連なるのもいいですよね。
江島:CDならではの試みですね。「この曲間どうする?」ってみんなで聴いて、話し合って決めたんですよ。
並木:みんなのイメージはバラバラだったんですけど、結局は曲間を詰めたのが一番格好良かったんです。曲間は凄く気にしますね。まぁ、「Get out of my way」から「I DON'T WANNA BE LIKE YOU」への繋ぎは副産物みたいなところもありますけどね。たまたまって言うか(笑)。
江島:たまたまじゃないよ(笑)。曲順を決めるのも凄い時間が掛かりましたからね。1曲目を「Knock out!」にする案もあったんですよ。
──「MONSTER HOUSE」でも良かったような気もしますけどね。
江島:ああ、いきなりですか。それもパンチありますね。
並木:そういう声もちらほら聞くんですけどね。
江島:仮に1曲目が「MONSTER HOUSE」だったら、アルバムのタイトルも『MONSTER HOUSE』にしたでしょうね。
KEV:今回は曲順が一番迷うところだったんです。『STARTING OVER』の時は案外あっさりと決まったんですよ、マスタリングの前に。でも、今回は自分たちでもどうしていいのか判らなかった。
江島:結局、何でもかんでも今回のアルバムは時間を掛けたよね。掛けたのか掛かってしまったのかは判らないけど、すべてにおいて時間は掛けたんですよ。曲順にしろレコーディングにしろ。
──まぁ、その前に曲作りの期間も相当掛かってますけどね(笑)。
江島:すいません(笑)。まぁ、2年空けるくらいが丁度いいのかなと思いますけどね。

何事もやったもん勝ちなんですよ
──スタジオインパクトに籠もった時間も今回は長かったんですか。
KEV:今まで一番長かったですね。オサムさんの都合で水曜と木曜が休みだったんですけど、凄く長い時間あのスタジオにいた気がするんですよ。実質的には2週間ちょっとだとは思うんですけど、何ヶ月も通ったような感じがします。
並木:確かに。アルバム・タイトルくらいですね、すんなり決まったのは。
KEV:そうだね。曲作りの段階で「タイトルはそれでいい」って話してたしね。
江島:俺が何気なく「『PUNKROCK JUSTICE』っていうのは?」と言ったら、「それでいいんじゃない?」って。
並木:タイトルが決まってから曲作りがスムーズに行き出したんですよ。そこで何かが割り切れたって言うか。
──アルバム・タイトルはいつも最後のほうに決まるものなんですか。
江島:うん、いつも最後まで悩みますね。
──ということは、曲作りとレコーディングに費やす時間の長さ然り、3分台の曲が2曲あること然り、アルバム・タイトルがすんなり決まったこと然り、バンドにとっては初物尽くしだったと言えますよね。
並木:そうですね。今までとは全然違うと思いますよ。決まらなかったものが決まり出したり、決まってたものがすんなり行かなくなったり。
──まぁ、ぼちぼち干支が一周するくらいの活動期間だから、いろんな経験もしますよね。
江島:ああ、言われてみれば12年ですもんね。それも気持ち悪いですよね(笑)。
──10年選手と言われるのもどこか気恥ずかしくありませんか。
江島:単純におこがましいです。俺たちよりもっと精力的に活動を続けてる先輩がたくさんいますから。
──ジュニモンももう立派な中堅どころだと思いますけどね。
並木:そうなんですよね。もうそんなふうになっちゃったんですよね。
江島:俺たちはいつまでも新人のつもりなんですけどね。ブッキング魂ですよ(笑)。いつまでもチャレンジャーですから。
──そんな永遠のチャレンジャーがこの新しいアルバムでとりわけ重点を置いて挑戦したのはどんな部分ですか。
KEV:それが多分「You」だと思うんですよ。ミドル・テンポで聴かせる感じの曲とはまた違う、もっとダークな曲なんで。“こういうのもできるよ”っていう。
江島:“これからこういうのをやっていくよ”っていう曲ではないですけどね。
──それこそ10年前なら照れくさくてできなかった曲かもしれませんよね。
江島:いや、今も充分照れくさいですよ(笑)。
KEV:でも確かに、10年前ならこういう曲をやろうっていう気にはならなかったでしょうね。
──それはいろんな経験を積んで、三十路を超えて開き直ったことも関係しているんでしょうね。
KEV:そうですね、開き直れたことは大きいと思いますよ。昔はヘンに恰好付けてた部分もありますから。
──でも、KEVさんの場合は“KEV night”でパンツ一丁になって大ハシャギしていたわけで、格好付けるも何もないと思うんですけど(笑)。
KEV:まぁ、個人的には昔から開き直ってたのかもしれませんね(笑)。
江島:あのイヴェント、またいつかやりたいよね。いろんなことをやってかないとダメですよ。やれることはやっといたほうがいい。だって、いつ死んじゃうか判らないんだから。何事もやったもん勝ちなんですよ。このアルバムをきっかけにね、そういうバンドになれたらいいなと思って。
KEV:そういうバンドってどういうバンドだよ?(笑)
江島:やったもん勝ちなバンド。いろんなことに挑戦してみたいんですよ。バンドをやってる時間も終わりがないように感じるけど、限られてるものじゃないですか? 俺はそう思うんですよね。だから限られた時間の中でやれることはどんどんやりたい。
ライヴの時間を共有するのがバンドの意義
──その限られた時間の中で、今後新たにやってみたいことは?
