リリースが遅れていたギターウルフの13枚目のアルバムが、遂にリリース! 『LOVE&JETT』というタイトル通り、LOVEを体験すれば感じるスリル、昂揚、衝撃、エネルギーがJETTの如く爆音で駆け抜ける。そして本作、街のアルバムだと思う。現実も非現実も関係なく、でも迫りくるリアリティは、その背景が街だからだと思う。だからゾクゾクする。ギターウルフと一緒になって、JETTになって駆け抜けていける。最高だ!
新メンバーにゴッツを迎え、自主レーベル〈ギターウルフレコード〉を立ち上げ、新しい世界へ突入したギターウルフ。サバイブしていくギターウルフ。どうか最後まで読んでほしい。「LOVE&JETT」に出てくる「まだまだ強くない」って歌詞がきっと一層グッとくるから。(interview:遠藤妙子)
ギターウルフは原宿生まれの原宿育ち
──『LOVE&JETT』、遂にリリースですね。おめでとうございます!
セイジ:ありがとう! やっと出せたよ。
──今日は原宿でインタビューさせていただいてますが、セイジさん、原宿でバイトしてたことがあるんですよね?
セイジ:原宿はね、50'sのスーパージャンクって店があって。原宿駅前のテントに古着とか古い革ジャンを出してて、古い服は寅さんみたいな(笑)。そこでバイトしてたんだよ。
──今もライブに原宿っぽいイカした兄さんたちが来てるじゃないですか。その頃からの仲間?
セイジ:うん。そうだね。原宿で出会った連中。
──いいですね。ずっと観に来てる。
セイジ:あの頃はみんなツッパッてて、けっこうバチバチし合いながらも仲間になりたいなって思って。
──セイジさんが?
セイジ:たぶんみんなが。お互い意識して。ツッパッてたからケンカになるのかなって思いながらバチバチし合って。でもある時、10人ぐらいで飲みに行ったんだ、ビリーもいた。みんなで自己紹介したら、ビリー以外はみんな同級生で! みんなタメ。その時の感動は今も続いてる(笑)。
──私も同級生だ(笑)。
セイジ:あ、そうでしたね。
──私が最初にギターウルフを観たのは、今はなき代チョコ(代々木チョコレートシティ)でした。
セイジ:おおー、超初期! ドラム、前のドラムの頃でしょ。
──いや、トオルさんでしたよ。今は円盤の田口史人さんがギターウルフが凄いって何かに書いていて。そのライブが田口さん企画かどうかは忘れたけど…。
セイジ:ああ、じゃ、ドラムはクラちゃん(トオル)だ。でもかなり初期だね!
──だからギターウルフって実は凄く間口が広い。原宿の50's好きから、アンダーグラウンド、ハードコア、ノイズ、もちろんパンクスもギターウルフは大好きだろうし。
セイジ:(照れる)
セイジ:やっとね。またまたいい曲を作ってしまって(笑)。
──今日は原宿で取材だからじゃないけど、なんか原宿っぽいというか。待ち合わせが吉野家の前だったから(笑)、改札を出て竹下通りと吉野家が目の前にバーンって現れた時のガビーンとした感じが今作に似てる(笑)。
セイジ:ギターウルフが原宿生まれの原宿育ちだからかな。でもね、吉野家は俺がいた頃はまだなくて、俺が原宿離れた直後ぐらいに現れて。びっくりして。マジかよ! って。吉野家が悪いってわけじゃないけど、俺の街に吉野家来るなよ! って。竹下通りの途中ならまだいいけど、駅の目の前にいきなりかよ! って(笑)。
──でもびっくりしちゃう感じはギターウルフに近いです(笑)。今作、LOVEのアルバムであると同時に街なんだと思ったんですよ。ストリートのアルバム。
セイジ:ああ、そうですか!
──原宿の駅を降りたら、今作と街の景色がバシッと合って。
セイジ:なるほど! それは良かった。
──で、今作に至るまでメンバー・チェンジがありました。ここまでの経緯を。
セイジ:U.Gが辞めてから募集かけて。150人ぐらい来たのかな。U.Gが辞めてからの2年間はなかなかエキサイティングな期間で、すぐにメンバー見つけなきゃいけないし、直後には長いアメリカ・ツアーが控えてるという。
──新しいメンバーが決まったらすぐにアメリカ・ツアー。不安はなかったですか?
セイジ:なかったです。新しいメンバーとでも、1カ月ぐらいツアーやるとメンバーになっていくんで。自分はじっくりタイプではないので。荒海の中に一緒に飛び込んでいくタイプなので。
── 一緒に飛び込める人。
セイジ:そうだね。一緒に飛び込んでメンバーになれる人。ただね、前のヒカルはナイスガイだったけど、けっこう大変だなと自分で思ったんじゃないかな。ここで辞めたらダサいと言われるのも覚悟の上で、辞めるなら早めにって思ったんだと、俺は思うんだ。ギターウルフのために。
──ツアーは過酷でしょうしね。
セイジ:俺たちは20年以上やってるから過酷とは思わないけど。対処の仕方、身のかわし方をわかってるから。だけど入ったばかりだとキツイかもしれないね。
──そしてゴッツさんがメンバーに。
セイジ:ゴッツは、実を言うとU.Gが辞めて応募してきた150人ぐらいの中の一人で。最後まで残った一人で。ゴッツに連絡して、奴は岩手に住んでて岩手まで会いに行って。「やります!」って言った。ヨーロッパ・ツアーまで2カ月ぐらいしかなかったけど、仕事畳んで出てきて、1カ月の間に練習してツアーに出て。
──うわー、過酷でしたね。
セイジ:俺たちは別に(笑)。俺たちは面白かった。
──ゴッツさんも過酷を乗り越えて。ゴッツさんのベース、また違う感じで。
セイジ:違うかな?
──メロディをブイブイ弾くじゃないですか。
セイジ:おお、素晴らしいね。なかなか暴れん坊ですしね、ステージも。
──ツアーはどうでした?
セイジ:ゴッツはギターウルフとしてバッチリだったね。海外ツアーも初めてで、デカいライブハウスも初めてで。2日目がオランダのデカいフェスだったんですよ。「こんなデカいとこでやるの初めてです」って言って逆に燃えてた。
──アルバムもイケル! って。
セイジ:そうだね。ゴッツの雰囲気がジャガーっぽくて(笑)。それでインスピレーション受けて「SEXジャガー」ができたし。新しいメンバーからはインスピレーションをいっぱいもらえるね。