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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】THE 5.6.7.8'S(2002年5月号)- 日本人って大人になると時間に余裕がなくなっちゃうのかな

日本人って大人になると時間に余裕がなくなっちゃうのかな

2002.05.01

日本人って大人になると時間に余裕がなくなっちゃうのかな

──待望のフルアルバムが遂にリリースされましたけど、本当に久しぶりですよね。

RONNIE:うん、8年ぶりなんですよね。自分では全然カウントしてなかったからわかんなかったんですけど、そんなに経つんですね。

──前のフルアルバム出してからも、ミニアルバムとかはちょいちょい出してましたけど、ミニアルバムとフルアルバムの区別 ってしてるんですか。

RONNIE:特に意識してと言うよりは、たまたまフルアルバムを作れるほど曲がたまらなかっただけなんですよね。わりと忍耐力のない人間ばっかりなんで、曲が数曲たまると、すぐこれで一発録ってみようってなってリリースしちゃうんで(笑)。自分たちにとってはシングルよりはちょっと曲が多くて、フルアルバムより気軽に出せるっていう意味で、ミニアルバムっていう位 置はわりと好きなんですけどね。

──じゃあ、今回もそんなに「何年ぶりのアルバム!」みたいな感じで気負ってってわけでもないんですか。

SACHIKO:そうですね、まあ気負いってわけじゃないけど、とにかくいいアルバムを作ろうっていうのはありましたけど。

RONNIE:うん。8年前にファーストアルバムを作った時とはメンバーも違って、ベースが変わってるんですけど、今のベースになったのが6年前で、その後5年前くらいに「PIN HEEL STOMP」っていうミニアルバムを出したんですけど。それが、自分たちが結構気に入った曲とかいっぱいやっているにもかかわらず、メンバーチェンジしたばっかりで、バンドの音がしっくり固まってないウチに録ってしまったこともあって、音的なこととか、テクニック的なこととかで「ちょっとこれは不満だったな」っていう点が実を言うとあったんですよ。もちろんこのミニアルバム自体はすごい好きな曲がいっぱい入ってるし、いまだにライブでもよくやってる曲も多いんだけど。どうしてもライブだと勢いがあるんだけどレコードにしちゃうと勢いがなくなっちゃう、みたいな感じで。周りの皆からも「レコードよりライブの方がいい」みたいな事を言われてて、それがすごい残念だったんで、今回はそれを克服したいっていうのはありましたね。まあ、新しいのを作る時は前のよりいいものを作るっていうのは当たり前かもしれないけれど、前回より絶対いい物を作りたいっていう気持ちで、その辺には気を遣って作ったつもりです。

──メンバーもこなれてきたし、曲もたまったし、満を持してフルアルバムを作ろうって感じですか。

RONNIE:とはいっても忍耐力ないんで、何曲か録って、お休みして、ツアー行って、曲作って、また何曲か録って、お休みして…みたいな感じで何回かに分けて録ったんですよね。だから2年もかかっちゃって、結構大変だったんですけど。まあ、あんまりそういう風には聴こえないと思いますけどね。

──それはまたえらい長いスパンでレコーディングしたんですね。

RONNIE:そうですね。でも、そのおかげで焦らずに良い物はできたと思いますよ。

──レコーディングでスタジオにずっとこもって作業っていうよりは、どんどんライブやってその曲をやりたいという欲求の方が強いんですかね。

RONNIE:そうですね。やっぱりライブバンドとか言われることも多いですからね。でも、今回はレコーディングでしか出来ないような曲みたいなのとかも実は数曲入ってて、そういうのも結構好きだったりします。レコーディングでスタジオにこもって…っていうのはあんまり好きじゃないけど、レコーディングならではのことをコチョコチョやってるのは嫌いではないですね。

──ある程度、ライブでの演奏と、スタジオでレコーディングした音源ってわけて考えてますか。

RONNIE:そうですね。雰囲気というか、自分の気持ちの中では全然別物だと思います。でも今回のアルバムは、それでありながらも、さらにライブ感は残しつつっていうのは考えてましたけどね。

──The 5.6.7.8'sといえば、毎回絶妙な選曲のカバー曲が入ってて、それも魅力の一つだと思いますけど。カバーする曲を選ぶにあたって、もちろん好きな曲っていうのは第一条件にあるんでしょうけど、この曲を自分らでやったらどうかなっていう部分も考えたりするんですか。