江島:インストですね。たまにはメロディなしで、楽器だけで勝負だ! みたいな。アルバムの中にそういう曲があってもいいと思うんですよ。ライヴでインストをやったらどうなるか反応が面白そうだし、マイクの前に立たなくていいから余計に暴れられるし。羽根が生えてしまいますよ(笑)。まぁ結局、そうやってライヴのことしか考えてないんですけどね。
──KEVさんは何かありますか? ドラム・ソロをやってみるとか。
KEV:うーん、どうかなぁ…。
江島:難易度が高いから、打ち込みになっちゃいますけどね(笑)。
KEV:そのほうが話が早いんじゃないかっていう(笑)。
──並木さんはどうですか?
並木:そうだなぁ、曲をちょっと増やしたいですね。
──今回のアルバムで並木さんの書いた曲というのは?
江島:「MONSTER HOUSE」以外、全部並木ですよ。ただ、唄い回しの都合で若干メロディを変えさせてもらうところもあるんですけどね。並木が元を持ってきて、それを俺が聴いて“これは行けそうだな”とか“このサビは変えたほうがいいな”とか考えて、「こういうのはどう?」っていうやり取りを並木としながら詰めていく感じなんですよ。歌詞は俺ばかり書いてるんですけど、ホントは2人にも書いて欲しいんですよね。
KEV:だって、「人の書いた歌詞じゃ唄えない」って言ってたじゃん(笑)。
江島:まぁね(笑)。
──KEVさんが曲を持ち寄ることはないんですか。
KEV:ないですね。俺は文句を言うだけなんで(笑)。
江島:その文句も抽象的すぎるんですよ。「それはちょっと、あんまだなぁ…」って、どうあんまなの!? っていう(笑)。
KEV:まぁ、判りづらいところだけははっきりと言いますけどね。
江島:第三者に聴かせる前の、第二者的なジャッジなんですよ。「この曲、どう? 聴きやすい?」ってKEVに訊いて、判りづらいようなら変えるし。
──でも、そうやって判りやすいことをやることがどれだけ難しいかって話ですよね。
並木:うん、凄く難しいですね。曲作りの段階ではいろいろ手の込んだこともやってるんですけど、だんだんムダなものが省かれていくんですよね。どれだけ引き算ができるかが肝なんですよ。
KEV:あると格好いいんだけど、敢えてそれをやらない勇気が大事なんですよね。
江島:でも、“やらない”のと“できない”のは全然違うから、できないことは何が何でもやってやろうと思いますね。できる上での引き算だったら全然いいんだけど、演奏が巧いに越したことはないですから。
──際限まで引き算をした判りやすい曲だからこそライヴであれだけの大合唱が湧き起こるんだろうし、ジュニモンの音楽が幅広い層から絶大な支持を受けている理由はそこにあるんでしょうね。
江島:ライヴはポテンシャルが高すぎて、俺が唄う必要もないくらいですからね(笑)。でも、お客さんにマイクを奪われると嬉しいくらいなんですよ。俺たちと一緒になって同じ時間を楽しんでくれてるのが判るし、俺たちの音楽に共感してくれてるのを痛感するから。そういう時間を共有することしかないですよ、バンドをやってる意味は。
















