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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ALL LIVING THINGS(2002年12月号)- ラウドミュージックの括りの中でも<怒り>だけじゃなくて<暖かい気持ち>だったり、自分を出していろんな感情を俺らの音楽に入れていきたいんですよ。

ラウドミュージックの括りの中でも<怒り>だけじゃなくて<暖かい気持ち>だったり、自分を出していろんな感情を俺らの音楽に入れていきたいんですよ。

2002.12.01

音楽ってやっぱり人間性が出るんだよね

──前作から1年半の期間をおいて本作がリリースされる訳ですが、音楽的な部分だけをとってもかなり変化がありましたね。

AKIRA:自分で思うのは、1st.曲としても練られていながらも、全体の勢いがあった作品で。2nd.アルバムは実験的な要素がすごくあった。その両方のいい部分がいい具合に今回の作品には含まれていると思う。

YAMAMOTO:そのとおりだね。

──個人的には、前作の音響的な実験だったりを経て、今作はより初期衝動に戻ったのかなと思いましたが。

AKIRA:ある意味ではそうですね。前作は、もう一度自分たちはどういうものなのかという事をはっきりさせるためというか、自分たちが出来ることを試してみたかったんですよ。広げたりという作業をしてみて。で、結局俺らはこれだね、ということが判ったんですよ。その後の作品だね。

──今回の作品の制作に入る段階で、コンセプトとなることはありました?

AKIRA:前作は、とりあえず楽器を増やしてみたり、ポエトリーリーディング的な事をやったりして、何でもいいから、とにかくやってみよう。自分たちの目の前にあるものを一度壊して試そうよという感じだったんです。そういうことで判った部分が沢山あったので、今回は全部ライブで出来るような、なるべくストレートな感じで作ろうよという話し合いがあった。

──その、2nd.でいろいろ試したこと、例えばネイチャーな方向だとか音響的な方向だとか、まるっきり新しい方向に今回の3枚目が進まずに、シンプルな方向に進んだというか、帰っていったのはどうしてですか?

AKIRA:どうしてでしょうね。自分たちの色々なことをやりたい、試してみたいという欲求がとりあえずは満たされたという事も大きいかもしれないですね。

──バンド的にそういう時期があって。とりあえずは経験して。その経験をまた持って帰って、今のバンドスタイルに吸収しつつも、バンドの方向を選択したという感じですね。

AKIRA:そうね。2nd.の方向に広がったというのは、バンド的にそういう時期だったということかもしれないですね。また時期がきたら、その時期というのは、一度通 って来た道だったりするから、今度はもっと濃い方向に広げることも出来るんじゃないかなと思うし。だから繋がっているんですよ。今回が全然前と違ってるように感じても、前作のことは無かったことにして、、という意味ではないし。

──なるほどね。大仰に言えば、ALL LIVING THINGS的には全ては繋がっていて、全てに意味があるという事なんですね。制作に関してはいかがでしたか? 作り手としては色んな事に悩んだとは思いますが、以外と素直に出来てしまったのではないかなぁ、と思う11曲なのですが。雑という意味ではなくね。

AKIRA:そこは計算通りかな~(笑)。そういうふうに、すっと入ってくるのはストレートな部分があるということでしょ。そうするために、実は後ろはすごいですよ(笑)。いろんな事が仕組まれているというか(笑)。

──そうそう、聴きやすいといっても全然薄い感じはしないし、かといって小難しい感じもしなくて。

AKIRA:前作の話にまたなっちゃうんだけど、「伝える」ということを形を変えたんだけど、今回は「伝える」ことの裏での作り込みだったりを変えていこうしたんです。

YAMAMOTO:シンプルで判りやすいのが一番にあって、あとはバックとヴォーカルの持って行き方だとかをこだわったんです。ヴォーカルがガーッと行く所は、バックもヴォーカルと共に行くとかね。今まではそういう全体的な部分がちょっと足りなかったんですよ。今回は、沢山コミュニケーションをとってね。その部分を強化して行こうと。今までは、レコーディング中に結構揉めたりっていうことがあったんで(笑)。

──両方の音がお互いの存在を理解して、音が作られている感じもします。音が相打ちになっていないというか。バンドサウンドがとにかく強力になったなぁってちょっと聴いただけでも判る感じ。

AKIRA:あとALL LIVING THINGSは、一応ラウドミュージックに分類されると思うんですけど。安易にラウドミュージックだから叫ぶ、みたいなことはやりたくないんですよ。俺らの音楽には感情が伴っていきたいなって。

──より、立体的で人間的な音楽ということですか?

AKIRA:「怒り」だけじゃなくて「暖かい気持ち」だったり。ラウドでもいろんな感情を入れていきたいんですよ。そういうことが音にパッケージできるように考えて、どういう感情なのかということをイメージしながら曲作りをするようになったり。レコーディングの作業中も、いい雰囲気になるように、スタジオ自体がいい雰囲気になってその雰囲気が音に入っていくことも意識してやりました。

──そういう意識が変わったのはどうしてなんでしょうか?

