日本が誇る超個性派バンドMONG HANG。今回はアルバム発売を記念して謎の多い彼らの正体に迫る!? [interview 北村ヂン]
僕らをあらわす一番いい言葉
──まず最初に聞きたかったんですけど、この歌詞とか曲名とかって、何語なんですか?
ケイタイモ・ウジャ・ビンビン(以下・ケイタイモ):たまに英語の曲も入れてるけど。ほとんどは音の響きというか、雰囲気ですね。
──あ、そうなんですか。勝手にアフリカのどっかの国の言語なんだろうと思いこんでましたよ。
バ:いや、そういうんじゃ全然ないですね。もう本当に聞こえ方だけで。
──MONG HANGってバンド名も変わってますけど、どういう意味なんですか。
ケイタイモ:うわ、聞かれちゃった。
バ:今度から答え作っとかないとね。
ケイタイモ:MONG HANGか……それも響きですね。
バ:まあ、僕らをあらわす一番いい言葉なんじゃないですかね。
ケイタイモ:あ、いい事言った! これからそう言っていこう(笑)。
バ:僕らをあらわす一番いい言葉です! これ太字にしといて下さい。元々二人でバンド名考えてるときに「モン」と「ダン」と「デン」っていう候補があったんだけど、「モン」がいいなっていう話になって。
──「モン」と「ダン」と「デン」っていう候補もすごいですね。そこからどういう経緯で「ハン」がついたんですか?
バ:こいつが「モンの後にハンつけねぇ?」って言い出して「別にいいよ~」って。
ケイタイモ:脱獄犯っていうイメージが浮かんで、そこから「ハン」をつけたらいいんじゃないかな、とか思ったんですよ。
バ:でも、はじめの頃は「モーチャン」とか「モンハム」とか「ボンハム」とかメチャクチャな間違われ方してたよね。
ケイタイモ:本当にフライヤーとか、チラシとかにもう間違いだらけでよく書かれてたんですよ。それで段々近くなってきて喜んでたんだけど。
バ:俺らもやっと普通に呼ばれる様になった! って。
どうせ嫌がられるなら、泣き叫ぶくらいのライブを
──MONG HANGって音的にも、ライブパフォーマンス的にも相当アクが強いですよね、僕が初めて見たときも「なんじゃこれ」みたいな印象だったんですけど。初期の頃ってお客さんの反応すごかったんじゃないですか。
ケイタイモ:今は結構お客さんも楽しんでくれるんだけど、最初の頃はひどかったですね。
バ:やっぱり初めて観る人は「え゛!?」みたいな反応だよね。ニューヨークに行ったりして思ったんだけど、あっちの人って思ったことをダイレクトに出してくるんで、初めてでもすごい反応がいいんですけど、日本人って「おっ」とか思っても、その感情をなかなか出してこないじゃないですか。
──自分にとって未知の音楽に触れた時にどうのったらいいのかわからないんでしょうね。日本人って特にそういう部分があるじゃないですか、このジャンルならこういう風にのって、皆同じのりかたで、みたいな。
バ:うん、やっぱりその辺は盆踊りの延長線なんですかね。
──クラブイベントとかでも皆DJの方を向いて踊ってますもんね。あっちの人ってそういうのないじゃないですか。
ケイタイモ:そうですね。僕もそういうの見ると「えっ」とか思いますね。
バ:まあ、誰もいない壁の方とか向いて踊ってるヤツがいたらそれはそれで相当アブナイけどね。
ケイタイモ:あなた結構そういうタイプでしょ。
バ:うん(笑)。でも、やっぱ日本人って音だけでっていうのはキツイんじゃないかな? テレビ好きだから。ライブとかにしてもやっぱり観に来るっていう部分がでかいからね。一回「みるく」でライブやったとき、お客さんが女の子ばっかだったんですけど、もうパニック状態になったもんね「キャー」って。
ケイタイモ:汗とか飛び散って、皆逃げまどってた。
──逆にそういう状況って燃えるんじゃないですか。
バ:そういうの見て興奮する(笑)。
ケイタイモ:どうせ嫌がられるなら、泣き叫ぶくらいのライブをやりたいよね。
バ:トラウマになるくらいの、一生キズ物にしてやる!
