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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】NOT REBOUND(2002年9月号)- だって"ふられ気分でPUNK'N'ROLL"だもんね

だって"ふられ気分でPUNK'N'ROLL"だもんね

2002.09.01

だって"ふられ気分でPUNK'N'ROLL"だもんね

──今回NOT REBOUNDとしてはフルアルバムからすると約1年ぶりでトムキャットの『ふられ気分でロックンロール』のカバーだよね。なんでこの曲を?

カタギリ:最初はおもしろがっていただけの部分があるんですけど、もともとはCOOLER KING McQUEENとのスプリットの時にカバーをやろうって言った時にチェッカーズかシャネルズかトムキャットって話をしたらゴウシがそれはやられたら困るって言って、それだったら2バンドとも尊敬しているバンドでライダースってあのときはそういうふうに決まったんですけど僕らん中ではくすぶっていたんですよ。やりたかったんですよ。練習でちょこちょこ『ふられ気分でロックンロール』をやってみたら面 白くて、でタイミングで2月にトロピカルゴリラと2バンがあって、その時にそれ用にやったんですよ。その時用に練習してやってみたら意外と反応もよく、僕らも楽しくやれたので発売したいなと思って太田さんに『ふられ気分で・・・』って言ったら「おもしろいね」って言ってくれたんで、じゃあそれでお願いします。って。

──でもそれってけっこう前じゃない。

カタギリ:けっこう前ですね。かなり前ですね。

──このリリースに至るまではけっこう時間が経ってるじゃない? なんでだろう。なんでチェッカーズに浮気しなかったんだろう。

カタギリ:チェッカーズはあんまり覚えてなかったんです。全員うろ覚えな状態で。

──ちなみにチェッカーズはどの曲だったの?

カタギリ:『あの子とスキャンダル』

──あら~。

カタギリ:まあ曲としてあがったのはその2曲だったんですけど、チェッカーズはやってみようとも思わないくらい覚えてなくて、トムキャットはやっぱパンチあるから覚えてて、スタジオでもやりだしたら簡単だったんで。

──でもトムキャットのほうがよかったかもしれないな。結果ね。

カタギリ:僕もそう思います。

──チェッカーズのほうはサックス入ってるし(笑)。誰も吹けないしね。あれをアレンジし直すってのは難しいだろうね。

カタギリ:コーラスも2人いますしね。

──ふられ気分でロックンロールはメインの主題としていいんだけども、他に新曲が3曲入っていて、新曲3曲はどのぐらいの期間で作れたんですか?

カタギリ:『ビューティフルサンデー』は前のアルバムのレコーディングが終わってしばらく経ったぐらいからあって、残りの2曲は僕と大ちゃんが家で作ってる程度にはあった曲で、あるものを何曲か持ち寄ってみてスタジオで合わせてみてこれはいいでしょと思うものを合わせたのがレコーディング2ヶ月ぐらい前ですかね。

──フルアルバムの形態の中で、スローな曲もあれば早い曲もある。っていうのはごく一般 的な作品としてあるんだけど、今回6曲中カバー1曲と新曲3曲っていう中でもやっぱりスローな曲をやるわけじゃない?

カタギリ:はい今回もやってしまいました。

──あれはやりたいんだ?

カタギリ:あれはあの歌詞が今じゃないと自分達にとって意味がなくて歌詞的に今入れたかった歌詞なんですよ。しかもあれって、今いろいろリストラとか状況が悪いじゃないですか。でみんな懐古主義じゃないけど昔のことばかり言うじゃないですか。あの時はよかったって。で、たまたま僕らは『ふられ気分で・・・』をやってしまったわけじゃないですか。懐古主義にのってしまったところがあって、それに対して、自分達でどうなのかって思い出してみたけど前に向かって行こうよみたいなことをあれに入れたかったんですよ。シングルに。

──じゃあある意味、『ふられ気分で・・・』のアンサーソングだ。

カタギリ:自分達なりの答えなんですけど。思い出すことは悪い事じゃないし、昔が良かったっていうのは悪くないけど、そればっかり言ってても進まないよってことをどうしてもシングルの中で1曲いれたかった。だから、それがスローな曲だったか、早い曲だったかはそれほど問題じゃなくて、それよりは歌詞として入れたかった。

──詩の内容が重視。初めて聞きましたね(笑)。レコーディング一緒にしたのにね。

カタギリ:聞かなかったじゃないですか。

──あんまりそういう話しても面白くないしな(笑)。で、ふられ気分でロックンロールはいいとして、新曲も除いたところで、これはアウトテイクなんだろうね。『I wanna be a dreammaker』も入っている。謎の曲も入ってますね。この『I wanna・・・』は何で入れたんですか?

