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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】CLASSIC CHIMES(2003年7月号)- 関西ラスティック・シーンの雄が放つ 変幻自在のクロスオーヴァー・サウンド

関西ラスティック・シーンの雄が放つ 変幻自在のクロスオーヴァー・サウンド

2003.07.01

“次どうすんの?”って言われるのが一番嬉しい

──TAKESHIさんは元々パンク・バンドをやってたそうですけど、CHIMESの音になるきっかけって何だったんですか。随分と感じが違いますけど。

TAKESHI:単純にポーグスが好きで。ちょうどジョー・ストラマーと一緒に来日した時にライヴを観に行って、それからかな。そん時違うバンドでパンクやってた子がポーグス好きで、一緒にやろうかってことになって。それが始まりですね。メンバーはなかなか見つからへんくって大変やったけどね。メンバー・チェンジも結構何回かあるし。CHIMESみたいな音楽やるまではもうコテコテのハードコア・バンドやってたんやけど、その頃かっこええパンク・バンドとかぎょうさん出て来てて、“これ負けるわぁ”っていうのも遠い理由かも(笑)。

──活動を停止してた期間っていうのは、メンバーが揃わなかったことも大きな原因になっているんですか。

TAKESHI:それもあるけど、活動停止っていうのは今までも一杯あったんですよ。“もうしたくない”っていうのが年に一回くらいあるんです。短期集中型なんで(笑)。そん時はもうホンマにバンドをやりたくなくてね。でもありがたいことにイヴェントとかに誘われたりすると、その度に断るのも申し訳ないしシンドイし、だったらもう活動停止という言葉を出しておこうと。

──今回のアルバムに揃ったメンバーは技術的な面でも人柄的な面でも“ベスト”と言い切れますよね。

TAKESHI:そうですね。うん。

──アルバムで特に気を使った点や意識した点は?

TAKESHI:前回のアルバムを出し終わった時点で、そっから聴き始めた音楽っていうのが180度くらい変わったんですよ。新しいジャンルのもんをいろいろ聴き出して、そっち系にしたいなって気持ちがありましたね。もっといろんなもんを採り入れたいなぁと思って。

──そうですね。ホントにいろんなものが入っていて、ありとあらゆるものを貪欲に飲み込んでいるアルバムだと思います。

TAKESHI:“ありとあらゆる”っていうのは前回のアルバムの時も結構意識はしたんですけどね。

──でももう少しレンジが広がった感じがしますよね。

TAKESHI:うん、確かに。3年前には確実にでけへんかったアルバムですね、今回のアルバムは。

──面白いなぁと思うのは、和洋折衷いろんな音をやっているんだけど、アルバム一枚の中に一本芯が通 ってますよね。バランスがとても良くて、通して聴くと違和感がないですし。

TAKESHI:ただ、曲順は悩みましたね。ひとつ間違えたら全然意味判らへんようになりますから。ライヴも曲順考えるのは結構キツイんですよ。相当悩みますね、これは。

──アルバム・タイトルの由来は何かあるんですか。

TAKESHI:最初、1曲目の〈魚になる日〉ってタイトルにしようと思ったんですけど、そのタイトルが余りにもプログレチックで意味判らねぇよぉ(笑)って感じなんでね、歌詞の内容なんかも考えて一言で『FISHISM』と。響きもいいし。

──今回のアルバムはアナログでも出てますけど、アナログへのこだわりっていうのは何かあるんでしょうか。

TAKESHI:アナログは出したいですよね。ジャケットもでっかいし。やっぱり生楽器はアナログの方がええかもと思います。

──細かいニュアンスとかも違いますよね。

TAKESHI:やっぱりアナログは味がありますからね。DJの人にもどんどんかけてもらいたいし。いや、でもDJはかけにくいだろうなぁ…盛り上がらへんかも(笑)。

──CLASSIC CHIMESの音は真似しようとしてもなかなかできないと思うんですよ。海外でも充分に受け入れられる音だと思うんですけど、その辺りは何か考えてますか。

TAKESHI:海外でライヴやりたいんですよ。世界を廻りたいですね。世界で売れようという気持ちとかは全然ないですけど、ライヴは是非やりたいです。でも日本語やしね…。

──いや、日本語でやった方がかえって面白いと思いますよ。外国人がCLASSIC CHIMESの音楽にどんな感じ方をするのか、単純に観たいですよね。

TAKESHI:うん。向こう行ってビッグになりたいとかはホンマないんですよ。そういうのは全然狙ってなくて、ただライヴがしたいだけ。お客さんが誰も自分たちを知らん時って凄い無敵じゃないですか。守るものがないっていうか、そういう状況になれる。やっぱり心のどっかで“それをやったらアカンやろ”とか抑えてる部分があると思うけど、そういうものが全く無い状態でできるんやないかな。

──音楽だけはこれからもずっとやっていきたいという気持ちはありますか。

TAKESHI:そうですね。でも“ずっと”っていうのはないかも。やり続けていればそれが結局は“ずっと”ってことになるんやろうけど。とりあえずは次のアルバムかな、やっぱり。マラソン選手が言う“電信柱”は僕らで言うアルバムなんかな?

