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トップインタビュー【復刻インタビュー】RADIO SHANGHAI(2001年12月号)僕らは汗だくだくですよ、パンク以外の何者でもない

【復刻インタビュー】RADIO SHANGHAI(2001年12月号)僕らは汗だくだくですよ、パンク以外の何者でもない

2001.12.19

 PUNK直後の70's後半から80's前半のシーンを総称してPOST PUNK / NEW WAVEと呼んでいる時期があった。多くのバンドはオリジナル・パンクの勢いそのまま、生き急ぐように熱いエネルギーを放つ一方、既存の音楽シーンやメディアに対しては実に辛辣なスタンスを貫いていた。近頃そんな気概のあるバンドも少なくなったねぇ...なんて思っていたら、京都にRADIO SHANGHAIという凄いバンドがいました。この度LOFT RECORDSから1stアルバムを発売するのを機に、(自称)リーダーのSUZUさんにお話を聞いてみました。[interview:加藤梅造]

好きだからこそ奥ゆかしく

S:(レーベルが作成したバンドの資料を観ながら)うーん、なるほど。いや、こういうプロフィールって今まで書いてもらったことないんで。

──ここには「PUNK/NEW WAVE色を強く打ち出したサウンド」とありますが。

S:まあ、PUNK/NEW WAVEといってもすごく広いんで、あんまり簡単には言えないんですけどね。僕の場合はすごく偏ってると思うんです。PUNKからNEW WAVEになりかけみたいな頃のバンドが好みで。ベタなところでは、XTCやDEVOというところですね。

──2,3年前にNEW WAVE OF NEW WAVEっていう動きがありましたよね。

S:でも今はもうなくなりつつあるんじゃないですか。

──あのムーヴメントはNEW WAVEっていうことを全面に出しすぎてた感がありましたが、RADIO SHANGHAIの場合はNEW WAVEの影響がごく自然に出ている感じがしますよね。単純にNEW WAVEが好きなんだろうなっていう。

S:そうですね。好きだからこそ奥ゆかしくなってしまうっていう。

──僕も10代の頃NEW WAVEにはまってたんですが、今ふり返って思うのは、あの頃はまだ音楽が…。

S:出尽くしてないですよね。

──そう。中でもNEW WAVEってとにかく斬新さを追求するっていう部分が大きかった。

S:それが結局収拾がつかなくなってアルバム2枚ぐらい出して解散ってパターンですよね(笑)。

──(笑)。でも、RADIO SHANGHAIの音楽って、若いバンドにありがちな80年代のNEW WAVEを一回りして復活させるっていうのじゃなくて、当時のNEW WAVEの姿勢──つまり自分たちは新しい音楽をやってるんだっていう気負いの部分を引き継いでるように思うんです。

S:そう言ってもらえると嬉しいですね。まあ僕らの場合、若手なのか中堅なのかよくわからないですから。バンド歴ばっかり長くって。まあ本来はもっと若い人達に僕らがやってるようなことをやって欲しいんですけどね。ガッツあふれる若人達に。僕らも精一杯やってるんですけど、10曲も演奏するとくたくたですから。

──あら、ずいぶん枯れてますねえ。

S:いや、がんばりますよ、これを機に。まあ需要があれば。

──あると思いますけど。いわゆるイギリスのひねくれた感じっていうんですかねえ。モノクローム・セットみたいな。

S:ああ、いいですね。憂いがあって。好きですよ。あとマガジンとか。

──あんまり汗をかかない感じというか。

S:僕らは汗だくだくですよ。まあレコードとライブは分けて考えているんですけど。レコードはわりと手の込んだものを作ろうとしてますが、ライブは粗いですね。パンク以外の何者でもないっていう。もうくたくたです。

それもPUNKの怒りの一つ

──こういうこと言うと怒る人がいるかもしれないけど、最近は安易に過去のリバイバルがシーンになってしまってる気がするんですよ。けど、80年代初頭のPOST PUNKとかNEW WAVEと呼ばれてたものって一つのシーンとして括るには、あまりにもそれぞれのバンドがバラバラじゃないですか。なんでもありみたいな。そこが僕は好きなんですね。

S:魅力的ですよね。例えば今スカコアが流行ったらスカコアばっかりになったりして、どれも個性がないじゃないですか。もったいないですよね。せっかくいい楽器買って、練習代も払ってるのに。固有名詞はあんまり出さないようにおさえながらしゃべってますが(笑)。

──気をつかってもらってすいません(笑)。で、NEW WAVEで最も重要なのは、誰かの真似はしたくない! ということだったと思うんです。

S:そうですね。それもPUNKの怒りの一つだったような気がしますけどね。今、見出しの太字になりそうな言葉を選んで言ったんですけど。

──(笑)。ところでSUZUさんは、日本のバンドには影響を受けたんですか?

S:やっぱり最初にバンドでコピーしてたのは日本のパンクバンドでしたね。

──例えば?

S:STAR CLUBとか。それがバンドを始めるきっかけでしたから。初期のSTAR CLUBって、どうしていいかわからないフラストレーションの放出っていうか、それは今聴いてもすごいなあと思いますよ。

──STAR CLUBってまさにPOST PUNKですよね。ちなみに90年代以降の音楽には影響はされてないんですか?

S:ないですね。90年代は焼き回しばっかりですからねえ。それよりも僕らと同じようなことを考えてやっている日本のバンドに影響を受けましたね。

──具体的には?

S:やっぱりFIRESTARTERとか、REGISTRATORSとかですね。

──ああ、なるほど。話は変わっちゃうんですが、先日、小山田圭吾(Cornelius)の新譜が出たじゃないですか。それを聴いて思ったのは、彼の音楽って常に新しく変わっていくんだけど、そこにいつもNEW WAVEの香りみたいなのを感じるんですね。それは僕の思い込みかもしれないけど。

S:あの人は(NEW WAVEを)すごく知ってると思いますよ。それこそ聴き尽くしてるんじゃないですか。

──で、僕はRADIO SHANGHAIにも同じような期待をしているんですよ。勝手な期待で、余計なお世話でしょうけど。

S:いや、それは是非書いておいて下さい。僕が聞き手にまわってるっていう設定でいいじゃないですか(笑)。「今回はRADIO SHANGHAIのリーダーSUZUに僕の話を聞いてもらった」から始まって「小山田圭吾と同じ期待をRADIO SHANGHAIにも送る」で締めてもらう。そういうインタビューがあってもいいじゃないですか。これもNEW WAVEですよ(笑)。

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