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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】三田佐代子(2003年12月号)- 年間150試合、今まで観てきた試合は7年で1000試合

年間150試合、今まで観てきた試合は7年で1000試合

2003.12.01

ディープな男性中心の中でプロレス・キャスター、プロレス・ジャーナリストとなった希有な女性、三田佐代子。プロレス専門チャンネル・サムライTVの「生でGONG!×2」メインキャスターを務めながら、「プロレス会場あるところ三田佐代子ありき」というぐらいの観戦取材を行っている。その一貫した現場主義なスタイルはコアなプロレスファンも推奨し、浅草キッドからも認めているという。そんな三田佐代子が「サヨコアリーナPLUS(プラス)」と題してプロレス関係をゲストに定期ライブがプラスワンではじまった。第二回目を迎える12月のゲストは、なんと天龍源一郎! アントニオ猪木とジャイアント馬場二人からピフォールを奪った唯一の人であり、プロレス歴40年の大レスラー。いかなるトークで応戦するのか!? 三田佐代子。彼女にどんな眼差でプロレス・格闘界をみつめているのかを改めて伺う。(text:斉藤友里子)

年間150試合、今まで観てきた試合は7年で1000試合

──今日までのカウントで格闘技・プロレスを何試合ご覧になっているんですか?

三田:見始めてから数えると96年から見てますので、今年で7年目。えーざっくり数えると、週2回は確実で……だいたい年間150本……う~ん1000試合ぐらいですかね。

全く興味も知識ももたない一人の元局アナが世の中自体にいなかった女性プロレス・キャスターに

──ほぼ二日にいっぺんですよね。でも、もともと格闘技やプロレス好きではなかったとか?

三田:実は敬遠していたクチです。サムライの仕事が見始めたきっかけでした。もともとテレビ静岡の女子アナをやっていまして。フリーになって古舘プロジェクトに入るんですけど。しばらくして、サムライTVの開局前に「プロレスもプロ野球ニュースのように毎日生放送でやろう。そのニュースを読める女子キャスターはいないだろうか。ずっとプロレスの実況をやっていた古舘さんの事務所だったらいるだろう」って連絡が来た。でもその時点で女のプロレス・キャスターは、古舘プロといいますか世の中自体にいないですよね。でも事務所は仕事が来たこれ幸いと、ちょうど局アナ辞めてきた奴がいるんですけど、ってことに。それまでは馬場さんと猪木さんが別 の団体にいるなんて全く知らなかった。しかも開局まであと一ヶ月。必死でしたね。試験勉強のようでしたねぇ。専門誌だから当然なんですけどプロレス誌は専門用語が並んでたりするじゃないですか。TFPBとか、なんて読むの?という具合で、技の名前一つなんて読むか判らない。TFPBはサンダー・ファイヤー・パワーボムかあ!って調べていったりしました。

はじまったプロレス観戦修行

──人生の思わぬところで、ひっきりなしの普段見かけない状況。頭のネジがとれたりしなかったんですか?

三田:ほんとにそう。格闘技もやるっていうので、極真空手に行ったり大同塾に行ったりしたんですけど。それを見た次の日に大門プロレスに行ってピラニア・デスマッチ。もう、エッ、というかリングの真ん中にプールが置いてあるって???? クソ真面 目というか受験世代なもんで、なんでもノートにつけてしまうんですけど、当時のノートには「リングの中央にピラニア入りのプール。これは非常にやり難いに違いない」って。そりゃそーだっていう話ですよね。でも初めのうちはいちいちショックを受けてました。で、時々会った友達や知り合いに「プロレス番組のキャスターになったんだ」って話したりしてたんですけど、続々とカミングアウトし始めるんですよ「俺、実はプロレス・ファンなんだ」って。自分が感動した試合をビデオで寄越したりしてくるんですよ。ごめん!今見る時間ないよって言うと、いや見た方がいいってみんなドスドスと。説明もしてくれたり、昔あんなことがあって、最近こんなことがあったから、今ここに立っているんだよとか。ああ、なるほど!それは面 白いってなって。そこからは毎日の食事のように。

