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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】BELTERS★(2003年12月号)- おもちゃ箱をひっくり返したような音の万華鏡

おもちゃ箱をひっくり返したような音の万華鏡

2003.12.01

化けた! 光彩を放つ独自のポップセンスとライヴでの弾けっぷりには定評のあるBELTERS★だが、ドラムマシンやサンプラーを大胆に採り入れた最新作『SOUND GAME BOOTH』ではバンドのレンジがぐんと拡がり、煌びやかな音の万華鏡を見事なまでに具現化している。いささか手前ミソになってしまうけれど、このアルバム、LOFT RECORDSが今年リリースした作品の中でもとりわけ大収穫と言える一枚ではなかろうか。 というわけで、オーストラリアのメルボルンで行われた"LADY FEST"(世界各国の女性達による国際的な総合芸術イヴェント)出演のため日本を発つ前日、KAYO(vo, g)、IZUMI(b, vo)、SACHI(ds)の3人をバンドのホームグラウンドである経堂タッドポールスタジオにて緊急直撃!(interview:椎名★宗之)

打ち込みも生音っぽくなる程のアクの強さ

──明日メルボルンへ出発という間際に押し掛けてスイマセン。この“LADY FEST”っていうのはかなり大規模なフェスティヴァルなんですよね。

IZUMI:それはもうビッグ・ショーですよ!

KAYO:街をあげてのってくらいの規模だよね。

──海外でライヴをやるのは?

KAYO:バンドで行くのは初めて。3人で旅行に行ったことあるんですけどね、オーストラリアは。

SACHI:向こうは夏ですよ、初夏。そのまま春までいたいね(笑)。

──で、まさに会心の出来と断言したい今度の『SOUND GAME BOOTH』なんですけれども。制作前から何かコンセプトみたいなものはあったんですか?

KAYO:タイトルだけは最初から頭の中に浮かんでて。実際、作りながら自分の中のイメージで“ゲーム・サウンドみたいやなぁ”と思ったし、結果 そのまま活かして。

──大胆にサンプリング的要素を導入して、キラキラしたおもちゃ箱のような音像に仕上がってますよね。今回は最初からこの路線で行こうと?

KAYO:そういうわけでもなくて、最初はリズムマシンとかを使って一人で遊んでただけなんだけど、これはバンドでもできるんじゃないかな? って思って。で、作り上げたらおもちゃ箱みたいになったっていう。

IZUMI:リズムがおもちゃっぽい感じなんだよね。コテコテのテクノみたいでもないし。

──こうして1枚のアルバムとして仕上がってみてどうですか?

IZUMI:凄くBELTERS★っぽい感じ。★(ホシ)って感じ(笑)。

KAYO:やっと自分達らしいものができた気がする。楽しみながら演奏ができるようになった。

IZUMI SACHI:そうそう。

KAYO:前は必死にライヴを終えることだけ考えてやってたけど、今は自分達が楽しみながらライヴをできるっていうか。自分のパートを必死にやるっていうことよりも、IZUMIちゃんが音を出す道具、SACHIが音を出す道具、私が音を出す道具っていうことで、遊びで音を加えている感じでやってるから、凄い楽しいよね。

──何か転機みたいなポイントがあったんですかね。

KAYO:これっていうのはないですね。ごく自然にそうなった。ヘンな殻をなくしたっていうか。単純にやりたいことをやろう! っていう。生真面目なものじゃなくて、楽しいものにしたかった。それが今までとは結構違うとこかもね。

SACHI:これまでの音源も全部、その時々のBELTERS★を表してるんですよ。KAYOちゃんの中にあるものをウチらができることをそのまんま、100%力を出しきってるから。その都度納得して出してるから、今聴いても別 に悪いものとは思わないし、このアルバムにもちゃんとつながってると思うんです。

──ここまで人力以外の要素を採り入れたのは初めて?

