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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】THE NEATBEATS(2002年11月号)-ガキの頃に聴いて刺激を受けたものは死ぬまで消えないですよね

ガキの頃に聴いて刺激を受けたものは死ぬまで消えないですよね

2002.11.01

アーリー60'sロックンロールの影響をモロに受け、タイトなスーツにリーゼントで、ハンブルグ時代のビートルズも顔負けのステージをみせるTHE NEATBEATSのライブアルバムが発売される。多くの現役ロックンローラー達からも絶賛を受けるTHE NEATBEATSとは一体何者か? 12月1日新宿ロフトのワンマンを控える彼らにお話を伺った。 (INTERVIEW:加藤梅造)

ガキの頃に聴いて刺激を受けたものは死ぬまで消えないですよね

──11月20日にライブアルバムが発売されますが、ライブアルバムを出したいというのがあったんですか?

MR.PAN:ライブアルバムといっても僕らの場合は普通のアルバムと同じ感覚なんです。ファーストアルバムもライブ盤にしようと思ってたくらいだから。

MR.SHEEN:ライブ盤なりの空気感だったり、間違えてる感じとか(笑)、『GOLDEN GOODIES』に入っていた曲が、ライブではこういうふうになっているというのも伝えたかった。

──1曲目の「YAH! YAH! YAH!」を聴くだけで、おおライブだ!という期待が高まりますね。

MR.PAN:もともとライブの最初にやる曲として作ってますからね。

──しかも、アルバムタイトル『GOLDEN GOODIES SHOW』の通り、まさに「ショー」という言葉がお似合いな内容です。

MR.PAN:うん、ライブというよりショーという方がいいですね。「ジェイムス・ブラウン・ショー」みたいな感じで。

──確かにその方が、60'sっぽい雰囲気があります。最初にMCのオヤジが出てきそうな。

MR.PAN:そういうのは好きですね。MCのオヤジが、知る人ぞ知るやたら有名な人で、その人が紹介するバンドは一流だったりするみたいな(笑)

──そういう演出も是非ニートビーツにやってもらいたいものです。

MR.PAN:ミュージック・フェアの鈴木杏樹に紹介されたりとか?

──いや、ミュージック・フェアに出るのは年齢的にまだ早いでしょう(笑) そういえば、ライブのMCで「来年30歳。まだまだオマエらには負けねえからな!」と叫んでますが、若い奴には負けないぞって感じはあるんですか?

MR.PAN:ロックン・ローラーってみんな歳取らないじゃないですか。リトル・リチャードとかおかしいぐらい顔がツヤツヤしてて、50年代から顔が変わってないし言ってることもやってることも変わってない(笑) そういうのを見るとなんか安心しますよね。

──例えばビートルズは、後期、だんだん深淵な感じになっていきましたが、そういうのはどう思います?

MR.PAN:ビートルズの場合、周りの環境もあるから難しいですけど、バンド自身だけで言うとあんまり変わってないと思うんです。ニートビーツは、多分、何かが起きない限り変わらないでしょうね。ブライアン・エプスタインとかが出てこない限り(笑)

──今後はこういう方向で行こうとかいうのはないんですか?

MR.SHEEN:なんも考えてないですね(笑) 「このままやれたらええやろうな」としか思ってない。インタビューでこういう質問された時初めて「あー、どうしよう」って考えるぐらいで(笑)

MR.PAN:いろんな影響は受けるんですけど、好きなものは絶えず根底にあって、それは変わらんような気がするんです。この間、カール・パーキンスが95年ぐらいにやったビデオを久々に観たんです。そこにはクラプトンやジョージ・ハリスンも出てるんですけど、ジョージ・ハリスンがめちゃめちゃ嬉しそうに弾いてて、それがビートルズの頃と全く変わってないんですね。そういうの観ると、あんまり何も考えない方がいいんちゃうかなって思います。

──なるほど。やっぱり一番好きなのは60'sロックンロール?

