Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】GOOF'S HOLIDAY(2002年7月号)- やっと音楽らしい表現が出来るようになった

やっと音楽らしい表現が出来るようになった

2002.07.01

4枚目のアルバム"monochrome"をリリースしたGOOFY'S HOLIDAY。 "monochrome"を一聴して感じたのは、GOOFY'S HOLIDAYだとちきんと判別出来るのだが、今までとは根本的に何か違う。音のざわつき、焦燥感がすっきり影を潜め、"monochrome"の世界の中で光によって彩 色されたかのような11曲。凝縮された中に広がる無限の広がり、そんな作品を作り上げてしまったGOOFY'S HOLIDAY! ええ、ええ、彼らには驚かされっぱなしだと認めますわよ!(笑)。
interview CHIE ARAKI

自分たちの気持ちを凝縮することができた

 
──前作俗称"赤盤"。で今回が"monochrome"。いきなり色が無くなっちゃったと。 
 
遠藤:枯れてきちゃったかと(笑)。 
 
──(苦笑)前作は1曲1曲が音もきらびやかだったり、色が見えるラインナップだったように思うのですが。それから一変して"monochrome"。何が起こったのか?! 
 
遠藤:別に意識はしてないんですよ(笑)。楽曲が揃ってみて、"monochrome"かなって思ったんですよ。<monochrome>の白と黒というのは両極端じゃない。でも実は同じものなんじゃないかって思ったのよ。最先端音楽と最末端音楽は同じだと。ファッションでも音楽でもなんでも常に新しいものを追い続ける傾向にある、新しいものは何だ、何だ、何だ、何だ? って追いかけていくと、結局は今だったり、今まさに廃れたものに戻る。
 
──いってみたら、今GOOFY'S HOLIDAYとして音にした"monochrome"が一番新しいと。
 
遠藤:うーん…だから、何が新しくて何が古いのかっていう考え方自体が、どうなんだ?! って思うのよ。そういう概念に囚われている事って<古い>んじゃないかって。
 
──その感覚で、今回の11曲がならんでいる。 
 
遠藤:結局、自分の中で感じて判断して選んでいったものだけしか、自分の中でのリアリティーがないじゃない。そういう感じかな。
 
──その自分の中のリアリティーですが、今作はより内面を自らさらけ出して、自らにえぐり出されているように思いました。より自分と対峙した結果 が連なっているように感じたのですが。
 
遠藤:それは相変わらずなんだよね。自分の中のものしか出てこないでしょ。歌詞に関しては、出てきたものだけですよ。それはある意味当然かもしれないですね。向いているベクトルが拡散しているというよりは、自分に向いているとは思うんですよ。だから、プレイ一つとか歌一つとっても表現でしょ。表現するという瞬間の情熱を切り取ってアルバムになっていて。歌詞もそうなんだけど、楽曲にしてみても、自分の心の在り方だったり居場所を探しているんでしょうね。自分が何者で、どこから来てどこへ向かうのかとか。表現が精神的な旅に取って替わっているみたいな。その積み重ねですよ。 
 
──判りやすい所を一つ、M-5の"I'M A MAN"など顕著に現れていますね。 
 
遠藤:菅原文太みたい?! まあねぇ、意図したものじゃないんだけど、表現の有り様は、川の流れの様なもので、発生した最初の頃は細くて、激流だったりごつごつした所を流れていても、だんだん中流になって大きくなって、最後の河口までくると大きく緩やかになっていくようにね。時間だったり経験を積んでいくうちに、自分が緩やかになって大きくなる分、自分が見える部分、出会う部分がより広くなったりしてね。今回はそういう感じなんだよ。 
 
──今回、念頭に置いた事はありますか?
 