RONNIE:う~ん、それはもちろんありますね。いかにも自分にはまってるっていう曲よりも、逆に自分たちの雰囲気と違う事をしてみたらどうなるかなっていうのも、今回は結構試してみたかもしれません。

SACHIKO:今回はなかなか面白く、色々試してみましたね。「この辺の曲はいいかな」と思ってても実際合わせてみたらイマイチな事もあるし「この曲はどうかな?」と思ってた曲が意外とよかったり。

──とりあえずやってみると。 SACHIKO やってみなきゃわかんない部分はかなりありますからね。アレンジとかの仕方によっても全然変わってきますしね。実際のレコーディング作業はどれくらいかかったんですか。

YAMA:トータルでは3ヶ月くらい?

RONNIE:そこまではかかってないでしょ。

YAMA:でも長かったよね。

SACHIKO:録音は自体ももちろん長めなんだけど、まあそれは普段と比べて滅茶苦茶長いって程でもないんだけど、ミックスにはいつもよりかなり時間をかけましたね。

──録り自体は一発録りみたいな感じなんですか。

SACHIKO:そうですね、もう「いっせーのせ」で。後で被せるものは被せますけど。基本的にはリズム録りは一発ですね。

──そういうやり方で、これだけ時間をかけてるレコーディングってあんまりないんじゃないですか。

RONNIE:普通のバンドさんって一週間とかで作っちゃいますもんね。

SACHIKO:今日は2時間だけ、とか今日は午後6時からちょっとだけ、みたいにちょびちょび小分けにしてやってたんで。

RONNIE:一日12時間づつやってたって考えてみたら、多分1ヶ月未満、20日以上って感じだと思いますよ。

YAMA:それでも結構長いよね。

──それを2年に渡ってやってたと。

SACHIKO:ちびちびとね。

──それだけ長い期間にわたってやってると、テンション的なものって落ちてきませんか。

RONNIE:はじめに、2年前に6曲くらい録ったんですけど。また半年後にレコーディングを再開した時に、やっぱり前に録った曲のここの部分をやり直したいとか、上物を手直ししたりとか、根本的に「やっぱりこれダメじゃん」って、全部取り直した曲とかもありましたね。

──2年間もあれば気持ち的にも結構変化はありますよね。

RONNIE:まあでも、確かに長くはやったんですけど、あんまりダレないようには気を遣いましたけどね。

──その間にもツアーとか入ってたんですよね。

RONNIE:そうですね、やっぱりライブでやってると、レコーディング中の曲とかでもどんどんこなれてきて、歌い回しとかもこっちの方が勢いがあるからこっちで行こうみたいな感じでボーカルの録り直しとかもやりましたね。 ---レコーディング終わってからもまたすぐに海外ツアーに行ったんですよね。

RONNIE:だから慌ただしかったですね。レコーディングの途中でニュージーランドに行ったのと、レコーディングの締め切り直後にヨーロッパのツアーがあったりしたんで。

──ニュージーランドってライブハウスあるんですか。「羊」ってイメージしかないんですけど。

SACHIKO:ありますよ。やっぱりイギリス直系なんで、日本よりよっぽど昔からバンドとかロックの文化はあるんですよ。だから、ロック人口密度的には日本より全然高いんじゃないですかね。普通 に皆聴くから。

RONNIE:ニュージーランドって60年代もそうだし70年代のパンクロックとかでも、意外にあんまり知られてないけどすごい格好いいバンドがいっぱいいますよ。ニュージーランドのガレージバンドとかすごい格好よくて好きですもん。

──ノリ的にはどんな感じなんですか。

RONNIE:う~ん、やっぱりブリティッシュ色はちょっと強いよね。イギリスから移民してきた人たちが多いから、ブリティッシュビートの影響が強くて。その上、ちょっと日本のGSみたいにファズの音がビリビリしてるバンドが多くて、その辺のミックス具合が格好いいよね。ニュージーランドのファズがいいのかな?