カタギリ:それは石川さんから連絡を受けて、何か1個一発録りで荒々しいライブっぽさを出したやつを1曲やってみようよって言われて。僕らん中では、お前らに曲を任せるから曲を選んで欲しいって言われたときに、最初『わや』をやろうと思ったんですよ。でも、何か違うなというかもっとロックンロールくさいやつがやりたいなって思ったときに、『I wanna・・・』かな~石川さん『I wanna・・・』好きって言ってたしなって思って『I wanna・・・』にしたんですけど。

──どうですか?

カタギリ:面白かったですよ。ただボーカルぐらいは返さないと苦しいかなと(笑)。自分が何を歌ってるのか全然わからない。別に返せばよかったんだよね(笑)。

──ボーカルだけヘッドホンで返せばよかったのに。あの時かなりテンパってたんでしょうね。

カタギリ:普段のライブ以上に汗かいてたからね。やり直しって言われたらどうしようって。

──実際やり直しあったんだけどね。あまりにも曲のよさと腕があまりかけ離れちゃうとまずいんで、ちょっとぐらいやり直してもいいんじゃないかって。

カタギリ:最初録る前はさほど乗り気じゃなかったんですよ。昔の曲をもう1回録るっていうのはあまり乗り気じゃなかったんですけど、やってみたら楽しかったし録ったの聞いたらいいじゃんとか思って、今けっこういい感じだなと思うんですけど。

──レコーディング風景見ていてもおもしろかった、あれは。新鮮でしょ。

カタギリ:ちょっとしたイジメみたいになっていましたね。ガラスの向こう側で遊びに来ている人全員が本とか読んでた。すごい必死にやってるのに。またこいつら日常会話してやがるって。あんまり聞いてないからね。で、問題の最後の曲。なんですかあれは(笑)。

カタギリ:あれはシークレットトラックであんな曲入れてるバンドけっこういるじゃないですか。あんなのをやってみたかったのは事実なんですけど、それはシングルに入ってるのってちょっと面 白いだろうなって思って、すごいいいメロディーと歌詞があって、なのに遊んじゃったみたいなところが欲しかったのと、ライブでもやらないでしょうっていうのがあって、そのCDでしか聞けないモノが欲しくて、他の曲はひょっとしたらライブでもやるわけじゃないですか。1曲ぐらい絶対ライブでやらない曲。たとえばワンマンで急にやったりとか、そういうのも1曲あったら面 白いなと思って。

──メンバー自ら間違えますからね、歌を。なんですかね、あの「ま」っていうのは。

カタギリ:それに合わせて間違えた人もいましたけどね。かなりわざとらしいんですけどね。

──しかも録音形態がなんですか、あの録り方は。

カタギリ:ダラダラでしたね。

──普通はああゆうのって一つのマイクに対してみんなで合唱するのが世の常なのに、またそれも1人づつ順番に録りましたね。意味がわかんないんですけど。

カタギリ:意味はわかんないですけど、結果的にはあれがよかったんじゃないかなと思うんですけど。

──要は間違える人が1人いて済んだぐらいの。何回やり直すんだっていう話になるからね。

カタギリ:そうですね。誰もやり直さなかったですね、間違えても(笑)。

──まあライブのりで。 カタギリ こんなんでいいですかっていうのまで入っちゃってますからね。あれはいい味なんじゃないの? NOT REBOUNDっていうバンドがまじめなところもあってちょっと間抜けたところもあって、って言った意味ではかなりいい印象を受けたんで。

カタギリ:レコーディングが楽しかったんだろうなっていう空気が伝わればいいかなと思いますけど。

──さあNOT REBOUNDがですね、今までに単独の作品。オムニバスとかスプリットをのぞいたところで、単独の作品の中では一切カバーとかやらなかったじゃないですか。それでもなんかバンドのカラー的にはやりそうなのに、しかも昔からファーストからやってそうな気配がするのに何でやらなかったの?