──やっぱりこんだけ個性が強いと好き嫌いは両極端に分かれるでしょうね。
バ:嫌いな人は本当に嫌いだろうね。もうCD買って来て片っ端からトンカチでガンガン! って。
ケイタイモ:だったら買うなよ。
おかしなものも好きだけど、聴きやすい音楽も好き
──今回のアルバムなんですけど、いわゆるわかりやすい音だったり、わかりやすいリズムだったりはしないんだけど、トータルで聴くとすごい聴きやすいですよね。
ケイタイモ:俺らってわりと聴きづらい人たち、みたいなイメージが一般にあるんで、そう言われると嬉しいですね。
バ:メンバー皆、おかしなものも好きだけど、聴きやすい音楽も好きなんで。そのどっちの要素もうまく織り交ぜていけたら理想かなって感じですね。
──レコーディングに入る段階で、曲はどの程度出来てたんですか。
バ:レコーディングに入る時にはほとんど出来てますね。
ケイタイモ:なるべくカッチリ決めてから入る様にしてるんで。
──あ、そうなんですかイメージ的にはセッションしながらレコーディングで組み上げていくみたいな感じかな、と思ってたんですけど。
ケイタイモ:やっぱりレコーディングになると、ライブ感っていうのももちろん重要なんだけど、それ以外に細かいところの辻褄合わせみたいな事も必要なんで。どうしても普段のライブとか練習だけだとちょっと甘いところがありますから。
──レコーディング自体はどういう感じでやったんですか。
バ:まあごくごく普通ですよ。普通がどうなのかよくわかんないけど。
ケイタイモ:今回一発録りっていう感じの曲はなかったんで、まずリズム隊先に録って、上物乗せていくみたいな。
バ:とにかく楽器が多かったんで大変だったけどね。
ケイタイモ:レコーディングの順番とかを考えるのが大変で、合理的にレコーディングするために、例えば一回ビブラフォンを組み立てたら一々バラしたり、組み立てたりしてられないんで、一曲まるまる録るんじゃなくて、この曲のこの部分と、この曲のこの部分、みたいな感じでその楽器が必要な所をまとめて録るんですよ。だからどこが終わってて、どこがまだなのかわからない。
バ:自分たちの曲だからさすがにほとんど大丈夫ですけど、時々何やってるんだかわかんなくなっちゃう事もありますよ。
ケイタイモ:もうわけわかんなくなっちゃって、ある意味トランス状態に入ったよね。
──じゃあ結構はいっちゃった状態で集中してたと(笑)。
ケイタイモ:まあ、集中はしましたね~。
バ:今回、ミックスはニューヨークまで行って2週間かけてやったんですけど、全然遊びに出なかったもんね。
ケイタイモ:ほとんど外にも出てないですね、でもあんときは楽しかったな~。
バ:そうだね。
ケイタイモ:ミックスはもう少し時間は欲しかった感じはするけどね。あんまりやりすぎてもキリがなくなちゃうのかもしれないけど
──でも、ミックス2週間ってかなり長い方ですよね。
ケイタイモ:そうですね、まあそれだけ作り込んでいったって事なんだけど。
バ:音って「こういう感じ」っていうのもどう説明したらいいか難しいじゃないですか。「2001年宇宙の旅のワープシーンみたいな感じ」みたいな無茶な注文つけたりして、わざわざビデオ借りてきて見ましたけどね(笑)、こういう雰囲気だって。
──作ってる側からすると音源とライブって別ものっていう感覚なんですか?
ケイタイモ:う~んどうなんだろ、個人的にはそうなんですけどね。流れ的には同じような流れをくんだものにしたいなというのはありますけど。
バ:ここで、意見が分かれちゃっていいのかな? 前のアルバムってライブの臨場感っていうのがあんまり出てなかったんですよ。だから俺は今回はライブ感っていうのを結構重視して作ろうと思ってましたね。ライブの雰囲気をそのままCDで出せたら理想っていう。
──まあ、でもそれはライブを録音してそのまま出すっていうのとはまた違う訳ですよね。
バ:そうですね、ライブ盤はライブ盤でいずれ出したいとは思いますけど。
──ライブっていうその時限りで消えてしまう雰囲気を再現するために、ミックス2週間とか時間をかけて作り込んでくことでそこに近づけて行っているって感じですか。
ケイタイモ:そうですね。雰囲気って行った面では、レコーディングでもライブ感っていうか、メンバー皆の一体感みたいなものは大事だと思いますね。
なんなら「みんなのうた」とかに出たい
──11月3日はロフトでレコ発ライブなんですけどそれにむけての意気込みみたいなのをお願いします。
ケイタイモ:まあがんばるっていうか、結構それに向けてずっと色々準備しているっていう感じだもんね。
バ:色々考えてますよ、DJを間に入れたり、会場をデコレーションとかもしようと思ってますし。子供からおばあさんまで楽しめる様な、まあおじいさんもですけど……。近所のヤクザが来ようが、警官が来ようが、皆が楽しめる様なライブにします。
ケイタイモ:そうだね。
バ:本当に子供とか来たら結構楽しめる様な気がしますけどね
──子供の方が逆に変な固定観念みたいなのがないからすんなり受け入れられるかもしれないですよね。
バ:子供のうちから俺らみたいな音楽聴かせておけばね~。そしたら変わるよ
ケイタイモ:悪い影響かもしんないけど。
バ:なんなら「みんなのうた」とかに出たいもん。
ケイタイモ:とにかく発売してから初めてのライブになるからね、色々趣向を凝らせて行こうとは思います。
バ:楽しいライブにしたいですね、見逃すと後悔するぞ!