Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】LOFT RECORDS 5周年記念座談会(2002年6月号)- LOFT RECORDSはもうどこにも負けないレーベルだと思いますよ。

LOFT RECORDSはもうどこにも負けないレーベルだと思いますよ。

2002.06.01

愛され続けてはや5年...。今年めでたく5周年を迎えたLOFT RECORDSスタッフたちが都内某所(東方見聞録)にて秘密会議を行っているとの情報をゲット! 我らがROOF TOP特派員が潜入し、LOFT RECORDSの歴史、そしてこれからの話を直撃取材した! (interview:北村ヂン)

──LOFT RECORDSとしては太田さんが一番古い訳ですけど、LOFT RECORDSの最初からいたんですっけ。 
 
太田:最初からだよ「LIVE AT LOFT&SHELTER」を出す出さないって言ってた頃だから。 
 
──もともとLOFT RECORDSに入るということでLOFTに入ったんですか。
 
太田:そうそう。昔働いてた会社がつぶれて、まあそこは大澤も一緒に働いてたんだけど。そこの社長とシゲさん(LOFT PROJECT代表)が仲良くて、その会社がつぶれちゃったんでじゃあって感じで。でも俺ちゃんと面 接したんですよ。履歴書もちゃんと書いてスーツ姿で写真も撮ったのに、シゲさんは開けもしないで(笑)。いきなりこれからミーティングあるから顔出してよって。そんな始まりです。
 
──浦野くんはいつ頃入ったんですか。
 
浦野:FROTRIP発売前、KING ROCKER発売後って感じですね。最初の仕事がKING ROCKERの実売だったんですよ。 
 
──なんで入ろうと思ったんですか。
 
浦野:求人誌で募集があったんですよ。それで一応ちゃんと面接もしたんですけど。2次面接まであって、色んなそういう難関をくぐり抜けて採用されたという。 
 
──選ばれた人間ってことですね。応募ってたくさんあったんですか。
 
太田:あったあった。すごいあって、まああきらかにダメってヤツは書類で落としたんだけど、それでも20人くらいは面接して、最終的に2人に絞ったんだけど。
 
浦野:そん時太田さんはもう一人の人がいいと思ってたんですよね(笑)。 
 
太田:でも「あいつもいいんだけど、お前すぐにケンカするよ」って言われて。
 
ISHIKAWA:サンキュー(浦野)ともケンカしてんじゃん(笑)。
 
──大澤さんは以前に太田さんと一緒の会社で働いていて、その後太田さんから誘われたってことですけど、何の会社だったんですか。
 
太田:インチキレコード屋さん。 
 
ISHIKAWA:今一緒に働いててもどれだけインチキだったかわかるもん。 
 
──そこが潰れてからLOFT RECORDSに入るまでは何をしてたんですか。
 
大澤:普通にサラリーマンとして働いてましたよ。
 
ISHIKAWA:そうなんだ、なにやってたの? 
 
大澤:電球とか売ってましたね。 
 
一同:爆笑
 
ISHIKAWA:普通じゃねぇじゃん! 
 
大澤:営業として、色んなところに卸したりしてましたね。 
 
ISHIKAWA:ああ、訪問販売で売り歩くんじゃなくて。
 
鈴木:夜中に家にいきなり来て。 
 
大澤:もうこれはじっこが黒くなってるからダメですよって(笑)。
 
ISHIKAWA:それだったら格好いいんだけどな~。
 
浦野:で、そこも潰れたと。
 
ISHIKAWA:次はTIGER HOLEじゃないかって言われてるんですけど。
 
──鈴木さんは。 
 
鈴木:僕はバンドをやってたんで、結構昔からLOFTとは関わりがあって。TIGER HOLEがはじめ下北でやろうとしてた時にISHIKAWAさんと一緒にいっぱいレコードを運んだりとか。前の西新宿LOFTの時の「LOFT BOOTLEG 1999」っていう映画でもお化けの役で出てるんですよ。
 
