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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】RISE FROM THE DEAD(2002年4月号)- 関西アンダーグラウンド・シーンが送り込む戦慄の刺客、満を持してフル・アルバムを世に問う!

関西アンダーグラウンド・シーンが送り込む戦慄の刺客、満を持してフル・アルバムを世に問う!

2002.04.01

 再始動から2年。実に7年振りとなる通算3作目のフル・アルバム『2mouth 4eyes』をついにリリースしたRISE FROM THE DEAD。ジャンルのカテゴライズを一切拒否したかのような、まさにRFDにしか作り得ない音の小宇宙が全編に亘って展開された本作、彼らにとっての最高傑作であり最大の問題作となることは間違いない。上昇気流に乗るバンドの好調ぶりを示すかのように、NAOTO氏いわく「早く次の作品に取り掛かりたい」とのこと、新生RFDの快進撃はまだまだ続きそうである。(interview:椎名宗之)

音の出し方は違えど、音色はずっとやってきたもの

──長い沈黙を破ってついに『2mouth 4eyes』が発表されましたが、どんな手応えですか? 

NAOTO:  今までと違う…スカスカな音ですね。

──“スカスカ”ですか!?(笑) それは狙って?
 
NAOTO:  割と。シンプルにやろうということで。一発録りとかもやって。 
 
──キーボードとかシンセの旋律が基調というか、全体的に肝になってますよね。
 
NAOTO: そうですね。羅針盤の吉田(正幸)さんにキーボードをお願いしてやってもらったんですけど。シンセ系のやつは僕やJOHNNY君が弾いたり。ちゃんとした演奏だと弾けないんですけどね(笑)。ノイジーなやつやったら簡単にできるんですけど。
 
──また、ディジリドゥというアボリジニ(オーストラリアの先住民)が使う管楽器を使ってみたりと、面 白いアプローチもされてますね。
 
NAOTO:  知り合いにGOMA氏(ディジリドゥ奏者)を紹介されて、ちょっとやってみようかなという。凄く長い筒なんですよ。それをこう、口にくわえて。くわえるっていうか、はめんねんな?(と、隣のMITCHUNGに確認する) で、低音がバァーっと出る。その音に合わせてトラックを作ったり。ディジリドゥに合うトラックを作ったって感じですわ。
 
──そういう一風変わった楽器を使った音作りもそうですが、全体的に聴き込めば聴き込むほどジャンル分け不能というか、まさにRFDにしか出せない音ですね。 
 
NAOTO:  自分が本来やりたい音って変わっていくじゃないですか。そのやりたいことが増えていっているだけですよ。音の出し方が違うだけで、音色はずっとやってきたことなんですけどね。それを生演奏でやるか、テープ・コラージュでやるかだけのことで。それが今回、判りやすい形で自分のなかで出てしもうてるなっていう。 
 
──規制も何もなく、やりたいことをやった結果がこういう形になった、と。 
 
NAOTO:  そう。でもね、今回はリリースが決まってから曲を作り始めたから、プリプロが出来る前までは凄い困難しましたよ。 
 
──曲の骨組みは基本的にNAOTOさんが? 
 
NAOTO:  大袈裟に言うたら、僕が曲に対してのプロデューサーみたいなもんというか。でも、「こういうのをやろう!」って曲を持ってきた人が最後まで進めていくというのが基本ですね。もの凄く民主的な形です。投票制みたいな。「これどうよ?」ってダメやったらナシにして。 
 
──曲の仕込みから数えると制作にどれくらい時間が掛かってるんですか?
 
MITCHUNG:  1年? 
 
NAOTO: いや、もっと掛かってんのちゃう? まぁ、でもそれくらいか。
 
──節目、節目でライヴで客の反応を窺いながら? 
 
MITCHUNG:  1曲だけ、「RE:CALL」っていうのだけ試したくらい。
 
NAOTO:  客が呆然と…「どう反応してええやろなぁ?」っていう(笑)。
 

最近、集中力が散漫になっとって(笑) 

──アートワークは「COME ON SKY」に引き続きピート・フォウラー氏(SUPER FURY ANIMALSなどを手掛けている英国の人気イラストレーター)が手掛けてますが、印象的なイラストですね。 
 
NAOTO:  去年の暮れにピートが(日本に)来とって、「描いてくれへんか?」って頼んだら「すぐ描くよ」って描き出して。ピートが僕らの音を聴いて、イメージして描いたのがあのイラストなんですよ。
 
──じゃ、タイトルの“2mouth 4eyes”っていうのは、そのイラストから? 
 
MITCHUNG:  いや、それはホンマにいろんな角度からこのアルバムを聴いてもらいたいという意味を込めて 。
 
──このモンスターのイラストがRFDの音楽性を具現化しているというか、あらゆるジャンルや要素を貪欲に呑み込むバンドの姿勢の象徴なのかなと思ったんですよ。 
 
NAOTO:  うーん…余りシーンっていうのに興味がなくて、こんな感じの音が出来てるって感じなんですけどね(笑)。
 
──今後はアルバムのリリースに併せてライヴが続く感じですか?
 
NAOTO:  ライヴもね、余りせんとこうって言ってるんですよ。5本強くらいですかね。月一くらいかなぁ。 
 
──1回のライヴにおける純度が薄れるから、とかですか? 
 
NAOTO:  単純にね、もう昔みたいに毎回が集中できなくて(笑)。集中力が散漫になっとって。
 
──体力的にキツイとかは?(笑)
 
NAOTO:  体力的にはそうでもないけど、よりいいものを出そうとして集中するのに凄く疲れるんですよ。ましてや東京まで出る移動の距離も長いから(笑)。 
 
──そう、今も関西に活動の基盤を置く理由を以前からお訊きしたかったんですよ。
 
NAOTO:  生活の基盤がそこにあるから、離れることができないだけですよ。でも、今はもう余り大阪やら東京やらという意識がなくなってしまって。逆に今は大阪で全然ライヴしてへんもんな。レコ発のライヴも大阪ではやらへんしね(笑)。 
 
──JOHNNYさんのプログラミングするノイズが本作では重要な役割を果たしていると思うんですが、RFD加入の経緯を改めて教えて頂けますか。 
 
JOHNNY:  バンドに入ったきっかけ? …ナンデ? 
 
NAOTO:  何で入ったか覚えてないの?(笑) 元々僕と2人で“IC-40”っていうユニットをやってて。彼はニュージーランド出身なんやけど、最初は大阪でDJやっとって。このアルバムでは、はっきりとした、自宅でやるようなリミックスは彼が巧くプログラミングしてちょこちょこやったり。ニュージーランドって凄くノイズとかダブとかが盛んですからね。昔から彼には機材とかよく借りとった。 
 
JOHNNY:  日本にはいい音楽がたくさんあるから。
 
──じゃ、ニュージーランドにいる頃から日本の音楽の情報には詳しかったんですか? 
 
JOHNNY:  全然(笑)。
 
NAOTO:  彼はその前に日本の女の子に興味があったから(笑)。
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