三田メモ 反芻 エンドレス

──三田さんはプロレスを作る側だけじゃなくて、観戦する側の空気も大事にされている気がします。しかも、観測的ではなく一緒に吸おうという。三田メモを少し見せてもらってますけど、ノートの端々にあったつぶやきメモ。ビッチリですね。

三田:あははは、お恥ずかしい(笑)。なんでもメモしちゃうんですよね。「男は黙って高岩竜一」とか書いてますもんね。高岩、素晴らしいんですよ!というあ~人に話したいってつぶやきをノートの端に書いてしまいます。やっぱり、プロレスは試合が終わった後に「あれって一一」とみんなで話したくなるんですよ。あーだったこーだったを話す集団の遊びの面 白さも、プロレスの醍醐味ではないかと。いや単純に話したくなるんですよ。そうやって話して家に帰る。そうしてふと、あれ?そうだ……って反芻するうちに何か見えてきたりして。私はそういったところで、とてもラッキーな立場ですよ。近くで話しを聞けたりしてしまうわけですから。

──目に見えてることばかりではない?

三田:例えばピラニア・デスマッチをなぜするのか? 松永光弘、ミスター・デンジャーと呼ばれているその人にとって凶器というものはどうあるべきかという彼なりのポリシーを聞けてしまうわけです。有刺鉄線電流マッチはある種の到達点で、危険度のバランスを計った際、もしかしたら死ぬ かもしれないって思わせるのが大事である。もちろんやりすぎて日本刀を振り回すなんてはいけない、と。見たら何を考えてんだって思われるようなことに実に理由が存在していたりする。

──非常識に思われることをしているかもしれないけれど、常識の範疇を理解しなければ非常識もできませんもんね。

三田:ええ。そしてなぜそこまでのことをするのかという、その人となりがまたあって。それを理解する作業を知りはじめたら今になってましたねぇ。本当にプロレスは数珠のように色々なものがエンドレスに繋がっていきますねぇ。

サヨコアリーナPLUS~ボストンクラブ活動

──そんな三田さんのサヨコアリーナPLUSはどんなイベントになりつつありますか?

三田:俺はこう思っているのだけど、どうなのよ?とか。新日本のリングで格闘技をやるのはみんなどう思ってる?とか、試合後にみんなで集まって話すクラブがあってもいいだろうと。第一回目9月2日のゲストは永田裕志さん、大谷晋二郎さんでしたけど。新日本を離れたからできることがあるのではないか、大谷さん。永田さんはそんな大谷さんをうらやましいと思ってるところが本当はあるんじゃ?って思うところもあるんですよ。なかなか立場上もあってそうそう言えないこともあるだろうけど。私も番組内では立場上言えないことありますから。それをあの場で。当日はあそこまで永田さんが酔っぱらいキャラの大谷さんと並んでグレイトな案配まで……。ホント、新日本さんごめんなさいだったんですが……「ああYUJI NAGATAはこんなふうになることもあるのか。また永田選手が大好きになった」とお客さんに言われてうれしかったですよ。そういった一面 を見せることができて、かつ好きになった人がいるというレスポンスがすぐ帰ってくるイベントの楽しさを味わってます。しかし永田さんと大谷さん、競い合う気持ちからどんどんどんどん盛り上がっちゃったんでしょうね。色々な意味でレスラーのポテンシャルは計り知れません。

──そして12月のゲストは天龍源一郎さんということなんですが。

三田:ご存知の通り1976年から現在まで現役レスラーの天龍さんですんで、山のような出来事と歴史。それと天龍さんは闘竜門にでてみちゃったり、マスクマンになってみちゃったりとか、モーニング娘。に詳しかったり、トムとジェリーはプロレスに通 じるといった柔軟な考えの人でもある。そのあたりも伺って硬軟取り混ぜてお話を伺ってみようと思っています。

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