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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】青山総合法律事務所(2003年4月号)-歌舞伎町夜の法律相談所

歌舞伎町夜の法律相談所

2003.04.01

金、暴力、欲望、色恋沙汰の街・歌舞伎町で青山総合法律事務所が一夜限りの出張相談所開設。訊きたいけれど、弁護士って高いんでしょ? こんな相談じゃだめなんでしょ? やや、そうじゃないかもしれませんよ。ということで4月17日ロフトプラスワンで行われるこのイベントを記念して青山弁護士、下山弁護士(かわいい)に色々伺ってみました。(interview&text斉藤友里子)

歌舞伎町夜の法律相談所

──最近、法律バラエティというような番組をみかけますが。

青山:そうそう。ああ面白いなぁって。もしかして直接対面 してやった方が面白いかなって、小倉あやまれ(※)の時から交流があるロフトシネマの増田君と呑み会で盛り上がってさ。

──(気さくな……)でも普通、弁護士事務所への相談ひとつでも金銭発生しますよね?

青山:相談料がかかるね。最低価格で、相談料は30分5千円+消費税がだいたいだね。私のところは一時間単位 で1万五百円。

──最低価格とはいえ、正直気後れしてしまう額なんですが……。

青山:だから、こういう会があってもいいかなって。

──ということは、ほぼ1/10の値段で相談できてしまう。オトクだ! って通 販番組みたいなセリフですが、本当にお得です。やっぱり訴えを起こすには覚悟はいると思いますが、法的にみてそれが訴えるに値することなのか、一人で調べるのはチンプンカンプンで途中で諦めたくなりますし。小さいかもしれないけど「こりゃ、おかしいんじゃないの?」ってこと、気軽に聞けたらって思います。

青山:どんなこと?

──(インタビューで相談していいのか? スタンスがラフでつい相談してしまう)家関係とか。アパートとか賃貸での契約の時、初めて法律に暗すぎると気づきました。そもそも敷金・礼金って何?って感じで……。このお金は本当に返ってくるのかいなって…。どのくらいがキレいに使ってるというレベルとか。

青山:敷金ね。家を借りる際に、これを納めますよね。で、出る時に返されるお金のハズなんだけど、なんだかんだ、さっ引かれて全額は返ってこないじゃない場合が多い。例えば、畳を張り替えるお金を今まで住んでいた人が負担する。流石に穴を開けたりしていたら、修繕費としてとられるのはわかるけどさ、畳は時間がたてば必ず古くなるものじゃない。それを修繕費の名のもとにさっ引くのはおかしい、と厳密に言われるようになってきて。

──そうですよね!? だいたい都内のアパート賃貸のだったら6~7万円が多いですよね。その敷金の全額か、あるいはって訴えをちゃんと弁護士さんが聞いてくれるんですか。

青山:6~7万円と言っても弁護士の方もきちっと対処していきましょうって、大阪の弁護士が「敷金を全額返せ」って運動を起こしてね、それが以外と通 るようになってきてるのよ。同期の奴なんだけど。

──有名な話で、アメリカでコーヒーが熱くてやけどしたからマクドナルドを訴えて勝った人とかいるとか。実際、そんな訴えをする人っているんですか?

青山:やーまだいないね。アメリカって裁判大国でしょう。なぜって、裁判費用が日本に比べて(実際の費用はピンキリらしい。立て替え制度等もあるという。その値段の詳しくは当日ケースとともに直接聞いてみよう!)断然安いのよ。だから訴え起こしやすいけど。

──来たらどうします?

青山:尺度としては、本人の本気具合だろうねぇ……。被害を被っていると切実に思っているとしたら、相談の結果 次第では引き受けることもあるでしょうね。

──やっぱり訴えを引き受ける受けないのは、気持ちが多分に入るものなのでしょうか。

青山:助けてほしい、という気持ちはできるだけ、受け止めたい。でも本人に非がある場合、具体的に言えばキャッシングしすぎて借金で首がまわらないとか。そういったケースは、助けたいという気持ちの他に感じるものはありますし。

──懲りてほしい、とか?

