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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】UNITED(2002年7月号)- ロックの基本って楽しむことだと思う

ロックの基本って楽しむことだと思う

2002.07.01

「BEAST FEAST」開催などで盛り上がりをみせるラウドミュージックシーンの中、独特の存在感でリスペクトを集めるUNITED。彼らのニューアルバム「CORE」が完成した。彼らにとっての「CORE」とは!?
(interview : 北村ヂン)

──今度のアルバムですけど、レコーディングの方はもう終わったんですか。
 
横山:マスタリングっていう一番最後の作業がまだ残ってるんですけど。録り自体はなんとか終わって、音は完成しましたね。 
 
──結構難航してたらしいですけど、レコーディング期間はどれくらいかかったんですか。 
 
横山:期間ですか(笑)。バックはわりと早かったんですよ、ほとんど一発録りだったんで。3月から2週間くらいかけて録ったんですけど、4月に入った時にはもう終わってたから。でもそれからボーカルを録るまでが時間かかりましたね。ここだけの話、ボーカルの人が失踪してたりして…。 
 
湯浅:(苦笑) 
 
──失踪って…どういうことなんですか。 
 
横山:4月1日からボーカル録音始めるからって事になってたんだけど、その2、3日前から行方がわかんなくなっちゃって。皆で「誘拐されたんじゃないか」とか「事件に巻き込まれたんじゃないか」とか話し合ってて「これはもう警察に連絡した方がいい」とか思ってたら 「すいませんまだ曲が出来てません」って帰ってきて(笑)。
 
──あ、じゃあ意図的に行方をくらませてたと。
 
湯浅:いや~、なんか…行っちゃおうかな、みたいな感じで…。 
 
横山:自分探す旅に出たと。…でも見つかんなかったでしょ。
 
湯浅:それはないですけどね。 
 
横山:まあそんな感じで一ヶ月くらい遅れてたんですけど、先週やっと録り終わって、とりあえず手が離れたって感じですね。それまでは本当に眠れない日々を送りましたよ。
 
──制作過程は色々大変だったんですね。 
 
横山:前のアルバムでもボーカル脱退とかあって録り直したりと、色々あったんですけど、こんな事は初めてでしたからね。まあ信頼関係があったから、待てたっていうのはありますけど。
 
──そんな紆余曲折を経ての完成度はどんな感じなんでしょうか。
 
横山:今までには無かった感じですよね。バックはあいかわらずザクザクしてて、まあウチのバンドとしての基本的な部分は踏襲してるんだけど、彼(湯浅)が可能性を伸ばしたというか。色んな声質で歌ってみたり、メロディーを歌ってみたりと、今までなかったようなことを色々やったんで。新しい面 を見せることができるんじゃないかと思ってます。あとは変な要素とかも入ってて、SEが曲になってたりして。
 
──実験的な部分もありつつ。
 
横山:そうですね。
 
湯浅:あとは、アルバム全体につながりというか。流れがありますね。
 
横山:今まではわりとアルバムっていうと一枚のCDの中にカタログ的に曲が入ってる感じだったんだけど、別 にコンセプトアルバムってわけじゃないんですけど、一曲目から最後の曲まで流れがあって、最後まで完結してるみたいな感じで。 
 
──曲順も含めて一枚通しての作品という事ですか。 
 
横山:一曲一曲を抽出して聴くんじゃなくて、アルバムを通して聴くと曲の立体感が出てくるような作りになってると思います。
 
──タイトルの「CORE」って、音楽のジャンルとしての「コア」とか単語の意味で「核」とか色々な意味にとれますけど。 
 
横山:どちらかというと「核」って意味合いの方が大きいですかね。こういう音楽やってて「CORE」ってつけるとどうしてもハードコアとかを連想されると思うんですけど、そういうことじゃなくって。「本質」とか、「核になる」とかそういう意味ですよね。ある種、このアルバムでは実験的な事をやってても、バンドとしての根本的な所は変わってないし。最近、遺伝子操作とかクローンとかもあるんで、その辺の意味合いも含めつつ。まああとは、最近なんでも「…コア」とかいうじゃないですか、そういうのをちょっと皮肉った所もありますかね。
 
──なんかUNITEDの曲って聴いてると、その「核」っていうか、心の奥底にあるなにかがが揺さぶられる感じがするんですよ。 
 
横山:どうなんですかね~? まあウチっておっさんが曲作ってるんで、そういう引き出しの多さが違うと思うんですよ。70年代、80年代のロックとかが意識してない部分で根底に流れているんで。そういう事でそんな感じを醸し出してるのかもしれないですね。今の若いバンドって、イキオイはあるんだけど、そういう時代を経てないですから。まあでも、若さには勝てない部分もありますけどね、正直(笑)。
 
──そういう意味ではUNITEDの曲っていわゆるこの手のジャンルのセオリーから外れた変な感じの展開だったりしますよね。 
 
横山:メンバーが聴いてる音楽も結構広いですからね。彼(湯浅)なんかも、こんなデスな声を出してたりしてるんだけど、実はハウス系のものとかも好きだったりするんで。今回は特にその辺を開花させようかなと思って。
 