KAYO:アルバムの中ではやったりしてたんですよ。ライヴでも同じようにやりたかったけど、できないと思ってたから。でもできるって判って、やりたいからやろう! と。

──凄く効果的ですよね。不思議と無機質な印象は皆無だし。

IZUMI:なんでだろう? 生音っぽいよね(笑)。KAYOちゃんが打ち込むドラムも、SACHIちゃんの打ったのと同じやん! っていうくらい(笑)。

SACHI:多分、凄いクセが強いんですよね。他の要素に混ざれないっていうか。

KAYO:ヘンに計算して無機質な感じにしたいとも思わなかった。生々しいものが出せたから良かったと思ってる。…まぁ、機械もね、かなりチープなものを使用してるんで(笑)。

70年代には★ブームがあった!

──そうした装飾的な部分に目が行きがちですけど、最終的には歌の芯がちゃんと残りますね。それはやっぱりメロがしっかりしてるからじゃないかと。

KAYO:メロディがないとまず自分が覚えられないし(笑)、私自身がメロディのある曲が好きだから。

──どれもいい曲ですが、中でも「airport」が個人的にツボで。これ、オンエア推薦曲にしたいくらいの出来ですよね。

SACHI:ああ、シングルA面 ! って感じですよね。

KAYO:じゃあここはLOFT RECORDSにシングル・カットしてもらおうか! 「airport 2」とか「airport 3」とか続々と(笑)。

SACHI:UNDERWORLDみたいやねぇ(笑)。

KAYO:いっそのこと、THE 虎舞竜の「ロード」みたいに!

──あの曲、第十三章まであるらしいですから(笑)。「identity card: name is fugaziina」という曲がありますけど、この“fugaziina”というのは、やはりイアン・マッケイの…。

KAYO:ストレートにそうですね。

──ディスコード・レーベル周辺とか、やはりあの辺がルーツとしてあります?

KAYO:元々はKILL ROCK STARとかKレーベルものとかが好きで。NIRVANAが発端でいろいろ聴いてきて、そういう音楽を吸収して。でもウチらが出す音は決してそうはならない(笑)。

SACHI:ならないねぇ(笑)。なりたかったねぇ。

──SLEATER KINNYとかは?

全員:大好きですね!

──ああ、やっぱり。

KAYO:でもそれっぽい曲を作りたいとは思わない。単純に好きっていうだけで。あの辺の人達って、個性がそのまま音になってるじゃないですか。だからコピーはできても、あの空気をきちんと出すとしたら絶対に無理。当たり前だけど。

──今更なんですけど、バンド名の由来っていうのは…?

SACHI:ロゴとか字並びとかあるじゃないですか。バーっていろいろ挙げていった中でみんなが反応したのが“BELTERS★”だったんです。で、あとで意味を調べたら“叫ぶ”とからしくて。完全に後付けなんですけど。

IZUMI:“歌い上げる”とかね。

──ぴったりじゃないですか。

KAYO:運が良かった。あと何だっけ? NASAのチームの名前でしょ、それと江戸川区の野球チームの名前(笑)。最初は語尾に★がなかったんですよ。付けるようになったのは、★ブームの前。

──ほ、★ブーム?(笑) 少なくとも白☆星よりは先ですよね?

KAYO:もう全然先!

──でも、つのだ☆ひろと漫☆画太郎には先を越されたと。

KAYO:確かにそれよりは後(笑)。

SACHI:多分、70年代の★ブームの時だと思うよ。

──70年代にあったんですか、★ブームが?(笑) …えーと、年明けのお屠蘇気分も抜けた頃にはシェルターでレコ発がありますね。

KAYO:楽しみですね。出演するバンドそれぞれの個性が際立ってるし、目当て以外のバンドでも充分に楽しめると思う。頭の中からっぽにして楽しみに来て下さい。“音楽の遊園地”みたいな感じで、楽しいパーティーになるんじゃないかな。

──“サウンドパーク・シェルター”ですね。

KAYO:あ、それいい! それを大きく載せといて下さい!(笑)

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