ISHIKAWA:ヒカゲさんの大先輩っていう役だからね。何歳だよっていう。
 
鈴木:あとは「FUNK CRIB」とかにも参加してたし。それから自分的にすごいディープな状態になって、ひきこもってる時期があったんですけど。家でひきこもってテレビとか観てたらISHIKAWAさんから電話があって「一緒にLINKとか制作してみないか」って言われて。まあ、LINKは昔からよく知ってて格好いいバンドだし、ISHIKAWAさんももう10年来の知り合いなんで。最初はLINKの担当って感じで入りましたね。僕は面 接なかったですけど。
 
ISHIKAWA:もう知ってたからね。
 
──ISHIKAWAさんはショップとしてのTIGER HOLEもやりつつ、TIGER HOLEレーベルのプロデューサーとしてLOFT ROCERDSに関わるようになったわけですけども。
 
ISHIKAWA:まあ、単純に店をやってるだけじゃつまんなくなってきちゃって。それにTIGER HOLEが西新宿に移転してきた時、周りのレコード屋、NAT、ALL MAN、VINYLとかが全部レーベルもってたからくやしいじゃん。それでどうなるかわかんないけど、とりあえず採算とれる程度にやってみようって。でも、俺は流通とかなにやらは全然知らないから、そっから太田くんと一緒にスタートしてるんだよね。
 
──それで、太田さん的にもISHIKAWAさんと一緒にやっていこうという感じで。
 
太田:LOFT RECORDSも最初は結構苦難の時代があって、逃げるようにしてTIGER HOLEに遊びに行ったらISHIKAWAさんが「TIGER HOLE RANGE」の話をしてて、それがすげえ楽しそうでね、いいな~って。この人と一緒に仕事したら楽しいだろうなっていうところから始まってて。まあ、ISHIKAWAさんがやりたいっていうことがあって、それを形にするのが俺らの役目だと思うんだけど。俺はISHIKAWAさんは凄いアーティストだと思ってるからね。
 
ISHIKAWA:何をするにしても楽しいのが一番だからね。後になってヤバイっていうのでも、売り上げに対してヤバイなっていうのは後悔にはならないと思うのね。やるべき事をやってたなら、次頑張ろうでイイと思うし。足らなかった部分があったとしたら、次の作品で補えばいいわけで。逆に作品として、音的な部分でヤバイっていうのを作っちゃうと楽しくないから。 
 
──ISHIKAWAさんが関わるようになった一発目が「PUNK UP THE VOLUME」ですよね。
 
ISHIKAWA:その前に7インチSPLITは出してたけどね。最初はデモテープを募集したり、TIGER HOLEで売るために持ってきたデモテープから選んだり、まずは第一弾のコンピを出すぞって動いてて、でもそれだけだと不安だったんでDUCK MISSILEとかPENPALSとかにも手伝ってもらって、まあなんとかうまくやれたんだけど。その時はノウハウが全然わかんなかったけど、とにかく出しゃあいいと思ってたからね。
 
──でもあのコンピでレーベルとしての方向性が見えてきたっていうのはあるんじゃないですか。 
 
ISHIKAWA:そうだね、やっぱりLINKの存在はでかかったと思うよ。俺自身の中でも変わったから。判断の基準が歌重視になったんだよね。声がいい、コーラスがいいバンドっていう。最初、LINKなんかライブ一回も観てないのにリリース決定しちゃったからね。本当直感だけだよね。Oとかもそうだし。いい加減だよね~。素人なもんで……。でもそうやってやっていく内にビジネスっていうことを頭に入れながらやるっていうのが段々わかってきた部分もあるよね。最初は格好いいからどうにかしようでやってきたのが、それじゃままならないところも出てきて。世も不景気だし。それに対するアンチテーゼと、逆に長いものには巻かれなきゃならないみたいなバランスをうまく取っていくという。
 
──皆さんそれぞれの音源に対して色々思い入れはあると思いますけど、LOFT RECORDSでの思い出の一枚みたいなのってありますか。
 
太田:俺はターニングポイントになったのはMAD3「WE ARE MAD CREW」。一番覚えてるのはTHE HONG KONG KNIFE「HEART BREAK JET SALOON」。やってよかったなと思ってるのはRETROGRETION「CARDINAL POINTS」。楽しかったのはKING ROCKERかな。 浦野 僕の場合はやっぱり、入って最初に営業の段階から関わったのがO(オー)だったんで。まあ惜しくも解散しちゃったんですけど、やっぱりそれが一番印象深いですね。それから今までズルズル飲み歩いてるんですけど(笑)。
 