カタギリ:う~~~~~~~~~~~~~~~ん。そうですね。そういう例えばパンクバンドがやるカバーってだいたい決まってるじゃないですか。そういうのが嫌だったのもあるし、俺らがクラッシュとかそういうことやっても面 白くはないし、結成当時はやってたんですよ。でも、それほどのめりこんでもいなかったし、オリジナルのほうがかっこいいイメージがあって、やるんだったら誰もやらないようなことがいいかな。ハイスタが『サタデーナイト』とかやってましたよね。あれすごくかっこいいなと思ったんですけど、洋楽はそれほど知らないのであそこまでポピュラーな曲を自分達のものにする自信もなかったし。

──そういえばNOT REBOUNDってさ、洋楽あんまり知らないよね。

カタギリ:知らないですね。弱いですね。

──そういえばそうだね。出てくるバンド新旧問わず日本人だもんね。そういうところが原因であるかもしれないね。

カタギリ 洋楽って言えば、それこそパンクバンドしか知らないわけですよ。パンクバンドかパワーポップとか。言ってみればこっち側のシーンしか知らなくて、一般 的なヒットソングってのは全然知らなくて、昔PLAYMATESがインタビューで小さい頃ベストヒットU.S.Aを聞いてましたっていうのを聞いて、かっこいいこといいやがってって思って、俺はそんな番組があったことすら知らない。彼らがPOLICEとかを聞いてたときに俺はアリスとかを聞いてた(笑)。

──いいですね。一字違いだけど大違いだね。同じトリオだけどね。

カタギリ:しかもウチのオヤジとかがビートルズにハマったことがない人なんですよ。だからちっちゃい頃とか車に乗るとチューリップとかさだまさしとか、松山千春とかそういうのしかかかってなかったから、 洋楽に触れる機会っていうのが全然なくて、初めてまともに聞いた洋楽ってBON JOVIかな? 知らなくて今更深く聞こうと思ったって染みつくわけないじゃないですか。名前が出るぐらいなら出来るかもしれないですが。

──でも人それぞれ聞いてきた音楽、ルーツってのが違うと思うんだけど、『ふられ気分でロックンロール』に関してはみんな知ってたの?

カタギリ:はい、全員、3人とも。やっぱ言ったら小学校4年生か5年生ぐらいのときなんですよ。どこの学校でも流行ったみたいなんですよ。ふられ気分でロックンロールをちゃんと唄えるかどうか。あれってけっこう言葉を詰め込んであるから難しいじゃないですか。そういうのが流行ったおかげで全員ちゃんと覚えてたんですよ。歌詞はちょっとうろ覚えみたいなところはあったんですけど、曲のパターンとか流れは全部覚えてて、アレンジもしやすかったんですよ。全員覚えているから。

──言っちゃえばゲストで入っている謎のヤンキーアイドルも同世代だもんね。

カタギリ:16歳じゃなかった?

──自称16歳みたいですけどね。あんな16いないんですけどね(笑)。つうことはそれは知っててもメンバーのうちでエーーーー!! ってのがなかったの?

カタギリ:なかったですね。全く。タイトルにロックンロールって付いてるからいいかなっていう。

──なんだそりゃ(笑)。安直だね~。

カタギリ:あと元の歌がいいし。

──ふられ気分ってのもね。

カタギリ:うちに似合ってるかな。たしかにやってみればロックンロールだし。たとえばヒットした歌謡曲をやるとして、これは恥ずかしいでしょってのもあるわけじゃないですか。でも、『ふられ気分・・・』に関しては全然そういうのもなくて、これはいけるんじゃないかって思って。

──NOT REBOUNDのバンドスタイルにしても、たぶんそういうのが一番合ってるからこの曲を選んだってのもあるかもしれないけど、バンドによっては原曲を壊しにかかるカバーの仕方をするバンドもいるでしょ。でも、NOT REBOUNDの場合ライダースのカバーをやったときにしても今回の『ふられ気分・・・』にしても、割とまんまじゃないですか。この辺がなんか意図してるんですか。

カタギリ:好きなバンドなり、好きな曲だからカバーするわけじゃないですか。そうするとやっぱその曲に愛情があるんで、くずしたくないというのがあるんですよ。自分達っぽくしたいってのはあるんですけど、あんまりくずすのは好きじゃなくて、歌がこれだけいいんだったらそれをそのままやりたいなってのはある。そういうところですかね。あんまりくずすほうまで頭がまわらないっていうのもあるんですけど。

──逆に言っちゃうと気を使うところは、その曲をピックアップするときに気を使うみたいな。

カタギリ:ただ何にもいじってないのに、オリジナル? って歌を入れる前の段階でこれ一番ノットリっぽいよねって。くずさなくても俺達っぽさは出たのかなと思ってるんですけど。

──なんとなくあの曲を知らない人ってのは今の十代後半の子とか二十代前半の人とかは知らないと思うよ。ただ、たぶん何も言わないであの曲やったら、すげ~合ってるとは思うよ。だからその辺のチョイスはすごい良かったんじゃないかなと。いや、いいデキだと思いますよ。終わりでいいですか(笑)。

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