宙ブラリの自主企画<闘魂十番勝負>はそんじょそこらの2マン・ライヴとは訳が違う! 両者60分の持ち時間を最大限に使い切り、性根尽き果 てるまで正真正銘のガチンコ勝負を繰り広げる、誇り高き壮絶な闘いなのだ! 彼らが対決第三幕の敵手に選んだのはGO!GO!7188。"虎の穴"に潜み虎視眈々と"半°苦"ミサイル投下を目論む彼女たちを前に、宙ブラリは渾身の"馬鹿爆弾"で迎え討つのか!? 来たる9月23日・秋分の日、新宿ロフトは血で血を争う一大ライヴ抗争の修羅場と化す!(interview:椎名宗之)
常に全力疾走! 一本一本のライヴが真剣勝負!
──<闘魂十番勝負>の第三番が目前に迫っていますが、この自主企画のコンセプトは?
南 謙一:とにかく2バンで真剣勝負をしたいと。対バンにも“~さん”付けをせず(笑)。何しろ本気の対決だから。
──今回の対戦相手であるGO!GO!7188も、「相手にとって不足はナシ!」と。
南:もちろん。
山口重之:今回もかなり強敵ですね。僕が前にアッコ(GO!GO!7188)の企画に出させてもらった縁があるんですよ。[企画限定ユニット、UPS & DOWNSのドラムとして山口氏が参加]
──これまでにCLUB Queでマグネットコーティングと、新宿JAMでシスターポールとの大勝負が繰り広げられたわけですが、ズバリ勝敗は如何に?
山口:勝ち負けはそれぞれ自分のなかで決めればいいんです、演るほうも観るほうも。その辺はそういう言い方でぼやかして…(笑)。
──“十番勝負”ということは、対戦する残り7バンドは皆さんの頭のなかに漠然とあるんですか?
南:第四番の対決は、DMBQかナンバーガール! ……って、まだ全く話をしてないんだけど(笑)。是非出て欲しい。
──それ、記事にして大丈夫ですか?(笑)
南:全く問題ナシ! 責任はすべて彼女(マネージャー)が取りますから!
マネージャー:ちょっと、ちょっと!
山口:誌面を通してラヴコールを送るということで(笑)。
──対戦相手に迎えるバンドの決め手はどんなところでしょう?
山口:やっぱりライヴがいいバンドですね。それに尽きます。
南:この間、ひたちなかでナンバーガールを観てきたんだけど、泣けた! MCも最高だし。元々広い場所でバンドを観ると泣く癖があるんだけど、本当に良かったからね。だけどまぁ、松田聖子を観て泣いたこともあるから(笑)、曖昧な基準なんだけど。
山口:観に行くかよ、普通(笑)。
──この自主企画に限らず、宙ブラリのライヴは一本一本が真剣勝負ですよね。
南:うん、いつだって全力ですよ! でも、どのバンドも絶対にそう言うでしょう? だけど宙ブラリは“全力”の度合いが違うから。俺たちの“全力”は1500メートル走の“全力”だからね。
──短距離走じゃないわけですね。長距離でずーっと全力疾走。
山口:南にとって1500(メートル)は長距離じゃないんだよな?
南:中距離。いいかどうかは判らないけど、そこまでやるんだと決めてる。ライヴを観に来てくれた人が「次も絶対にそれくらいやってくれなきゃダメだ!」ってことになるから……まぁ、自分たちでどんどんハードルを高くしてるってわけだ!!
山口:だから、たまにお客さんからツッコミを入れられたりするんですよ。「今日はちょっと余力を残してただろう?」って(笑)。あんなに一杯一杯でやってるのに、何なんだその感想は?(笑) まぁでも、相当マニアックな見方をしてくれてるわけだから、ありがたいですけどね。
──歌詞もサウンドもこの上なくストレートだから、それだけ性根据えたライヴをすれば、伝わりの度合いが他のバンドと格段の差だと思いますよ。
南:うん、王道のロック・バンドですからね。オリジナリティのある、何の物真似でもないところを全員で目指してるから。“ロール”はしてないですね。“ロックンロール”じゃない。純然たる“ロック”なんです。
対バンのビデオ研究にも余念なしです!
──そもそも、皆さんの音楽的背景はどの辺になるんですか?