ISHIKAWA:Oは俺がデモテープ聴いて、これは売れないと思うけど格好いいよって太田君に聴かせたらすごい反応してたもんね。 
 
太田:あの当時スカとかメロコアばっかりだったんで、すごい印象に残ってて。で、リリースが決定したんだけど。そしたらあんなギタリスト(赤松)がいるとは……。
 
ISHIKAWA:あんなにバカだと思わなかった。 
 
浦野:狂気の…。 
 
ISHIKAWA:バンドはオッケーだったけど、メンバーに難があったね~(笑)。
 
──自分でもA-GO-HI-GETレーベルをやっている大澤さんは。
 
ISHIKAWA:大澤はオナニーマシーンでしょ。 
 
大澤:オナニーマシーンは…いいですよ。A-GO-HI-GETの場合、他のバンドは皆地方なんで遠距離恋愛なんですよ。オナニーマシーンはその点すぐに会えますからね。…でもオナニーなんですけど。
 
──A-GO-HI-GETレーベルってどういうきっかけで始ることになったんですか。
 
ISHIKAWA:それは大澤が面白いキャラクターだったから…。だってあご髭じゃん(笑)。でも「あご髭」って名前じゃなんか料理屋みたいだから、A-GO-HI-GETにしたんだけど。何で始めたかというと、デモテープとか送ってくれる新人バンドの子たちの中で、俺ら的には片手間になっちゃうけどそれを音源にするのを手伝ってあげたいっていうのからスタートしてるんだよね。
 
──鈴木さんはどうですか。
 
ISHIKAWA:鈴木はLINKしかないでしょ。 
 
鈴木:俺は「FUNK CRIB」ですよ!(笑)…イヤイヤLINKですね。特に最近出た「ROVORUTION ROCK」にはすごい思い入れがありますよね。実際作ってるのはメンバー3人なんだけど。僕も前バンドやってたんで、その時イヤだなっていうことを全部しないようにすればバンドってうまくいくんじゃないのかなっていう方法論みたいなのを考えて。それを心がけたら、今こういう結果 になってて嬉しくって。人間的に自信がなかった時期にLOFT RECOREDSに入って、皆に助けてもらいつつやってきたんですけど、今はすごい自信が持てましたね。まあまだまだ答えは見つからないですけど。
 
──プロデューサーとして関わっているISHIKAWAさんは?
 
ISHIKAWA:単独ではLINK。趣味とビジネスが統合して自信をつけさせてくれたのは「TIGER HOLE RANGE」。この二つだね。TIGER HOLEとして一番最初に出したのがthee michelle gun elephantとJIG HEADの3000枚限定の7インチSPLITなんだけど。ミッシェルは当時からメチャクチャ売れてたから8000枚とかオーダーが来ちゃって、どうやってあやまろうかなって。そういう所から始まって。それからコンスタントにその500円の7インチの限定スプリットシリーズを出していったんだけど、じゃあこれを一枚にまとめてCDにしちゃおうかって話になって。でもその時に、メジャーのバンドも何バンドも参加してたし、1バンドでも欠けたらやめようと思ってたのね。「このバンドはいないけど」っていうのはありえなくて、それじゃ意味がないから。そしたら皆オッケーくれたからさ、すっげー嬉しかった。あと、ゼロから始めたバンドっていう部分ではLINKがやっぱりでかくて。もともとはリリースして下さいっていうことでデモテープを持ってきた訳じゃなくて、TIGER HOLEで委託販売するためのテープを聴いてみたらって感じなんで。出会いに感謝って感じだよね。他のバンドももちろんいいバンドなんだけど、俺にとってはそれが原点だからね。
 
──今の話を聞いてても、レーベルからもバンドに対して愛があるし、バンドの側からもレーベルに対しての愛があるなって感じがしますよね。
 
鈴木:それはすごく感じてますね。バンドの子たちがこっち(レーベル)側にベクトルをすごい向けて考えてくれてたり、活動してくれてたりしてるんで。レーベルはレーベルで面倒くさい事務的なことをやって、バンドは楽しいことをやってみたいな感覚の人が一人もいなくって、嬉しいですよね。そういう意味ではLOFT RECORDSはもうどこにも負けないレーベルだと思いますよ。
 