MR.SHEEN:そうですね、忘れることはないでしょう。たとえ次のアルバムで表現するものが変わっても、原点は変わらないと思います。ビートルズがロックンロールから始まってサイケやインドやらを通 り越して最後は悟りの世界に行っちゃっても、ジョージ・ハリスンはカール・パーキンスが好きっていうのは変わらない。ガキの頃に聴いて刺激を受けたものは死ぬ まで消えないですよね。

──そもそもニートビーツがアーリー60'sに出会ったきっかけは何だったんですか?

MR.SHEEN:最初はピュア・ロカビリーが好きだったんです。そこにMR.PANが「これやろうぜ!」って持ってきたのがアーリー60'sのビートもので、それがめちゃめちゃカッコよかったんです。僕らが好きなロカビリーやロックンロールの原曲をアレンジしているんだけど、そのアレンジが時には原曲を上回るほどカッコよくて、これバンドでやろうぜって。しかも、当時そういうバンドが周りにほとんどいなかった。それでやると決めたらとことんやろうと思って、機材もビンテージにこだわって当時のような音を出そうと。それは今も続いてますね。

MR.LAWDY:リアルタイムで聴いてないから、懐かしいとかそういう感覚はない。全く新しいものとして、それがすごくハマったんです。

MR.PAN:僕が年頃の時は、いわゆる80年代中期のMTVが全盛でロックンロールは不毛の時代だったんです。そういう時にいきなりスリーコードのロックンロールを聴いたら「ウォー!」となりますよね。特に、60'sイギリスのマージービートはすごい新鮮でした。

──ビートルズのコピーをやろうと思ったわけではないんですね。

MR.SHEEN:それはまず第一に避けましたね。それだと懐かしいって感じになってしまうじゃないですか。でも僕らが目指したのは懐かしさではなかったから。もちろんビートルズは大好きですが。

──では、ロカビリーとの出会いはどうだったんですか?

MR.SHEEN:僕の場合は、先輩に映画『アメリカン・グラフティ』のサウンドトラックを借りたのがきっかけですね。

MR.PAN:本当にこんなわけないだろって思えるような現実感のなさが逆にいいよね。

MR.SHEEN:服のデザイン、髪型から車まですべてが、なんかいっちゃってますよね。おかしいというかキチガイというか。それがすごいカッコよかったんです。

──パンクとかは聴きました?

MR.PAN:すごい聴きました。で、ラモーンズとかクラッシュってオールディーズの曲をカバーしてるじゃないですか。そういうのを聴いてたから、ロカビリーって全然普通 なものとしてありましたね。

──資料に、鮎川誠さんや真島昌利さんがニートビーツを評価しているとありましたが、それだけみても、ロックンロールの遺伝子が世代を越えて繋がっている感じがしますね。

MR.PAN:僕ら70年代生まれの世代はロックンロールを一番知らない世代になっていると思うんですが、僕らより下の世代になるとさらに「うぉー!ロックンロールすげえ!」って思える瞬間がなくなってくると思うんです。だから、俺らみたいなバンドが絶えずそういう瞬間を持っていたら、若い奴らも感じてくれると思うんです。特に今はCDで何でも手に入るから、ライブというきっかけが大切だと思います。

MR.SHEEN:若いお客さんにとって、僕らのライブがそういうきっかけになってくれたらいいですね。別 に強制もしないし、「こういうのどう?」って勧めるだけですけど、それを聴いて楽しんでくれるのが一番です。

──確かにニートビーツのライブではそれを強く感じます。

MR.SHEEN:バンドやってて悲しかったらやめてますしね(笑) 僕らにとって音楽は一番ハッピーだし、このライブ盤でも、そういうハッピーや、楽しさや、脳天気さが伝わるといいですね。

──ただの脳天気と思われてもいい?

MR.PAN:何も考えてないのが一番だと思います。なんか考えてると思われたら、人に相談とかされそうじゃないですか。「あいつは音楽のことしか考えてないから、相談しても無駄 だ」って思われるぐらいがちょうどいいです(笑)

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