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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】HIGHWAY 61(2002年9月号)- そうじゃないといい演奏もいいライブもいい音源にもならない!

そうじゃないといい演奏もいいライブもいい音源にもならない!

2002.09.01

そうじゃないといい演奏もいいライブもいい音源にもならない!

──HIGHWAY 61はどのように結成されたのですか?

トモシロウ:2年ちょっと前ですね。僕とギターの鞭君が金沢の同じ高校で。お互い東京にバラバラに出て来たんだけど、一緒にやろう! という事になって。

──じゃぁ、東京でメンバーを集められたんですね。

鞭:前身バンドがあって。その名もHIGHWAY61だったんだけど(笑)。旧新宿ロフトのオーディションが受かって、「わーーい! 夜の部に出られる~!」って思っていたのに解散しちゃったんですよ。ロフト移転直前でしたね。それからブランクを置いて、トモシロウ君と僕が再会を果 たして、HIGHWAY 61が復活したんです。

トモシロウ:そうだそうだ! 今のベースの渡辺君を見に行ったら一緒のバンドだった薬師神君がドラムを叩いていて。当時からモヒカンで、こわーーい感じだったんだけど(笑)

薬師神:恐くないよぉ~! トモシロウ 結局その2人がHIGHWAY 61になってしまったんですね。

──前身のHIGHWAY 61の時から、今のようなシンプルなパンクに日本語の歌詞というスタイルだったのですか?

鞭:そうですね。

トモシロウ:あ、でももっとへたくそだったと思うけど(苦笑)。ちょっとは上手くなったかな、あんまり変わってないかもな。

──4人のフェイバリット・アーティストを見ると幅が広かったりしますが(トモシロウ: オーティス・レディング/ボブ・ディラン/トム・ウェイツ  鞭:ローリング・ストーンズ/戦前ブルース/パティ・スミス 渡部:ラモーンズ/クラッシュ 薬師神:ラモーンズ/ポリス/ボブ・マーリィ)、HIGHWAY 61としてのビジョンは明確だったりするのですか。

トモシロウ:違う人間ですからねぇ、確かにバラバラかもしれないですね。ただ、単純に日本語でパンクロックをやりたいな、どちらにしてもシンプルにやりたかったんですね。それは最初も今も変わらないですね。

──最初から日本語の歌詞が頭にあったのはどうしてなのですか?

トモシロウ:曲はみんなそれぞれが書いてくるんだけど、その全てが日本語なんですよ。英語の歌詞のバンドが一世を風靡したんだけどねぇ。

──ちょうど、その頃にその前のHIGHWAY 61が始まっているのではないでしょうか?

 トモシロウ:うんうん、そうなんですよ。メロコアが始まった頃は、僕は引きこもりだったので、巷でそういうメロコアが流行っていることすら知らなかったの!

──は?! 本当ですかぁ(笑)。(一同爆笑)

薬師神:彼は今でも本当にあんまり知らないんですよ~(笑)。僕は結構その辺を通 って来たんだけど、彼は全くって言っていいほど知らない!

トモシロウ:知っているよ!3.6MILKとか。

──それは最近に対バンしているバンドじゃないですかッ!

トモシロウ:そうそう、そうなんだけど(笑)。僕の好きなアーティストで、CDラックに並んでいる9割がアメリカだとかイギリスの音楽だったりもするんだけど。だから英語が嫌い! っていう意味じゃないんですよ。どっちでもいいもんはいいんで。ただ、どのスタイルを自分に取り入れるのか? ってなったときに、僕が選択しなかったわけで。

──他の方はどうですか?

鞭:僕も、時期を同じくして、引きこもっていたんで、、、(笑)。オルタナムーブメントがあったときに周りの友達はかなり影響を受けていましたけど。GREEN DAYやらOFF SPRINGとかも聴いていたのに、上京してトモシロウ君にあったがために、一気にレイドバックしてしまった(笑)。英語圏の音楽といっても、南部のドロドロしたものが良くなってしまったんですよ。

──でも、その好きな音楽をトレースするバンドではないですよね。

トモシロウ:それは出来ないので。僕らなりにやると、今のHIGHWAY 61の音楽にどうしてもなってしまうのですよ。

──HIGHWAY 61で音作りをするときに、日本語の歌詞以外にこだわっている部分はありますか?

 トモシロウ:こだわりともちょっと違うけど、歌詞と曲をワンセットに作るんですよ。それを軸に作り上げるんですよ。言葉だけがあるとか曲だけがあるというのは僕たちにはないんですよ。僕たちが演奏して、僕たちの曲になると思っていて、どこかの部分だけが独立して存在しているということはないんですよ。

──どんなペースで曲があがってくるのですか?

トモシロウ:めちゃくちゃ遅いです!(一同笑い)

──なんでだろう?(笑)

トモシロウ:詞と曲がセットで出来て、それだけでも大変だったりするんだけど、それをバンドで演奏してみて。しっくりこないとHIGHWAY 61の曲としてならないからなんですよ~!