ISHIKAWA:プロダクションじゃない訳だから、基本的には作品の中で付き合っていくっていう関係なんだけど。別 に仕事とか関係なく皆友達として大切な人だと思ってるから、こっちもなんか困った時には助けになりたいと思ってるし。逆にあっちも予算がこれしかないっていう時にはそこでがんばってくれて、助けてもらってるし。まあ、お互いあんまりキツキツじゃなくて、ゆとりがあるところでやってるのがいいんじゃないかな。「予算がないならレコーディングの日程を一日削ってもいいから、その分こういうことがやりたい」とか、そういうクリエイティブな発想があるバンドはすごいよね。俺なんかは「予算浮いちゃったから今から焼き肉食いに行こう」とかだもん。「それだったらチラシをカラーに」とか全然考えないからね。
 
太田:初めて会った時にCOOLER KING McQUEENに「一万枚売りたかったら違うところでやった方がいい、売る自信はない。ただ十年目にロフトで現役のバンドとしてライブをやらせてやることはできる」って言ったのね。その上でウチから出すことなったんだけど。
 
──もちろんお互い仕事なんだけど、やっぱり完全に仕事としてやってる訳じゃないってことなんでしょうね。 
 
太田:売れることと格好いいことって関係ないからね。俺、COOLERに会うたびに「お前ら絶対売れないよ」って言ってるけど、今度出るアルバムなんかサイコーに格好いいもん。
 
ISHIKAWA:売れることと格好いいことって全然違うよね。大澤さんにレーベル任せたら大変ですよ。音にこだわるわ売れないは!(笑) でも、そういう部分も含めてゆとりがなかったらダメだよね。ヘンに無理はしたくないから。
 
太田:俺は無理するけどね。 
 
ISHIKAWA:太田くんは無理するよね。 
 
太田:バンドにいい格好つけさせたいから 
 
ISHIKAWA:それはやっぱり、太田くんがやってるバンドのカラーだよね。RETROGRETIONとかTHE HONG KONG KNIFE、MAD3とか、やっぱりステイタスの部分でおしゃれだもんね。その点LINKとかNOT REBOUNDとかは全然おしゃれじゃなくていいから。 
 
太田:多分「TEENAGE HEAD」とかそういうのばっかだとつらいんだけど。あんまり肩肘はらないでやれるのもあって。そういうバランスが大事だよね。
 
──LOFT RECORDSってジャンル的に見るとすごいメチャクチャなんですけど、どこかに統一感はあるなっていう感じがしますよね。
 
鈴木:世間的に見てLOFT RECORDSって、レーベルの名前がガーンって出ててその下にバンドって感じでもないし、逆にこのバンドがいるからこのレーベルって感じでもないですからね。 
 
 
ISHIKAWA:内輪でやってるからね(笑)。
 
鈴木:とにかく皆、ジャンルとかじゃなくて音楽として好きだから。基本的にはパンクとかロックンロールとかっていうのがあるんだけど、ロカビリー、ラスティック、サイコビリーとかSTAB 4 REASONみたいなハードコアもあるし。ドーテー・コジキもあるし(笑)。
 
ISHIKAWA:皆好きだからね。 
 
鈴木:でもLOFT RECORDS広告見るとなんか一つ柱があるからなんかにやけちゃう。 
 
ISHIKAWA:俺の中での統一感っていうのはやっぱり歌ですね。ありきたりのメロコアでも歌がよければオッケーだし、ハードコアでも歌えるハードコアならいいし。音源で歌を聴いて、このバンド何々じゃんってわかるようなバンドが好きだよね。
 
──LOFT RECORDS5周年ってことですけど、最後に今後のLOFT RECORDSの展望かなんかあったらお願いします。
 
ISHIKAWA:まあ、バンドとの出会いとかアイディアってタイミングの問題だと思うから、今後っていわれても何も言うことないんだけど。とにかく継続を力にしたいから、続けるためには真剣になり。真剣にやりながらも楽しんでいきたいよね。
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