遠藤:さっきも言ったけど、表現が瞬間の情熱を切り取る作業だとしたら、アルバムを創るということ自体、嘘になっちゃうじゃないですか。予め用意された歌詞を容易された楽曲で用意されたようにプレイする事は、表現としては嘘なんですよ。だから、今回はその瞬間に一番気持ちが良くていいと思えたプレイを全て入れようと思っていたんですよ。そレが正解だから。いいんだ! って思える選択肢を自分で選んで行って、その行為を楽しむということなんじゃないかな。そういう風になりたいんですよ。
 
──"monochrome"というタイトルで括られていますが、カテゴライズされにくい楽曲が並びましたね。単純に格好いい曲というジャンルで、既存のジャンル分け出来ない。あえて言うならレベルミュージックかな。
 
遠藤:自分の中で、自分とか世の中に対するカウンターカルチャーの要素はあったりなかったり…。
 
──様式がどうのという意味ではなくて、音や歌から滲み出てくるような<強さ>だったり<意志>がといろんな音が無理なく自然に混ざり合っている。前作では「音楽だからなんでも挑戦したい」と話していましたが。
 
遠藤:それは今回も同じですよ。ただ、前作のミニアルバムの場合は拡散の方向だったんですが、今回は凝縮ですね。だから前作の前は少し悩んでいた時期だったので、全ての手の内を出して見て、振り幅を提示してみたんですよ。その上で今回は自分たちの気持ちを凝縮することができたんですよ。客観的に見ると。 
 
──ということは、今作は大きい所ではあまり悩まず。
 
遠藤:屋台骨的な部分ではね。気持ちが決まってきたからね。
 
──intoroとoutroがありますが。ちなみにoutroは10曲目で最後の曲じゃないですね。
 
遠藤:このアルバムに関して、1曲目から11曲目までが一つの流れにしたかったのよ。そこで11曲目に収束させたたかったんですよ。
 
──outroのM-10が映画で言うエンドロール的な役割をしてますね。 
 
遠藤:自分的にはコンセプトアルバムが好きで、そういうのがやりたかったんですよ。オープニングからすーっと物語の中に入っていて、その流れにいさせられちゃう。
 
──そしてM-11、ラストの曲はかなり気持ちよく歌い上げていますね。 
 
遠藤:そうね(笑)。実はこのアルバムの中心なんだよ。孫悟空は結局お釈迦様の手の上で遊んでいた、みたいな感じ。世界が蠢いているけど、実は始まりであって終わりであったという意味ですね。
 
──アルバムを創るということにこだわった作品に思えますが。
 
遠藤:1曲単位でもそうなのかもしれないんだけど、アルバム1枚を創ることは1枚の絵を描くのと一緒のように思うんですよ。その中に自分の美学だったりが出てきて。で、今回は白黒の絵にしたかったんだよね。この曲がここにある理由を明確にさせたいなと思っていたんですよ。 
 
──どの曲も全体的に一本芯が通っている曲ですね。M-4にしてもスローな曲なのに、聴きおわるとごつごつした印象が残るように。 
 
遠藤:今回のテーマの一つに骨っぽい曲というのがあって。そこにはこだわったかもしれないですね。他にもいい曲があがっていたはいたんだけど、ちょっと全体のロックという大きい振り幅での骨っぽさテーマから外れていたので、あえて今回アルバムには入れなかったりして。 
 
──骨太ね。
 
遠藤:11曲目が一番最初にあって、この曲から派生したアルバムだったから。どうやって活かそうかと考えたら、骨太だったり骨っぽさだったんだよね。
 
──なるほど。今作も色々なミュージシャンが参加していますよね。特にM-6が印象的でしたが。
 
遠藤:おじさんくさい曲だよね、我ながらそう思います(笑)。
 
──力作だと思いますが。 
 
遠藤:そんなにこの曲で勝負! っていうのはないんだけど。難しいなぁ(笑)。その曲でも自分たちが出来るベストの事を出すのは当然のことだから、毎回が力作だし勝負作なんだけど、今回のアルバムが出て、全てを出し切った感はあるけど、それで終わりじゃないし。まだまだ先があるだろうから。自分ら的にはやっと音楽っぽくなってきたって思うね。 
 
──といいますと? 
 