──THE 5.6.7.8'sって何回も海外ツアーとかやって色々な国に行ってますけど、印象に残ってる国ってありますか。

RONNIE:去年行ったスペイン! スペインのお客さんはすごく熱いの、もう圧倒されちゃうみたいな。

SACHIKO:他の国の人って、日本語を話せる人はあんまりいないけど、まあ一応英語で話しかけてきてくれるんだけど、スペインの人は、わかんないの承知でガンガンスペイン語でまくし立てて来るからね。

RONNIE:ノルウェーは女の子のバンドが多くて、かわいい子が多かったよね。

YAMA:女子パワーがすごかったよね。

RONNIE:ユニオンみたいなのがあって、女の子バンドのお祭りみたいなのに呼んでもらったんですけど、みんな金髪の北欧美人なんでかなわないですね。

YAMA:あとはドイツ! とにかく寒かった。

SACHIKO:季節によりけりなのかもしれないけど。

RONNIE:いつも冬に行くから恐ろしく寒くて。楽屋にストーブとかあるんだけど全然暖まんないの。

SACHIKO:手がカチカチになっちゃうよね。でも元東ドイツだった方とかは、街の感じとか人の雰囲気とかもなんか退廃的というか、クールで格好よかったね。

YAMA:ベルリンもよかったな、昔からあるようなライブハウスがあって。

SACHIKO:ライブハウスって言うか、もう本当に市民会館みたいな建物で。ドイツ人に言わせると、これはナチの頃ももちろん使ってたっていう。だからSSとかのパーティーとかもそこでやってたんじゃないかな。

RONNIE:まあどこも色んなお国柄があって、色んなお客さんがいて面白いですね。

──日本国内でも、地方とか行くと土地柄によって全然違ったりしますしね。

RONNIE:そうそう今回、初日本ツアーをやるんですよ。

──え、初めてなんですか? 意外ですね。

RONNIE:こんだけドイツとかノルウェーとかニュージーランドとか行ってるのに、なんと自分たちの国のツアーは初なんですよ。

SACHIKO:今まで単発では地方に行ったことはあるんですけど、ツアーとして行くのは初めてなんですよね。 RONNIE よっぽどアメリカのほうが細かい田舎まで廻ってるよね。ニュージーランドとかでも「ペンギン」っていうペンギンが住んでいるようなところに建ってるライブハウスとかにまで行ってるし。

──ペンギン?

SACHIKO:本当にライブ終わって外に出るとペンギンがペタペタ歩いてるの。

RONNIE:自然とロックとペンギンとって感じでよかったよね。

SACHIKO:日本ってライブハウスの中だけが「ロック」って感じなんだけど、むこうってそんなことはなくて、普通 に生活の中にロックがとけ込んでるって感じなんだよね。

──日本のライブハウスってどうしても、どっかの都会の地下にあるってイメージですもんね。

RONNIE:全部の国が全部そうってわけじゃないけど、例えばアメリカの田舎とか、イギリスの下町なんかに行ってライブをやると、近所のおじさんとか、お年寄りとかも普通 にロックを観に来るし。若い人から、年行った人たちまで一緒になってそういう場所で楽しめるって言うのは、本当に生活に根付いているんだなぁって思いますね。まあ、日本もだんだんそうなりつつあるのかもしれないけど。

SACHIKO:日本人って大人になると時間に余裕がなくなっちゃうのかな~?

──日本って暴走族とか不良なんかに代表される様に卒業して行っちゃう文化なんですよね。

SACHIKO:20才にもなってまだロック聴いてるの、とかいう雰囲気がありますもんね。

RONNIE:でもね、この間チャック・ベリーを観に行った時にすごい感動したんだけど。お客さんで、もちろん往年のファンの人がたくさんいたんだけど、すごい若い人たちもいっぱい来てて。全然私より年下のラモーンズのTシャツ着たパンクスみたいな子とかもチャック・ベリーをすごいはしゃいで観てて。「いいことだな~」と思いましたね。

 ──チャック・ベリーって76歳ですもんね。

RONNIE:すごいおじいちゃんだもんね。で、その時ちょっとしたハプニングがあって、お客さんがダーッてステージの上に乗っちゃって、その時私も上ってたんだけど、子供も大人もウワーってライブハウス状態になってて「いいぞ、いいぞ!」思ったんですよ。それはなかなかいい感じでしたね。

──じゃあ最後に一言づつお願いします。

SACHIKO:皆聴いてやって下さい! アルバム買ってね。初回の何枚かわかんないけどおまけがついてるらしいんで。

YAMA:私たちのことを知ってる人も、知らない人も、聴いて欲しいです。聴いて気に入ってくれたらロフトでのワンマンにも是非是非いらしてください!

RONNIE:アルバムを聴いてください! シングルも聴いてください!

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