青山:そうですね。下山くんはどう思う?

下山:そうしてくれるならば、いいなぁと思いながら相談にのりますね。ご本人がそう思ってくれれば、やはり力が入りますし。

青山:法は冷たい、弁護士も冷たい。そういうイメージがあるかもしれないですけど、法に温度はない。当たり前だけど。冷たいというだけで、敬遠してるとしたらソンですよ。自分の身を守る防具になるのですから。今の時代、自分で身を守らないと生きていけないですよ。

──不況になるにつれ、搾取されていく方向に行ってしまいますよね。みんな生活レベルを下げたくないから、弱いところから引っ張られていきますもんね。話は変わりますが、どうして弁護士になられたか、伺ってもいいですか?

下山:実は最初は検察官になりたかったんです。

──弁護士とは逆ですよね? 不正を暴く側。

下山:そうなんです。でも人づてにこの事務所を紹介されまして。青山先生と電話でお話したんです。もう、それが弁護士になったきっかけです。お話した時に「あっ、この人なんか……」アンテナにピッとくてしまったんです。

──フツウと違った印象があったと?

下山:そうなんです。角張っていないというか、ざっくばらんというか。人間味が。正直な話、この人の下で働いたらきっと、面 白いって思ったんです。

──なるほど。確かに青山先生はフツウじゃない(笑)。失敬ですね……。かつて小滝橋通 りにあった新宿ロフトの追い出し問題もやってもらいましたね。負けていたら、今の新宿ロフトがあったかどうか。最近だとフツウ断っておかしくないケースかもという「小倉あやまれ友の会」(サッチーが出演した新宿ロフトのライブとお客さんに対し、テレビ番組『とくダネ!』内で小倉智昭キャスターが中傷発言。それについて闘争した。相手となったフジテレビの巨大との対比は、蟻と巨象で負け戦と思われていた)の弁護士を引き受けしてくれて。本当に根気よくつきあってもらいました。逆に私なんかは尻を叩かれた感のあるくらい熱意が。

青山:ハハハハ。あれはね、ちゃんとやらないといけないケースだったよ。事実と違うこと言ってるのだもの。泣き寝入りしたら、ナメられて終わりじゃない。あ、なんで弁護士になったかだよね? 僕も実は弁護士じゃない仕事をやりたかったんだ。文学をやりたかった。でも、それじゃあ食えないだろうって。とはいえ、サラリーマンにはなりたくなかった。自分で自分を養う仕事に就きたかった。自分で自分を守りたかった気持ちがあったんだよね。それで、法律を学んで弁護士になった。でも授業サボって遊んでたこともあったけどねー(笑)

──(やっぱり良い不良の香りがするよ、この人)どういったケースを扱うことが多いですか?

青山:年間70件~80件くらいを担当しているけど、色々あるけど、民事の方が多いかな。借金の自己破産とか、離婚問題、アパートの賃貸でのトラブルとか。カードキャッシングで騙されとか。しかしねぇ、カード作ってお金借りてくれたら、アルバイト料あげるなんてウマい話ないのに。そもそも、カードでお金を借りるのはいいけど、ルーズに借りちゃう人多いねぇ。金利で消えるお金もあるのに。例えば、20万使ったら2万なくなって、18万しか使えないのよ?

──具体的に数字を言われると、ヤバいなぁって思いますねぇ。民事が多いそうですが、逆に刑事事件(殺人等、刑法その他の刑罰法規の適用を受けるべき扱いの事件)ってどうですか? その方が燃えたりしますか?

青山:や。やっぱり人だよ、ね?

下山:そうですね、ご本人がどれだけ切迫しているかで、「よし!」という気合いが変わります。

青山:ロフトのことに絡むようになったのも、僕が平野(オーナー)に出会ったからだしさ。あいつ面 白いじゃない。情熱的だし。何かやりたい時は、これってはっきり言うでしょ。

──語弊もあるかもしれませんが、青山法律事務所は情にほだされたら動いてくれるところだと。

青山:まず、相談にのりますよ。全部聞けなかったらゴメンだけれど、この日来てみて下さい。ね?

下山:はい。

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