──なるほど。

TAKESHI:“もう一枚いけるぞ!”って。

──バンドのラインナップといい、今回のアルバムといい、最高の状態だと思うんですけど、この次って言うとまた新しいものをどんどんやっていきたい気持ちですか? ここまでのものを形にしてしまうと、正直ここからどう行くのかなって思うんですけど。

TAKESHI:あのね、アルバムを聴いてもらって、“次どうすんの?”って言われたら一番嬉しい。“集大成やな”って言われたら嬉しいですね。前のアルバム出した後も言われたんですけど、毎回が集大成じゃないですか、その期間分の。溜まってる訳やから。だから“次どうすんの?”って言われたら凄い嬉しい。多分それ言われんようになったらアカンと思う」 盛り上がるばかりのイヴェントは面白くない。

──アルバムの発売記念ツアーがありますね。

TAKESHI:今まで聴いてもらったことない人に聴いてほしいですね。CHIMESの音を全然聴いたことないっていう人たちにもっと聴いてもらいたい。

──ライヴを観れば一発で気に入ると思いますよ。今ライヴに来てるお客さんの年齢層はどんな感じなんでしょう。

TAKESHI:うーん、どうなんでしょうね。最近は判んないけど、2年くらい前にワンマンやった時は子供が結構来てたんですよ。ずっと僕らのライヴに来てくれてた人たちが子供連れて来てね。3、4歳の子供がハンチング帽かぶって。そん時はすっごく嬉しかった。

──いい光景ですね。

TAKESHI:一緒に歳とってるっていうかね。“ずっとライヴ行きます”って言っててもずっとは来いへんもんね。来れへんやろし。

──日常的に音楽を聴くというところから少し離れていったりもしますもんね。

TAKESHI:年一回だけライヴやるとかにしたらお客さん来るんかな?

──小出し小出しで?

TAKESHI:その方がバンドも長く続くと思うんですよね。気合いも入るし。でもそんなことしよったらあんま売れへんようになるか(笑)

──ライヴをやること自体はお好きなんですよね?

TAKESHI:もちろん好きですよ。でも、毎日でもしたいとまではいかない。飽きるしダレるしね。何でも限度があるじゃないですか。僕の場合、その限度がちょっとだけ長いかも。

──東京のライヴと地元関西のライヴで何か大きな違いとか感じるものってありますか。

TAKESHI:どうやろ? 特にはないですね。でも今回は東京で初めてのワンマンやからそういう面 ではちょっと楽しみかな。お客さんが入らへんかったら入らへんかったで、それもまた面 白いやろしね。

──いろんな人たちに聴いてもらうという意味でイヴェントは絶好の場所だと思うんですけど、CLASSIC CHIMESはできればワンマンで観たいですね。独特の世界観というか空気感だと思うし。

TAKESHI:僕も自分でライヴ行くならワンマンでじっくり観たいと思いますね。ライヴをやる側としてもワンマンの方が楽だし。でもね、今までいろいろなイヴェントについつい喰い付いてしまって、去年は結構失敗したりしましたね。

──(笑)一番大きな失敗は。

TAKESHI:大阪でイヴェント出た時にね、CHIMESがトップでやったんですけど、パッてステージ出たらもうお客さんが凄い勢いで前にかぶり付いてる訳ですよ。“スゲェ、俺ら人気者やー!”って思ってたら、みんな寝てる(笑)。まぁ、他のバンドのファンやったんな。途中まで全然気付けへんかって、途中でやっと“これは何か違うぞ”ってことに気付いた。でも、ようそんなとこで寝れるなぁって(笑)。

──ホントですね(笑)。そんなイベントなんかも今までたくさん経験して何か感じたこととかありますか。

TAKESHI:うーん…。僕の知り合いの人がイヴェント出た時に話してくれたんやけど、“どんなバンドが出ても盛り上がるイヴェントっていうのは素晴らしくないぞ!”と。例えば凄く人気のあるバンドと一緒に出て、自分らのバンドの時も盛り上がったりしたら、それは確実に嘘やと。それやったら、まだお客さんがシーンと静まり返って空缶 とか飛んで来る方がやってる意味があるって。それ聞いて確かにそうやなと思いましたね。だったら出んなやって(笑)。

──ロフトのワンマン、楽しみですね。

TAKESHI:20曲くらいやろうと思うんですけどね。でも曲順が決まらへんわ(笑)。特に変わったことする訳でもないし、ただ曲やるだけやけど、普通 のライヴというか直球ストレートな“昔からあるライヴ”っていう感じを出したいと思うんで。“来て下さい!”としか言いようがないですね。

──さすがにその時は寝てる人もいないと思いますので(笑)。

TAKESHI:それはもうアカンやろ。寝てる人おったらショックやわぁ……。

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