以前、このROOF TOPでASIAN KUNG-FU GENERATIONのインタビューをさせていただいた。ちょうど、アルバム『崩壊アンプリファー』がリイシューされ、下北沢シェルターで初めてのワンマンを行うという時期だった。その時「シェルターは東京のライブハウスではオーディションに唯一受かったところで、夜のイベントに出してくれた思い出のライブハウス。そういう面 でも一発目は都内ならシェルターでやりたい。」と後藤氏が語ってくれた。そこから約2年。あれよあれよという間に日本武道館でワンマンを行う程のバンドに成長していた。しかし、この武道館ワンマンではステージの床をシェルターと同じ市松模様にし、今でも彼らがシェルターに思い入れがあるということを嬉しく思った。
そして、ASIAN KUNG-FU GENERATIONは3月から"ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2005 「Re:Re:」"と題された3ヶ月にも渡る長いツアーが始まる。毎回ツアーとなると初日はシェルターであるが、今回もなんと! 「Re:Re:」ツアー初日、彼らは思い入れのあるシェルターのステージに立つ。今や、武道館すらチケットが売り切れてしまうという状況でシェルターのチケットを取るというのは困難極まりない...とは思いますが、この場所での彼らのライブを体感していただきたい。
というわけで今回、「Re:Re:」ツアーを目前にした彼らへのインタビューが実現!! シェルターへの思い入れ、そしてツアーへの意気込みを中心に語ってもらうことができました。(text:やまだともこ)
お客さんに頂いたモノへの返信「Re:Re:」
──まず、3月から“ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2005 「Re:Re:」” が始まりますが、昨年10月に発売されたアルバム『ソルファ』に挿入されている「Re:Re:」をツアータイトルにしたのはどんな意味があるんですか?
後藤:前回のツアーで皆さんに頂いたモノ(物質的なものではなく)に対しての、我々のリアクションです。アルバムのツアーなので、それがわかりやすいようにという単純な理由も勿論あります。
──「Re:Re:」とはどんな意味なんですか?
後藤:返信への返信(「Re:Re:」)という意味ですが、アルバムの場合、曲の並びが“ラストシーン”から“サイレン”で悲しすぎたので、「もう一度」という意味をこめてタイトルをつけまし た。じゃあ「Re:」で良いではないかという人もいるかと思いますが、世の中で「もう一度」という状況は、往々にして、行って帰ってきた何かに対しての 「もう一度」なので、「Re:Re:」で間違いないかと思います。
──なるほど。では「Re:Re:」ツアーの初日が前回同様下北沢シェルターで行われるということなんですが、今回もシェルターを初日にするというのはどんな思いからですか?
後藤:単純に、僕らはいろいろなことを根に持つタイプなので、東京で唯一、昼間のオーディションライブで、当時酷い出来だったにも関わらず合格にしてくれたということを強く覚えています。あの頃が僕らの「人前で音楽をやる」という活動の、本当の意味でのスタートだったように思います。そういうことを踏まえてシェルターに対して、勝手に特別 な感情を抱いております。ちなみに下北沢では、オーディション時に激しい説教を喰らったために、二度と出たくないライブハウスも幾つかありますが…。
山田:僕はアマチュア時代、横浜から出て都内でライブをやろうと思い始めた時に、まず頭に浮かんだライブハウスがシェルターだったんです。バンドの名前を広めていくための第一歩を踏み出した場所でもあり、それ以来思い入れのある場所となっています。
伊地知:バンドを始めて最初の難関がシェルターのオーディションでした。受からないとライブが出来ないんです。だから気合入りますよね! 今もその時のように初心にかえり、ツアーにのぞもうと思ってます。
──ところで、昨年12月に日本武道館で行われたワンマンライブもステージをシェルターと同じ市松模様にされていましたが、何か思い入れ等ありましたら聞かせて下さい。
後藤:初めてシェルターでワンマンをやらせて頂いたときには、勝手に感極まって、その後、打ち上げで酔っぱらいあげまして、帰りに下北沢に停車及び駐車中の沢山の車の上に登ってスタッフを困らせました(苦笑)。
山田:いいイベントに出演した記憶が多いですよ。シェルターといえばライブハウスの代名詞的なイメージがあるんですが、ステージ上でも客席でも独特なライブ感を楽しめるハコだと思ってます。
伊地知:思い入れというか思い出なんですが、シェルターで僕の大好きなバンド『ハスキングビー』とツーマンやった後の打ち上げは最高の思い出です。楽しかった、そして激しかった。もちろんライブも最高の思い出です!