AKIRA:レコーディングって前のバンドとかも含めると俺らは結構な数をこなしているんだよ。で、レコーディングっていうと、出来た曲を如何に上手くやるかっていうことばっかり考え勝ちになってきて。やっぱり初めてレコーディングをやるときのような気持ちの高揚だったり、「レコーディングだよ~! おいっ!!」みたいな気持ちがね、少なくとも俺には無くなってきていて。そういうところで、その曲その曲のいい部分だったり、その曲のいいバイブレーションが曲に入るにはどうしたらいいのかとか考えて。やっぱり、今までずっとプロデューサーがいない所で自分たちの力で音を作ってきたんだけど、自分たちが見えなくなって来ちゃった所もあって。そういう部分をちょっとやってもらったんだよね。

──レコーディングに慣れてくると細かくなって来ちゃう部分もありますよね。

AKIRA:そうなんだよね。ある意味いいことなんだけど、逆にだんだんだんだん空気を忘れてきちゃったりして。だから、今回は例えば演奏がちょっとずれていても、空気が出ていたからOK! とか。そういう所がある意味ライブ感だったり空気感だったりを大事にしたんですよ。

──前作のイメージは作り上げられた世界観で。これもまた一つの大事な世界観だと思うんですよ。だけど、今作はそういうトリッキーな部分はクローズアップされていないけれど、やっぱりALL LIVING THINGSだという感じでしたね。人間的な部分がクローズアップされたというか。

AKIRA:音楽ってやっぱり人間性が出るんだよね。いくら俺らがストレートに作っても、やっぱりひねくれた部分っていうか、絶対に変えられない人間性があってね。それが音に出ちゃっているんだよね。4人の空気だとかが出てくるんだよね。面 白いよね。

──ALL LIVING THINGSの4人ってどんなんだ~?!(笑)

AKIRA:こういう音の4人なんじゃないですかね(笑)。だけど、今回いいバイヴレーションがいい感じで出ているんですよ。そこは俺らの世界観かなって思います。

──どうしてそこにいきついたんですか?

YAMAMOTO:うーん、、、だんだん丸くなってきのかなぁ(笑)。

AKIRA: (笑)。だけどさ、人間性をいかに消して、自分を演じて音楽をやるバンドもあるかもしれないけど、俺らはいかに自分を出して音楽をやれるかっていうのが、特に俺の中にはあって。自分の中には暖かい気持ちっていうのはあるし、いくら怒っていてもその部分は持っていたいという気持ちもあるし。なんか、ラウドでやっていてもお客さんがいるフロアが怒りに満ちているっていうのはイヤで。みんながハッピーがいいな。

YAMAMOTO:そうだね。最近お客さんといい雰囲気でね。そういういい場を作れている気がするんですよ。そういうこともでかいよね。

AKIRA:お互いがいいバイヴレーションを出し合って、高め合いたいって思うよね。

YAMAMOTO:突き放すんじゃなくて、一緒にっていう感覚だね。

──それが、決して馴れ合いじゃなくてね。

AKIRA:もちろん! 馴れ合いだったらそこにいい空気だったりいいオーラは流れていないと思うし。俺たちは新宿ロフトで<構想>っていうイベントを組ませてもらっているんだけど、そこで考えるのは自分たちで絶対に面 白いって思う組み合わせなんですよ。自分たちで面白いって思えれば、その日はもう絶対にやばいことになるから。そういう気持ちがあるし、その感覚を判ってくれるお客さんが、俺たちの隔月のイベントについてきてくれているのが判るんだよね。だからもう、そういう空気が流れているんだよ。バンドも馴れ合いだったら絶対にテンションは上がらないし。自分たちが格好良く自分たちでいられて、上がって行けるような<場>作りをしているから、お客さんと一緒に楽しめたらもう最高!

──自分たちの気持ち・音楽・方向性と、お客さんと、関わるもの全てが独立しつつも有機的に繋がっていているということなんでしょうね。

AKIRA:もう、全部が繋がっていると思うんですよね。生活も何もかも。

──それがリアルであり、そうなったら本当に強い音楽になるんだろうなって個人的に思います。

AKIRA:そうでしょ。それだったら俺たちが音楽を続けていけるなと。突き放して極めていっても、そこにはなにもないから。

──そして、その<構想>でワンマンですよね。

YAMAMOTO:そうなんだよね、ワンマンやったことないからどうなるか判らないなぁ。

AKIRA:<構想>は大体3つのバンドでやってきたんですよ。いいバンドが対バンにあってその日のテンションが上がる感じだったんだけど。ワンマンっていうのは、更にその日に向かって自分たちが上がって行くんじゃないかなぁって思って。それもまたいい刺激だよね。自分たちのモチベーションを上げていくのにこれ以上のものはないよね。お客さんもレコ発って判っているから、一緒にリリースを祝いあえる場所になると思うし。

──その<構想>ワンマンっていうのが、おおっ! って思ったのですが。来たなぁ~! っていう期待感がいっぱいで。

AKIRA:がんばんないとね(笑)。そういう期待感もすごくいいじゃないですか。自分たちもお客さんも。そうね、、楽しみだよね。

──簡単にいってしまえば、すごくいいタイミングでいい状況ですよね。

AKIRA:いい偶然が重なったよね~(笑)。

──いやいやいや、<必然>って顔にありますけど~(笑)。

AKIRA:そう?!(笑)。。

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