ビートパンクキング・KENZIがなんと今年で18周年を迎える。まだまだ疾走し続けるKENZIに今までの歴史、そしてこれからを語ってもらった。[interview : 北村ヂン]
もともと俺、札幌でフォークをやってたんだよ
──今年で18周年ってことですけど、これってKENZIさんが東京に出て来てから18年ってことですよね。
KENZI:そうそう、KENZIとしての活動が18年ってことだね。18周年って中途半端なんだけどさ、たまたま去年の暮れにベスト盤が出たんで、それで何年目なのかなって考えたら18年目だったんだよね。
──このベスト盤って自分で選曲したんですか。
KENZI:プロデューサーの徳田さんっていう人がいて、その人が一応全部決めて俺がチェックしたんだけど、そのままで全然いい感じだったんで。俺がやるより人が選んだ方が冷静に曲が並んだみたいな感じで。
──本当に最初のシングルから、去年出たシングルまでまんべんなく入ってる感じで、作られた時期という意味では18年間の開きがあるわけですけど、通して聴いてみても基本的なスタイルってあんまり変わってないですよね。
KENZI:そうだね、やっぱり人間ってやっぱりそう簡単には変わらないと思うよ。子供の頃は高校生ってすごい大人に見えてたし、高校生からしたら30歳ってすごいおじさんに見えてて、人間ってこんなに変わっちゃうのかなって錯覚を起こしちゃうんだけど、実際は全然違うんだよね。自分がなってみたら全然変わってないよ。だから歌もそうなんじゃないかな。
──KENZIさんって札幌時代にも色々バンドをやってたわけですけど、そもそものパンクとの出会い、バンドをやろうと思ったきっかけってなんだったんですか?
KENZI:もともと俺、札幌でフォークをやってたんだよ。だから歌うっていうか、何かを表現するっていうことは当時からやってたんだけど。バンドっていう発想はなかったんだよね。バンドはじめたのも、高校生の頃たまたまボーカルがいないっていうんでバンドに誘われたってだけで。
──それまであんまりバンド形態の音楽とかは聴いてなかったんですか。
KENZI:そうだね、あんまり知らなかったな。ただ、バンドやり始めるのと同時期くらいに日本のロックっていうか、めんたいロックとか、ARB、ルースターズ、RCサクセション、アナーキーとかがガーンって出てきて、一気にはまっちゃったんだよね。
──じゃあ最初に出会ったロックがパンクだったって感じなんですか。
KENZI:その前にちょっとディープパープルとか聴いてたんだけど(笑)。まあそれはあんまりはまらなかったね。やっぱ、パンクは衝撃的だったよね。一番最初に見たのがARBだったんだけど。ラジオの公開録音でタダで見に行って、パンクなんか聴いたことなかったからすごいビックリしたね。
──それで自分たちでもそういう音楽をやり始めて。
KENZI:そのまんまず~っとパンク一色って感じだね。最初はスマロ子、次にイギリスっていうバンドをやってて、高校卒業して19で東京に出てきたんだけど。
──やっぱり、音楽やるなら東京出なきゃ駄目だ、みたいな思いはあったんですか?
KENZI:子供なりに札幌ではやるだけやったっていうのもあって、東京で一から試したいっていうのが強かったね。
──最近、札幌シーンって注目されてますけど、当時も札幌にパンクシーンみたいなのってあったんですか?
KENZI:それがすごいあったんだよね。当時全然情報もなかったから知らないと思うけど、北海道の方にものすごいバンドブームみたいなのがあって。それこそパンクフェスティバルっていうイベントがあると数百人も集まるっていうような状況があったんだよね。
──その中でも東京に出てきたのはKENZIさんが最初だったんじゃないですか。
KENZI:そういうことになるかな。最初はイギリスっていうバンドの3人で出てきたんだけど、1日でドラムが失踪しちゃって(笑)。3人で住むっていう話で出てきてたのにいなくなっちゃったから、金があわなくなっちゃって一回帰ったんだよ。でも俺はどうしてもやりたかったから、しょうがなく一人で出てきたんだよね。
昔来てくれてた連中はどこに行っちゃったんだ、勝手に卒業するな
──19で東京に出てきて、今37才なわけですけど。その当時、こんなに音楽をやり続けてると思ってました?
KENZI:う~ん考えてもなかったね、昔は。今は逆に、いつまでできるかなって思うけど。パンクってどうしてもこれくらいのテンションでいつまでできるかっていうジャンルだと思うんだよ。だから永遠にはできないんじゃないかな。今37だけど60になったら無理だと思うからね。
──まあパンクってまだ歴史が浅いんで60でやってる人自体まだいないですからね。
KENZI:皆で記録更新していって、後何年できるだろうっていう世界だからね(笑)。とにかく出来るところまでやるしかないけどね。パンクの歴史ってまだ現在進行形なわけで、俺も結構やってきてるけど先輩もいっぱいいるわけで。ミチロウさんとかヒカゲさんとか茂さんとかね(笑)。そういうのを見てると励みになるよね。
──去年スターリンの再結成がありましたけど、ミチロウさんなんか50過ぎてるのにライブはメチャクチャすごかったですからね。まだ臓物投げてましたし(笑)。
KENZI:まあ、打ち上げで「もうできないよ…」って言ってたけどね(笑)。でもいまだにテンション落ちない所が格好いいよね。俺らってある意味芸人だと思うから、歳にあまえてちゃ駄目だからね。若い連中とかドンドン出てきてるけど、現役でやってるからにはそいつらと同じ土俵にいるわけだからね。
──それじゃ最後に18周年記念ライブに向けての意気込みみたいのがあったらお願いします。
KENZI:そうだね、まあいつものことなんだけど、とにかく全力で嘘のない歌を歌いたいね。あとは、俺らは18年もずっとやってて、今まで色んなお客さんが来てくれたけど、昔来てくれてた連中はどこに行っちゃったんだっていうのがあって。勝手に卒業するなっていう。その辺の人たちに少しでもメッセージが届けばいいなと思うけどね。たまに「まだやってたんだ」って言われるんだけど「お前に言われたくないよ! 俺はずっとやってるんだ、お前がいなかっただけだ!」ってね。