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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ALvino(2007年7月号)- ALvino旋風、遂に巻き起こる!音源化を待ち望まれたライヴ定番曲『FLY HIGH!!』、満を持して発表!!

ALvino旋風、遂に巻き起こる!音源化を待ち望まれたライヴ定番曲『FLY HIGH!!』、満を持して発表!!

2007.07.01

昨年2月、ヴォーカリストの翔太が北海道から上京してきたのを期に本格始動したALvino。既に一角のキャリアを積んだKOJIと潤という2人のギタリストによるプリミティヴなギター・サウンドを軸に、伸びやかで清涼感に溢れた翔太の歌声が着実に衆望を集めている。『snow line』『花』に続くシングル『FLY HIGH!!』はファンの間でCD化を長らく待ち望まれていたライヴの定番曲であり、9月に発表されるファースト・アルバムへの期待が高まるポテンシャルの高い作品だ。必然だった運命の糸を自ら手繰り寄せたこの3人に、結成の経緯から今後の展望までを余すところなく訊いた。(interview:椎名宗之)

翔太との出会いはパズルの最後のワンピース

──3rdシングルの『FLY HIGH!!』は、ファンから音源化を待ち望まれた曲が3曲揃った充実作ですね。

KOJI(g):「FLY HIGH!!」はこのバンドが初めてライヴをやった時からずっと演奏し続けていて、アンコールの定番曲なんです。バンドを始めるに当たって、とにかく早くライヴをやりたかったから、ライヴで盛り上がる曲というのを念頭に曲作りをしていたんですよ。「FLY HIGH!!」はまさにそういう曲で、お客さんに楽しんで帰ってもらえるようなライヴをやりたいという志のもとに出来た曲なので、ライヴでの受けが凄くいいんです。

──ライヴ映えする楽曲というのは、やはり重要なポイントだったんですか?

KOJI:いや、ライヴをやるのが未確定だった時期に曲作りをしていたので、最初はライヴ向けの曲が少なかったくらいなんです。じっくりと聴かせる曲や、バラードっぽいしっとりとした曲をやりたいというのが僕と潤の中には最初あったんですよ。でも、翔太と出会ってライヴをやりたいと思っていた頃に、自分達の持ち曲では盛り上がらないんじゃないかと思って。それで、ライヴを意識した曲作りをしようとシフト・チェンジした時期があったんですよね。

潤(g):「ライヴっぽい曲、ない?」ってKOJIに言われて、僕がデモにして持っていったのがこの「FLY HIGH!!」なんです。アイディアとしてはずっとあった曲で、このバンドのイメージを膨らませて完成させた感じですね。

──KOJIさんと潤さんがALvinoを始めた当初は、バンドの方向性みたいなものはあったんですか?

潤:お互いが作っていた曲を聴かせ合った時に、向いている方向性が何となく似ていたんですよね。曲のテイストやバンドを通じてやりたいこととかが。どういった音楽をやっていくかを本格的に模索していったのは、翔太が加入してからですね。それは極々自然に自分達の中から湧き上がってくるものとして、徐々に形になってきたと思います。

KOJI:それまでにやっていたバンドでは発表する機会のない曲が潤にも僕にもあって、発表する場所がないのなら自分達で作ってしまおうと思ったんですよね。そこでやってみて面白ければ温めていこうよ、っていう前向きな発想だったんです。もしそこに参加したい人がいたなら、門戸は開かれた状況にしておこうとも思っていたし。ただやっぱり、センターに立ってメロディを唄うヴォーカリストがバンドの方向性をある程度決めるし、その声質によって曲も変わってくるので、ヴォーカリストが決まるまでは楽しく試行錯誤していましたね。

──ヴォーカリスト不在の試行錯誤は、どれくらい続いたんですか?

KOJI:1年くらいありましたね。ヴォーカル探しはいろんなライヴハウスに自分で足を運んだし、それこそロフトにも通いましたよ。出会える可能性が少しでもあるのなら、何処にでも行くようにしていましたね。

──KOJIさんと潤さんのどちらかが唄うという発想はなかったんですか?

KOJI:いやぁ…自分で唄っても注目されないと思ってましたから(笑)。せっかく新しくバンドをやる以上は、人が観て聴いて羨ましがるようなヴォーカリストとの出会いを果たしたかったんですよね。大変な道程なのを重々承知の上で、その出会いを大切にしたいと思ったんです。

──そうした出会いを大切にした結果、翔太さんという不世出のヴォーカリストと巡り会えて。

KOJI:そうなんです。粘った甲斐がありましたよ。

──翔太さんは、北海道で独自にバンド活動をしていたんですよね。

翔太:
高校の頃は家で唄う程度で、フォーク・ソングっぽいメッセージ性のある歌詞や切ないメロディが根っこにはあると思うんですよね。函館に移った大学時代にバンドを始めて、いつかプロで勝負したいと考えていたんですけど、バンドがなかなか前に進まない混沌とした状態になって。そんな折に、バンドがお世話になっていたラジオ局の方を介してKOJI君と知り合ったんですよ。そのラジオ局の方が僕のやっていたバンドのCDをKOJI君に渡して、興味を持ってくれたんです。

KOJI:最初はそのラジオ局の人から「翔太に曲を提供して欲しい」と言われたんですけど、こっちもヴォーカリストを探していたから、自分達の作った曲を唄って欲しいと思ったんですよね。で、打診してみたら「是非やりたい」と快諾してくれて。

翔太:2人がどういう人かを全く知らされずに先入観なく曲を聴いてみて、一目惚れに近い感覚だったんですよ。バンドをやっていた時はいわゆる歌モノというか、メロディがしっかりあるものが好きだったんですけど、バンドの曲よりももっと素直に自分を表現できると思ったんです。それで気が付いたら…東京に来てました(笑)。

潤:気が付いたら…って、随分と間を省いたなぁ(笑)。

KOJI:その後に東京で翔太と会うことになって、エンジニアさんのいるスタジオで実際に唄ってもらったんですよ。

──目前で見聞きした翔太さんの歌声や風貌はどうだったんですか。

KOJI:ヘンな気負いもなく、謙虚すぎることもなく、度胸があるなと思いましたよ。あとはやっぱり、声が凄く良かった。自分達の作ったデモに合わせて翔太が唄っているのを潤に聴かせた時も、「声がいいね」って話していたんです。パズルの最後のワンピースがはまった感じがしましたね。

──確かに、翔太さんの堂に入った歌声は新人離れしていますよね。

翔太:ありがとうございます。余り深く考え込むことなく、ありのままに唄ったらあんな感じになったんですよ。最初に2人のデモを聴かせてもらった時に感じた“ああ、この曲を唄いたい!”という思いが、ずっと変わらずにあるんですよね。新曲が生まれるたびに、その時以上の新鮮さがいつも自分の中にはあるんです。だからこの2人には出会えて本当に良かったと感じてますね。

──出会うべくして出会った感じはしますよね。KOJIさんと潤さんはヴォーカリストを、翔太さんは提供してくれる曲をそれぞれ選択する立場にあって、選択肢が数ある中で互いが惹かれ合ったわけですから。

KOJI:そうですね。引き合う何かがやっぱりありましたからね。去年の春にバンドが本格的に始動して、この短期間で極々自然な形で音楽に向き合えていますから。3人の関係性も凄くいい状態だし、ライヴでも互いの音がプラスの方向に引っ張られていくのがよく判るんですよ。だから本当に、いい出会いができたと思ってますね。

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