南:80年代のヒットチャートとか歌謡曲の『ベストテン』世代だから、その辺のメロディは今やってる音楽の要素として直撃で入ってますね。そこから始まって、洋楽はツェッペリンだのジミヘンとかの王道路線にハマって。レディオヘッドとかブラーなんかも好きです。日本のバンドだと村八分とか、RCサクセションの初期から中期とか。
山口:僕は南と歳が近いから割と似たような感じなんですけど、YMOの影響はデカいです。小学生の頃に「家帰って音楽聴きたい!」「ラジカセの再生ボタン押したい!」って思った初めてのバンドでしたね。その後は兄の影響でNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)に狂い始めて(笑)。でも基本的なバックグラウンドとしては歌謡曲がずっとありました。南が弾き語りで曲を持ってくる時も、“いいな”と思うのはそういう80年代の歌謡曲に近い匂いのする曲だったりしますから。逆に「こんなリフを考えてみた」って無理にひねり出したような曲だと、ボツになる確率が高いんです。やっぱり、しっかりとしたいい歌になってないとダメなんですよ。
原田真悟:僕は音楽に目覚めたのが遅くて、一番最初にハマったのがユニコーンの後期でした。初めてバンドをやりたいなと思ってライヴを観たのはポリシックスとズボンズですね。今はぐっちゃん(山口)にポリスのビデオを借りて洗脳されてます(笑)。
南:シンゴ(原田)とは一回りくらい歳が違うからね。
──今後リリースの予定はありますか?
南:ライヴ音源をテープで出す計画があります。ライヴで随分と地方を回ってて、それを自分たちで録ってるんで、何かのタイミングで出そうかと。でも石川 純(ホットスタッフ・プロモーション)という男に「まだ発表するな!」と止められてまして。「今度の<闘魂十番勝負>当日に発表しなさい!」と。
マネージャー:ここで殆ど宣言してるようなもんじゃない(笑)。
山口:まだ音は全然いじってないから、出せるかどうか判らないけどね。
南:いや大丈夫! 絶対出す! 石川君が「200本作ってこい!」って言ってたし。「売れ残ったら後で叩き売りすればいいんですよ!」なんて言って、人の音源を何だと思ってるんだよッ!(笑)
山口:でも、ライヴ盤を出すバンドって勇気あると思いますよ。基本的には編集が利かないじゃないですか。編集で巧くごまかすライヴ録音もあるけど、俺らはそんな機材を持ってないですからね。
──後から付け足しをするのも宙ブラリっぽくない気もしますしね。
南:自分のMCだけは何か被せたいと思うけどね。客席が完全にシーンとしてるならまだいいんだけど、中途半端な失笑とかあるから(笑←震度5)。
──ライヴ音源もいいですけど、原田さんが加入してのスタジオ音源をもっと聴きたいですね。
南:基本的にサボリ屋なんで、切羽詰まらないといろんなことが決まらないんですよ。
山口:曲は出来ない時には出来ないんですよね。出来る時はアイディアが降りてくるみたいなことがあるんですけど。
南:そうか、お願いすればいいんだ? 「降りてこい! 降りてこい!」って(笑)。
──普段から歌詞を書き留めたりするんですか?
南:そういうのはないですね。曲を作る期間を定めて一気に集中する感じです。
山口:普段はライヴで一杯一杯ですからね。ウチらは不器用というか、リハの段階から根を詰めて通 しでやらないと安心できないんですよ。
──<闘魂十番勝負>、“十番”と言わず、二十番でも三十番でも続けていってほしいですね。
南:アントニオ猪木の引退を惜しむようにね(笑)。
山口:あれは余りに引っ張りすぎだけどな!
南:十番まで終わったら、次は“ワールド・ヴァージョン”で行くか?(笑) とにかく今度の<闘魂十番勝負~三番~>、是非観て、聴いて、感じてほしい! GO!GO!7188も気合いの入ったライヴを観せてくれるバンドだし。
山口:自分たちが観て“いい!”と思うバンドとの対決ですからね。観て絶対に損はさせないという自負を持って臨みます。通 常のブッキングだと30分程度ですけど、この企画は1時間ずつやるから否応なしに気合いが入りますよ。
原田:僕はボクシングのチャンピオンが対戦相手のビデオを見て研究するかの如く、今は日夜GO!GO!7188のビデオを見てます。
山口:弱点を探してるんだ?(笑)
原田:研究には余念がないですよ! 体力も万全に調整してるので、その成果 を当日お見せできると思います!