──では、ASIAN KUNG-FU GENERATIONさんにとってライブとはどんな場ですか?
後藤:日々の地味で暗くて陰険な練習から解放されて、楽しく音楽を演奏する場所です。音楽活動の一番太い柱ですね。
喜多:とても興奮できる場所です。お客さんも興奮させたいです!
山田:個人的には、バンドをやっていることが一番実感できる場所です。毎回緊張もしますが、それも含めて楽しくてしょうがないです。
伊地知:バンドのパワーや、個々のパワーを確認できる場所です。とにかく良くしたいと思ってます。
──ライブの時に心がけていることというのはあります?
後藤:最近は、ライブが終わって打ち上げに行けるような体力を残さないように、出し惜しみなく燃えることを心がけています。
喜多:4人で音を出してるんだぞ、という事ですね。
山田:楽屋入りしてから本番直前まで、かなりシビアに肉体面 ・精神面を調整してます。準備万端にしていかないとライブを楽しめないので…。
伊地知:細かいことは考えず楽しく、気持ちやることを心がけてます。
──確かに、ステージからその勢いが伝わってくるライブですよね。では、今後はどんなライブをやってみたいと思っていますか?
後藤:毎回、毎回、良いライブが出来ればそれだけで十分です。
喜多:たまに懐かしい曲なんかもやってみたいです。
山田:お客さんからスタッフ、メンバー、その空間にいるすべての人達を圧倒するライブがやりたいです。
伊地知:海外のバンドを企画に呼んでみたいかな。
──ところで、毎回ライブに行くとお客さんがアツイ声援やノリに圧倒されるんですが、お客さんをステージ側から見ていて思うこと感じること等ありましたら…。
後藤:たまにアツすぎる声援がありまして、困惑しますが、基本的に根が暗いので、暖かい目で見守って下さい。お客さんが、飛んだり跳ねたり、感極まってもの凄いブサイクな顔になっているのを見るのが好きです。存分に身体を動かして楽しんで頂けると、我々も非常にアガりますんで…。
喜多:バンドが出している音に興奮してくれいたら嬉しいです。
山田:お客さんにパワーをもらっている部分は大いにあるので、盛り上がってくれるとやっぱり嬉しいです。周囲に迷惑をかけない程度に自由に楽しんで欲しいですね。 伊地知 ライブはテンション上がります。
──ということは、やはり普段曲作りをされているとき、ライブのことを想像しながら作られるんですか?
後藤:ライブを想像していないということはありませんが、曲を作るときは、どうやったらその曲が良くなるかを最優先で考えています。
喜多:僕はフレーズを考える時はライブを念頭に置くというよりは、作品としてグッとくるかを考えます。
山田:楽曲のクオリティーを最優先にしてますが、無意識のうちにライブを想像している部分はあると思います。
伊地知:…僕はあまり考えないですね。
──では最後になりますが、今回かなり長いツアーとなってますがどんなツアーにしたいと思ってますか? 意気込みを聞かせて下さい。
後藤:今回は地方の小さなライブハウスを沢山まわるツアーなので、とても楽しみにしています。長いツアーですが、1本1本、ガッツリと演奏したいと思っています。
喜多:早く演奏しにいきたいです。楽しみです。
山田:自分らにとっては一つの長いツアーでも、見に来てくれる人達にとっては1本1本が特別 なライブなので、常にそういう意識を忘れないように頑張りたいと思います。
伊地知:長いツアーなんですが、後先考えず全公演出し切っていこうと思ってます。くそ気合入ってますよ!