──そういう各人のバックグラウンドがバンド自体にもフィードバックしてくると。
 
横山:それを受け入れられる器っていうのもあるとは思いますね。「うわーハウス、なんじゃこりゃ」とは皆言わないですからね。格好よければ何でもありなんで、使える物は使おうってことですよね。
 
──そういう色んな要素を取り込みながらも確実にUNITEDとしての芯が通っていますよね。
 
横山:そこが「CORE」なんですよね。どんなに振り幅が大きくても「CORE」があると。でも前回はわりとストレートにUNITEDですって音をやったんだけど、今回はちょっと振り幅が大きすぎちゃってわかんない人もいるかもしれないけどね。
 
──いい意味でも悪い意味でも期待通りではないアルバムだと。
 
横山:多分そうですね。今回、ある意味凄い過激だと思いますよ、音的には。速いから過激とかそういうんじゃなくって、もっと内面 的な物とか音の暴れ方とかみたいなのが過激ですね。今まで作ってきた物ってわりとカチッカチッって洗練され過ぎてたと思うんですよ。そういうやり方はもうある程度やったんで、今回は一発録りで録ってもっとラフな感じにして、バンドの本質的なありかたみたいな部分からアルバムを制作してみたいなと思ったんで。スタジオに入って皆で「ボン!」と音出した時の感覚っていうのを大切にしましたね。 
 
──曲ってどいう感じで作ってるんですか。
 
湯浅:結構適当ですけどね。
 
横山:基本的にはギターがリフ作ってきて、色々合わせてみながら最終的にシェイプしてくんだけど、今回はその途中の段階で意図的に止めてるんですよ。それをギリギリまで削ったのが前回で、今回はその一歩手前で止めていると。今までは短い時間の曲の中でどれだけまとまりがある曲をできるか、っていう事に挑戦してたんだけど、今回はそんな事どうでもいいじゃないかって。余分な物が入っていてもいいんだよっていう、ある種その時の衝動が出るような形の曲作りですね。 
 
──研ぎ澄まし過ぎず、濁った部分を残しているって感じですか。 
 
横山:濁ってはいますね。そういう意味ではちょっとわかりづらいかもしれないですけど。 ボーカルなんかはいい意味でポップだったりするから。 
 
──その辺もバックグラウンドの広さっていうのが出てますよね。普通、この手の音楽をやる場合、メロディーとか乗せないですもんね。 
 
横山:あえて避けますよね。若いバンドとかだとメロディーじゃなくって唱法でエモーショナルにするっていう方法を選びがちと思うんですよ。メロディーつけてっていうのは考え方的には古いのかもしれないけど、新しい物が全ていいって訳じゃないからね。…まあ聴く人がついてくるかどうかは別 として。
 
──でもやっぱその辺は、人がどうこうじゃなくって自分の美学の問題ですよね。 
 
横山:今の時代、お客さんがこうだからとかわかんないですよね。媚びてもしょうがないし。とにかく自分がいいと思う物を提供して行く方が重要ですよね。 
 
──媚びてる物って、どうしてもわかっちゃいますからね。
 
横山:一時期はそういうのも気にしてた事もあったけど、今はもう全然気にしてないですね。もう自然体で。力全然抜けてますよ、脱力系ですから。あんまり気負ってやるよりは、自然な形でやる方がいいですからね。あんまり息切れしないようにね。 
 
湯浅:まあ自分が楽しくないとね。どんなに難しいこととか凄いことやってても楽しんでやらなきゃ伝わらないだろうし。 
 
横山:あんまり目くじらたててやってもねぇ。去年「BEAST FEAST」とかに出て思ったのが、日本のバンドってどうしても海外のバンドにコンプレックスがあって「海外のバンドには負けられない」みたいな感じになってるんだけど、そういうのは不自然だからね。
 
──まあでも、ああいうイベントってお互いに影響を与えあうって意味ではよかったんじゃないですか。
 
横山:うん、単純に楽しかったよ。別に勝ってるとも負けてるとも思わなかったけど。 
 
──自分らは自分らだと。
 
横山:もう単純にあれに出てたバンドとかファンですからね。SLAYERとか「かっけー!」とかいい歳して思ってたし。とにかく楽しかった。ロックの基本って楽しむことだと思うからね。楽しんでライブやって、楽しんでいい音源作って、…まあそれで金が儲かればもっと楽しいんだけどね。その辺はなかなか(笑) 
 
湯浅:そうっすね~(笑)。
 
──7月にはSURVIVEと一緒にツアーに出るんですよね。
 
横山:そうですね、東名阪で。SURVIVEと、あとは地元の若手のバンドと一緒にやります。 
 
──SURVIVEとはアルバムも同時発売ってことですけど。
 
横山:なぜか同時発売。
 
湯浅:偶然にも(笑)。 
 
横山:まあそのライブでは、ウチとSURVIVEのアルバムから一曲づつ入ったタダのCDを配るんで、是非来て欲しいですね。タダって言うと皆来るからね。タダより高い物はないって知らないね。 
 
──アルバム二枚とも買えってことですからね。 
 
横山:まあ良い機会だから、ライブと共に音源にも触れて欲しいなと。それでよかったら二枚とも買って欲しいですね。金ないやつは、万引きしてでも! 
湯浅:それはダメですよ~。
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