初めて彼等のライブを見たのは2、3年前だった。そのライブは今まで見ていた"バンド"のイメージをうち砕かれたようなそんなかんじだった。ライブにしてもつかみ所がない。でも、気づいたらヘルマンのペースに引きずり込まれていた。この魅力は一体どこにあるのだろう。雨の降る10月の半ば、岡本(Vo.&G)と平床(G)に話を聞くことができた。
ダンス担当の理由…
──バンドができたきっかけを教えて下さい。
平床:大学でサークルに入る前からちょっと気になってた仲が、サークルに入ってより結束力が深まり、のらりくらりと毎日を過ごしていたんですが、それにも飽きてまぁバンドでもやりましょうと突発的に始まったバンドがこれなんですよ。
岡本:これでやってこうとか、本気でみんなでやってこうぜとかそういうのじゃなくて、暇つぶしでオリジナルを適当に作って楽しもうっていうペースだったんです。
平床:プロ志向も全くなかったからべつに弾ける弾けないは関係なくて、じゃぁやろうよっていう。
──なぜ若井さんはダンス担当なんですか?
平床:溢れちゃったんですよ、役職に。ギターもベースもいるし、実際あいつ何にもできないし、歌もボーカルいたし、じゃぁ俺何しようってアイツの中でなったらしくて、踊ります! って。
楽しくやるためにはものすごいいろんなことに自分から足を踏み入れないと
──ヘルマンとして曲を作るときのルーツを教えて下さい。
岡本:あまりマニアックなものは知らないんですよ。僕たちロックバンドだけどそれと手法は関係ないわけで、俺らロックバンドだコノヤロー! ってのじゃなくて、バラードもあればご機嫌な曲もあって暗い曲もあって。こういうロックバンドです僕らは! っていう突き抜けたものを目指してるんじゃなくて…。
平床:1曲1曲いいかんじに仕上げることだけ目標だったりするし自然とやってることなんですよね。
──それは人に何か伝えるっていう意味もあるんですか?
平床:もちろん聞き手に対する音楽だったり、自分たちに対する音楽だったり、そのへんのいろんな思いはあるだろうけど、そんなに細かい意味にとらわれないで作って、良ければいい自分たちが納得するかたちで出せればいい、なおかつ楽しくやりたいと。
岡本:楽しくやるためにはものすごいいろんなことに音楽的にも自分から足を踏み入れないと、性格なのか飽きてしまうわけですよ。だからこういうふうになってしまうというか。
──ヘルマンを一言で表す事って難しいですよね。
平床:どんなバンドなんだろうって思われがちだし思われてるだろうし、それはしかたないことで、それは全部ひっくるめて僕らだから。なんとも言いようがないんですよね。
岡本:ホントにねらって作ってるわけでもやってるわけでもないんですよね。曲っていうのも。毎回変わったものを作ってる気はないです。だけど、どうも変わっちゃう(笑)。一つのとこにいこうっていう気もないし、どっかのシーンに染まりたいっていう気もないから、曲もこういう曲が作りたいから作ったとかじゃなくて、自然にその時作ったものを曲にしてくだけだから。でも、音楽って本来そういうものでいいはずだし、いつからかイメージやそういうものを大事にされてるけど、そういうことで自分たちの世界を狭くしたくないというか、それだったらやれること全部試してからどんどん極めていくのもいいし。自分たちのサウンドが伝わって極まっていけばいいだけの話です。
根本にあるのが、反発心
──今回アルバム『SIX PACKS』がリリースされますが、作っててどうでした?
平床:いい感じで、現時点でやれることはけっこうこの中につまったかなっていうそういう意味では満足。
岡本:新しい人に向けて作りたかったんですよ。今までの自分たちの総集編とこれから俺達がどうなるかっていうのを感じさせるヘルマン取扱説明書になればいいなと思ってただけだから、古い曲も入れたかったし、新しい曲も入れたかった。メジャーだからって洗練された新しいものっていうよりは順序を経てというか。
──アルバムのベースになった音楽というのはどのへんですか。
岡本:メンバー全員ホントに音楽の趣味がばらばらなんですよ。俺なんか音楽聞かないし、バンドとしてこういうものがベースというのは全然ないです。何かを意識したこともないし、何かのようなものを作りたいと思ったこともないから、思いつくがままに作ってるだけです。
平床:そうだね。曲を作っているのは岡本で、こいつはホントに音楽は聞かないというか耳に飛び込んでくる音楽を自分なりに処理するのが得意というか、ピンと来るエキスというのを自分なりに組み立てるのがすごいうまいんですよ。
──このアルバムでバンド的にはステップが見えたというか。
岡本:そうですね。でもこのアルバムはまだ序章なんでね。
──最近の曲は日本詞が多いんですが、何か心境の変化はあったんですか?
平床:挑戦ですね。今まで英語の詞が多かったんですけど、東京湾から日本詞がそういう歌にものるんだなっていう。俺等にしては新しいというか。
岡本:今までの日本語のロックやそういう中ではなかった伝え方にチャレンジしたい。英語はコイツ(平床)ができたから英語で始まっただけで、そんなに深い意味はないんですけど日本語って難しいんですよね。難しいからやりたくなっちゃう(笑)。ただ根本にあるのが、反発心なわけですよ。他の音楽に憤りじゃないけど、なんでもやってやる~ってなっちゃう。すごいやなんですけどね、一つのものにとらわれてそれを無理矢理自分で信じてるようなやり方。それだったら、ホントに信じれることをやりたい。古典的なバンドなんですよ。
──ライブでは、全員が好きなように演奏してますよね。
岡本:カーニバルみたいなもんですよ。
平床:やりたいように各々やるっていう。
──ライブへの意気込みを聞かせて下さい!!
岡本:とりあえずAXに来てくれと!
平床:まだ残ってるんでぜひぜひ来ていただきたいなと。
──ムームーも。なんでもありっぷりのライブを楽しみにしています。