かつて下北沢には無かった"メロディック、スカ、パンク"といったシーンのサーキットイベントを始めようとした4人の主宰、荒川博隆(下北沢CAVE-BE 副店長)、柳沢英則(下北沢GARDEN ブッキング)、山田純也(下北沢屋根裏 店長)、義村 智秋(下北沢SHELTER 店長)に、その真相と熱い想いを聞いた。(interview:平野 風/下北沢SHELTER)
photo by TARUMI
サーキットイベントの経緯
── どのような経緯でこのサーキットイベントは始まったのですか?
義村:この街は全国的に見ても多くのライブハウスがあって、季節ごとに恒例のようなサーキットイベントもたくさんあるのですが、メロディックだったり、スカだったり、パンクに特化したサーキットがまだ無いと思うんですよ。そんな中、他店が中心にやっているサーキットイベントの最中に、うちらでもこういうことをしたいと元CAVE-BEの店長に話しかけたのがきっかけですね。
── なぜSHELTER、CAVE-BE、GARDEN、下北沢屋根裏の4会場でやろうと声をかけたのですか?
義村:シモキタメロディックTVというDIYなUstreamの番組をやっているのですが、そこで手伝っていただいているGAID.tvの方にGARDENさんを紹介していただいて、その店長がお世話になっていた屋根裏さんにも声をかけさせていただきました。
── はじめからパンク系のサーキットを作ろうと考えていたのですか?
義村:そうですね、パンク、メロディックのシーンを盛り返したくて、このようなサーキットを企画しました。前からすごく見たかったんですよ。
── 現在の各店のパンク/メロディック系のバンドの割合はどうですか?
山田:実は屋根裏はほとんどないんですよ。昔はよくやっていて屋根裏と言えばメロコア、みたいなところもあったんですけど割合が低くなりましたね。そんな中でメロコアのサーキットイベントをやる、ということで声をかけて頂いたので是非やりたいなと思ったんですよ。
柳沢:GARDENもあまりメロディック系の割合は低くて、出演が多いのはずっと昔から出ているベテランさんばかりという状況です。けれど彼らの「自分たちのスタンスでやり続ける」というところが本当に格好良いと思います。
荒川:CAVE-BEでは逆にメロコアは増えましたね。うちで働いていた人達の影響もあるんでしょうが、流れ的にそういうライブハウスのイメージになっているのかもしれませんね。
義村:まだ自分はSHELTERに入ってから1年くらいなのですが、入る前からとりわけメロコアのシーンを応援していて、誘われた経緯がこのようなシーンの音楽をもっとSHELTERに増やしたいということもあったので。それもあってか大分増えてきていると思います。
街とバンドを巻き込んでの開催!
── 出演が発表されているアーティストの中にSNAIL RAMPやB-DASHなど2000年代を盛り上げてきたアーティストが含まれていますね。
荒川:下北沢のメロディックシーンを盛り上げたいと話を出した時に、このようなベテランさんが快く協力してくれました。彼らのような人達と一緒にこのフェスを盛り上げて、新しくシーンを作れたらと思っています。
── チケットが他のサーキットイベントと比べると安いですね。
義村:このサーキットイベントでは若手も多く出演するので、ベテラン勢と一緒に彼らを見ることができるきっかけになってくれればと思い、手頃な価格に設定しました。普段名前は知っていても見たことが無いバンドを知るきっかけになってくれれば嬉しいです。
荒川:下北沢はライブハウス、古着屋、美容室などが多く集まっていますが、この街に古着を買いに来るような感覚でチケットを手にとって気軽に来てくれると嬉しいですね。
義村:今回のサーキットイベント4会場は下北沢東通り沿いなので、この通りにある古着屋や雑貨屋などの店舗には下北沢を盛り上げるため是非とも協力を求めたいと思っています。
── 服買うついでに見に来てよ、的な入りやすさを出しているのですね。
荒川:駅も改装されて北と南のアクセスが良くなり人も増えてくると思います。あ、宝探しとかやりたいですね(笑)!
想いをこめたタイトルと開催へ向けて
── サーキットイベントのタイトルが「KITAZAWA TYPHOON 2013」ですが、名前はどういう形で決まったのですか?
義村:意味のある名前にしようと考えていて、街を巻き込んで輪をつくり、台風の目になるといった想いから、良い意味でのTYPHOONというタイトルをつけました。
柳沢:タイトルの他の候補も結構ありましたが、意味合い的にTYPHOONに近いものが多かったです。
── それでは、最後にこのサーキットイベントを使ってどのようにこれから下北沢のシーンをつくっていきたいですか?
柳沢:やはりこのサーキットもやり続けていき、協力店や今回参加していないライブハウスなども次回は共にやれるように、このサーキットを使って下北沢の輪を広げていきたいです。
荒川:若手もベテランも気軽に下北沢に戻って来られる良い機会ですし、これをきっかけとしてたくさんのアーティストさんが来て、お客さんにも見に来られる流れを作りたいです。
山田:ライブハウスが主導でやっているということで、普段は商売敵のようなところもありますが、協力してやっていることで広がりを持てていると実感しています。下北沢のシーンを別々の立場で見てきている者たち同士が一つのものに向けて出し合って新しいものを生み出せるということは素晴らしいと思います。だからこそこれからも続けていきたいと思っています。
義村:ライブハウスの垣根を越えて、下北沢全体が盛り上がり、メロディックシーンも盛り上がってくれたら最高ですね。なので、今後も続けていきたいし規模感ももっと大きくしたい。下北沢のほかのライブハウスも参加していって欲しいです。丁度下北沢音楽祭の期間なので盛り上げていけたら最高ですね!