──じゃぁ、詞と曲が作り手に降りてきて、それを演奏する他のメンバーにも同じようなものが降りてこないとダメなんだ。

トモシロウ:そうですね。そうじゃないといい演奏もいいライブもいい音源にもならない! と思っているんですよ。

──6月にシングルがリリースされましたね。

トモシロウ:全くの新曲と言うよりは、僕たちの事を知ってもらいたくて、この3曲で決めて。

鞭:ライブで必ずやっている曲だから。僕らが持っているビート感がこの3曲に関しては熟成されきっちゃっていたので。後はリリースを待つのみでしょう! ということで出しました。

──レコーディングはどんな感じで?

鞭:一発録りに近い形で。ボーカルも一緒に歌っちゃって。2曲目3曲目は。

──2曲目がいいなぁって思ったんですよね。でも学校って、随分昔の話ですよね(笑)。

トモシロウ:彼はねぇ、、、ながーーく学校に通っていたからねぇ、、、。でも、学校は学校という意味だけじゃなくて、一つの象徴で。集団とかある場所から去っていく瞬間があって。自分の意志に反してまでも去らなければならない事もあって。こんな短くて簡単な言葉なんだけど、人が生きていくときの、喜びと孤独だと思うんですよ。彼はどういう想いで作ったのかなぁ(笑)。

──それと、銀色バス。

 トモシロウ:引きこもりの時期に、グレイハウンドでアメリカ中を旅をしたことがあって。鞭君も時期が違うんだけど、同じような旅に出ていて。そのバスは貧乏人の交通 手段なんだけど、ここじゃないどこかへ、という意志に溢れているんですよ。栄光を掴んでやるとかね。そういうエネルギーに溢れていたなぁと思って。

──そうか、HIGHWAY 61が銀色バスを歌うと、日本の情景が浮かんできて。お月様は日本のお月様な感覚。

トモシロウ:そうそうそう! そういう事なんですよ。

──日本でしかないパンクロックがここにあるなぁって素直に思います。

トモシロウ:自分たちでしか出来ない音しか、出来ないし。レコーディングもやりたいようにやらせてもらったんですよ。

──ライブの臨場感が上手くパッケージ化されていますね。

トモシロウ:いやいや、まだまだ先がありますよ! 薬師神 これはこれでいいんですけど、これで終わりじゃないという意識で。

──ライブがね。HIGHWAY 61はライブの存在感というか説得力がずば抜けているなぁって思います。素直にお客さんがHIGHWAY 61に持って行かれている様を何度か目にしているですよ。ライブをかなりの本数こなしていますよね。 薬師神 やってますねぇ~!

トモシロウ:ライブが好きなんですよ。ライブがそのものが存在そのものな感じだと思っていて、全体の中での一部というよりは、ライブがど真ん中にドーン! ってあって。後のことはそれ以外っていう感じですよ。

──それはライブにHIGHWAY 61の全てが現れているんだという事なんでしょうね。

トモシロウ:そうです!

──その、、、現在もレコ発ツアー最中ですが、なんと、、、ベースの渡辺君がライブの最中に骨折してしまったと聞いて、心配なのですが。

 鞭:彼はねぇ、、ステージ上で走り幅跳びをしたんですよ。

──は、、、、?!

鞭:ベースの位置からボーカルの位置を超えて、僕の所まで飛んで来たんですけど、、、。着地に失敗したらしく、、、。ずっと僕の傍らでうずくまっていて、、、。

トモシロウ:ふざけるのもいい加減にしろ! って思いました。

──彼の頭に何かが降りて来てしまったんでしょうね、、、。

トモシロウ:でしょうね、、、。

鞭:ライブの前に渡辺君に勝(ドラム)君が「今日は殺人ドラムになると思うよ」って言ったら渡辺君は「それは俺が決めることだ!」って言ってたんですよ。
薬師神 あれは恐かったぁ、、。でも今思うと、答えは渡辺君の骨折だったんですよね、、、。

トモシロウ:俺は俺で、彼の以上なテンションに「怪我するぞ!」って言ったんですけどねぇ、、、。そんな事がありました。

──渡辺君には自分を見つめ直す時間が大量に急遽出来てしまったようですね。お大事にして下さい。

トモシロウ:栄養が足りてないっていうのもありますね。

鞭:なべちゃんはビールとカップラーメンで生きているようなもんで、、、、。

──9月18日の新宿ロフト、ツアーファイナルには是非復帰して欲しいですね。

トモシロウ:そう、それが一番ですね。

──ちなみに、トモシロウ宣言・革命と企画名にありますが。これは?

トモシロウ:僕の事をトモシロウと呼んで欲しいんですよ。それだけなんです(笑)。

──9/18以降は?

トモシロウ:レコーディングに入ります!

──おぉっ! アルバムですね! どんな構想で?

トモシロウ:うーん、出来ることをやるだけです。

──アルバムだから以外と色々な事が出来るんじゃないですか?

鞭:いやいや、余計な事は一切やらん! という感じですよ。そう、今回のシングルで違ったことを一つだけやっているんですよ。さよなら学校には実はバンジョーが入っているんですよ。

──そうなんですか! それは聞き逃していました~!

鞭:僕はかなり頑張ってバンジョーを練習したんですよ。でも誰もそこに触れてくれなかった(笑)。

──そうかそうか、、、。それはちょっと悲しいかもね(笑)。めげずにアルバムでもバンジョーを登場させて下さい、、ね!

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