遠藤:まだまだ表現出来るという感じだね。
 
──個人的にGOOFYに音楽的な変化の部分で毎回驚かされて来てますが、今回の"3111"から"monochrome"の繋がりは、うーん、、、すごいなぁ、、、、。 
 
遠藤:この人たちどこ行っちゃうの?! って(笑)。 
 
──いやいや、いい意味でですよ。その、さっき言っていた表現出来るんだなという感覚で。音楽が表現だと話していますが、今回の11曲全て違う表情をしていますよね。それがなんとも言えない。 
 
遠藤:幸いにして、まだ創作の泉は枯れていない。もう新曲創っているよ。ぼちぼちやってますよ。
 
──そういう事って、やっぱりGOOFY'S HOLIDAYとしての経験値が上がったからなせる事だと思うんですよ。
 
遠藤:何かな?! バンドとしての贅肉は落ちたのかな。格好いいなと思うものは沢山あって、やっぱり昔は何でもかんでもやってみようとしていて。だけど、それが段々削られてきたんですよ。やっぱり自分にとって、本当に血や肉になったもの以外は、ちゃんと表現出来ないということが判って。
 
──バンドとしてのリアリティーだったり立ち位置が見えたということでしょうね。
 
遠藤:自分が音楽を通じて何をしたいかでしょうね。表現という意味ではGOOFYだけに固執するわけでもなく、別 の方法だってあるわけじゃないですか。それがどういうふうにGOOFYとか、もっと大きい所で自分のライフスタイルにリンクしていくのか。そういう事をもっと見極めて行きたいんですよね。
 
──あぁ、GOOFYの音楽性がガラッと変わっても、まず最初に感じるのが不安じゃなくて、興味深いおどろきなのは、遠藤さんだったりGOOFY自体が、こんなふうに冷静に成長した結果 だからなんでしょうね。
 
遠藤:そうかな…まぁ、考える時間はすごく増えたと思うよ。自分のことだったりね。考えて考えて、考える必要はないんだって判ったこともあるし。今まで全然考えもしなかったことに対して、考えるようになったしね。そのトータルで、俺はまだまだだなって思うのよ。もっと楽しく気持ちよくなれるなってね。
 
──その、まだまだ感がさっきの<創作の泉>だったりして。
 
遠藤:あぁ、そうかもね。俺は一生まだまだだな、って思ったり。もっと自分の知らない楽しいことがあるはずだって思ったりね。それを自分のものにするのが日々なんだろうね。
 
──これから全国ツアーですが。 
 
遠藤:やっとだよねぇ。去年1年あんまりライブをやっていなかったからねぇ。だからライブのお誘いも少なくなっちゃったんだよね。ということで、僕の友達はGOOFY'S HOLIDAYとライブに誘ってください!!(笑)。ライブがやりたくて仕方ないよ。ライブは俺にとっての大トロだから! これから大トロ喰いまくるよ~!! 
 
──ホントだ、また細かく全国回りますねぇ(笑)。
 
遠藤:だから、俺の大トロなんだってば! 色々心配されるんだけどね、動員とかの事情で本数を減らすのも違うと思うのよ。まぁ、そういうふうな考えを否定するわけじゃなくて、俺らはライブをそういう風に考えていなかったんだからさ。自分たちなりのツアーの組み立てをした方が、正解だと思うんだよね。 
 
──SHELTERはツアーのど真ん中だ。そして2度目のワンマンですね。楽しみです。 
 
遠藤:そうね、ワンマンだもんね、暑そうだなぁ。あのさ、何回も言うけどSHELTERのトイレに手を拭く紙を設置してよ! 絶対SHELTER動員増えるって。 
 
──検討しているんですけどねぇ…。そうだ! 遠藤さんがSHELTERにプレゼントしてくださいよ。
 
遠藤:うーん…ツアー中のタバコ代を節約出来たら、検討します(笑)。
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